71話 宴会を開いたら盛り上がりました
6月9日にて、『ダンジョン作ったら無理ゲーになりました』の総合評価が1000ポイントを越えました。皆さんの支えがあってここまで来れました。これからも『ダンジョンを作ったら無理ゲーにたりました』をよろしくお願いします。
才たち13名の客人をお持て成しをするパーティは盛大に行われた。
グラムとの戦いの熱気がまだ残っているせいか、住民達のテンションは昼とは比べ物にならないくらいはしゃいでいる。広場では機甲人族のロボットダンスや有鱗族の舞など文化問わずの独自の踊りを披露している。
そんな盛り上がっている中、少し離れたテーブルでセレナは住民たち相手に無双していた。
「キングのフォーカード」
「だああ!負けた!」
「セレナさん、強すぎ!」
セレナは持参していたトランプを住民達に教えさっそくポーカーで遊んでいた。当然、長年続けていたセレナの読心術に近い分析力によって住民達は成す術もなく大敗している。
「ふふふ、まだまだ読みが甘いですわね」
勝ち誇っているセレナ・・・そんな彼女の前に現れたのは・・・
「なるほど、ルールは大体理解しました。今度は私が相手をしましょう・・・もちろんスキルを使うとか卑怯な事はしませんよ」
管理チームのリーダー、タマモであった。
「あら?獣人の方ですか・・・いいでしょう。手は抜きませんよ」
「ふふふ・・・ちょっと懲らしめてあげましょうかしら」
なにやらテオとダンジョンの腹黒対決が繰り広げられているみたいだが関わるのはよそう。
・・・・・・・・・・・・・・・・
一方、行列が出来ているバーベキューコンロの前には・・・・
「ほい、焼きソバ10人前できたぞ・・・ランカさん、肉の減りが思ったより早い。補給班に新しい肉を持ってこさせてくれないか?」
「了解」
・・・何故か客人である、才が料理をしていた。というか才のところだけ凄い行列出来ていないか?
「才!何やっているんだよ!お前ら客人だろ?ランカも何手伝っているんだよ」
「コウキ様・・・申し訳ございません!」
「いや、俺がやりたいって言い出したんだ。こう見えて俺の料理スキルレベル7なんだぜ」
お前、英雄で会ってギルドの社長だろ?何で料理スキルがそんなに高いんだよ!
「いや、だからって」
「トレスアールのゴリランチの店長・・・あいつに料理教えたの俺だぞ?」
マジかよ!・・・いや、あの料理のラインナップを考えたら当然か?ということは何か?俺の知っている料理が出回っているのは才のおかげなのか?
「・・・なんというか意外だな」
「皆からそう言われる」
なんというか、料理では完全に才に支配されてしまっている。ランカや他の料理スキルを持つ住民たちも興味深そうに才の調理を見ていた。
こりゃ料理対決したらジョージでも敵いそうもないな。
そしてすぐ近くで行われた大食い対決ではやはりマヤちゃんが優勝していた。
料理対決:才 圧勝
大食い対決:マヤ 圧勝
・・・・・・・・・・・・・・
一方、ヒュウとヒスイはというと
「ヒスイ!やるぞ!」
「了解したでござる!」
ヒュウが巨大な氷を出現させると、ヒスイは複数の刀を取り出し次々と氷を削っていく。そしてあっという間に招き猫の氷像が出来上がった。
『おお!』
それを見た住民達が感心したように拍手を送っていた。
「ふふん、戦いには負けたがこういう所でポイントを稼いでおかないとな」
「あまり無理はしないほうがいいでござるぞ。ヒュウはまだ病み上がりなのだから」
呆れつつもヒスイも嬉しそうに拍手を送ってくれる住民達を見た。だがそんなとき招き猫の隣に二倍くらい大きな氷の塔が現れ一人の女性がすぐさま飛び掛り氷を削り始めた。
「何か面白そうなことやっているッスね。俺達も混ぜてくださいッス」
やってきたのはダンジョン警備部門の3幹部の2人、ソウキとアイガだった。
「ソウキ!終わったぞ!」
「おう、アイガ!良い出来栄えッス」
ヒュウ達が振り向くとそこには今にも招き猫に襲い掛かろうとする龍の姿が・・・・
「面白い!氷の彫刻対決か・・・ヒスイやってやるぜ!」
「やれやれでござる」
・・・・・・・・・・・・・
「・・・まったく、あいつら浮かれすぎでしょ」
呆れながら料理を食べているケイトは広場から少し離れた場所で一人のんびり天井を見ながら食事を楽しんでいた。
「しかし、ここは本当に凄いわね・・・外の時間に合わせて暗くなるなんて」
見上げた先にある天井はまるで日が落ちかけた夜空のように綺麗でありまるで本物の夜空を見ている気分であった。
「さすがコウキさんですな」
「・・・誰?!」
ケイトが振り向いた先には才の作った焼きソバを食べているフードをかぶった褐色肌の少年、ゾアがいた。
「そんな、警戒せんでもええで・・・まあ、気配を消したまま話しかけたら当然といっちゃ、当然やな」
変わった口調で話す少年は只者ではないとすぐに理解したケイト・・・すぐに衣服に魔力を流し戦闘体制はいる。
「っちょ!待ちいや!アンタやろ、ワイに会いたがっていた客人って。エイミィさんから話は聞いているで」
「エイミィ様から・・・でも私子供に用なんて」
「はぁ・・・ワイはゾア。このダンジョンの技術開発部門の責任者や」
そう言ってフードを取るとエルフのように長い耳が見えた。
「まさか・・・ダークエルフ?」
「まあ、種族上そうやな。それより、アンタけっこう魔法具に興味持っている見たいやな」
「ええ、街でも見かけましたがどれも素晴らしいものばかりです」
「そりゃおおきに。そんで、そんなケイトはんにはとっておきの魔法具を特等席でお披露目してあげるで」
そう言ってゾアがモニターを操作して取り出したのは一脚の椅子。
「それがその魔法具ですか?」
「あ、ちゃうちゃう。それも魔法具やけどちょい座ってな」
言われるままにケイトが椅子に座ると急に椅子が浮かび出した。
「え?何この椅子・・・まさか刻印魔法?」
「そうや。【重力魔法】と【固定化魔法】を合わせた椅子で最大15メートルまで垂直に上がる仕組みや。高さの調整は横のボタンでやれるで・・・まあ、それは置いといて。ナギ、そっちの準備は完了しておるか?」
『あ、ゾアさん。はい、いつでも打ち上げ可能です』
「なら、さっそく始めてえな」
ゾアがそういった瞬間、広場から少し離れた場所から大きな爆発音が聞こえた。
街の住民達が一斉に動きを止め爆発が起こった方角へ目を向ける。するとそこには巨大な炎の華・・・花火が打ち上げられていた。
「・・・綺麗」
ケイトは目の前の光景に心を奪われた。鮮やかに輝く花火、それら全てにどれだけの複雑な刻印魔法が刻まれているのか知的好奇心が今にも騒ぎ出している。上には火の花畑、下には美しい街の街灯。
ケイトはまた一つ、魔法の新たな可能性を感じたのであった。
・・・・・・・・・・・・
広場
「・・・綺麗」
広場でポーカーをしていたセレナたちは突然の花火に驚くもその場にいたエイミィがサプライズの一つだとすぐに説明して全員を落ち着かせた。
大量に打ち上げられる花火は多くのヒト達が魅了された。特にかつて北の集落でくらしていた亜人たちは涙を流しながら打ち上げられていく花火を見ていた。
元々は破壊だけが目的だと思っていた爆裂魔法が刻まれた刻印魔法。自分達にとって負の遺産としか思わなかったものが今、花火のように昇華されていく。
「・・・打ち上げは成功みたいだな、ゾア」
『ええ・・・ナギたちも頑張ってくれましたから』
さっきまで大騒ぎしていた広場は静まり、ただ花火の爆発音だけがフロアを響かせる。
色とりどりに輝く花火はまさに、これからのダンジョンを祝福してくれてくれているように美しかった。
・・・・・・・・・・・・・・
ちなみに以下の勝負の結果はこの通り
腹黒対決
セレナ vs. タマモ.
4勝12敗8引き分け
でセレナの敗北
ヒュウ&ヒスイ vs. ソウキ&アイガ
ヒスイとアイガが寒さに耐え切れず棄権したため引き分け。
人類vsドラゴンのジオラマが完成。
宴での勝負結果
才:料理対決圧勝
マヤ:大食い対決完勝
セレナ:腹黒対決 完敗
ヒュウ&ヒスイ:引き分け
ケイト:対決無し
スイ:対決無し




