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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第六章 ダンジョン観光編
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65話 姫様が来たので女神様が商店街エリアを案内しました

一方、才達が農場エリアへ見学へ言っている間、ケイトとセレナは商店街エリアを見学していた。ヒュウとマヤはまだ満腹で動けないため放置してある。


「凄いところですね。本当にダンジョンの地下にあるとは思えないです」

「そうですね、天井に施されている【天候魔法】、【太陽系魔法】によって外と同じ環境を整えられています。これほどの大魔法・・・やはり神・エイミィの力は凄まじいものなのですね」


関心しながら街を歩く二人・・・そして、彼女達の案内役をしているのが・・・・・


「そんなことはありませんよ。私はただ力を貸しただけ、思いついたのは光輝です」


二人の前を歩く美女・・・神・エイミィが街の案内をしていた。


((何故、神様が街の案内を・・・?))


二人は内心色々とツッコミや驚きを抑えこむが、エイミィはただ自分達の街を自慢したいだけとは考えもしないだろう。


「それに、ここは元々何も無い草原のフロアでした。素材を集め住民たちが一生懸命頑張ってここまで作り上げたのです」

「では、ここの家や道の整備など全てここの住民たちが?」

「はい、私はほんの少し恩恵を与えただけ・・・もちろん、あなた達に与えている恩恵と同じ物です」


エイミィは住民たちに特に特別なスキルは与えていない。生活に便利なスキル、職人のスキルなど、一般人が手にしているようなものばかりだ。中には才能を開花させてやや高いスキルレベルやレアなのを持つ者もいるが、それはダンジョンの住民に限った話ではない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

商店街エリア 仕立て屋


「着きました、まずはここを見てみましょうか」


エイミィがまず案内したのはやや大きめの建物。看板には『ガラゼ』と表記されている。中に入ると様々な種類の服が並べられていた。中には見たこともない神秘的な服もあり、それを見たセレナは当然テンションが急上昇し、自然と顔がニヤけだす。


「あ、エイミィ様いらっしゃいませ・・・そちらの方々は英雄様の・・・」


店の奥からやってきたのは身体が少し発光している女性と後ろからメイド服を来た無表情の女性。


「レヴィ、カーチェ、こちら英雄才のお仲間よ。彼女たちにいくつか服を仕立ててもらえないでしょうか?」

「あ、はい!はじめまして、霊人族・風霊種のレヴィといいます。仕立て屋『ガラゼ』の店長をしています・・・っで、こっちが店員の・・」

「・・・機甲人族のカーチェと申します」


レヴィは営業スマイルのように明るくおもてなしをするが、カーチェは相変わらず無表情。


「アハハハ、すみません、この子感情表現が苦手で」


なんと言うか、テンションの差がありすぎるというか、凹凸コンビというべきか・・・


「レヴィ、この前頼んでいた服はできていますか?」

「あ、エイミィ様がデザインした服ですよね?もちろんできています!すぐお持ちしますね」


神・エイミィがデザインした服、それを聞いただけでセレナたちは興味津々になった。レヴィはモニターを出現させ操作すると、様々な服を来たマネキン人形が出現した。


カジュアルな服やダンジョンの防具らしいローブ、更にものすごく手の込んだ装飾が施された着物やドレスもある。


「凄い・・・これ全部魔糸で織られている・・・こっちの服なんか刻印魔法がいくつもついています!」


魔法関係のものがあることを知った途端ケイトもテンションが更にあがりマジマジと服を見ていた。


「これはエイミィ様専用の服なのですか?」

「いえ、私はただデザインをしただけです。気に入ったのは持ち帰りますが、殆どが売り物としてここの住民が買います」


ここ最近のエイミィの趣味は服のデザインを考えて住民を着せ替え人形のようにして遊ぶことだった。もちろんエイミィがデザインした服ということもあり、住民たちからの人気も高い。


「これが売り物ですか?・・・ちなみに金額は?」

「そうですね・・・だいたいこれくらいです」



レヴィがモニターを見せるとケイトとセレナは目を疑った。それはけっして高くない数字であり、一般人が簡単に手を出せる値段では無いのだが、この性能でこの値段はあまりにも不釣り合いだった。


「こんな値段で元が取れるのですか?少なくともあと3倍はあっても買う金額ですよ?」

「そうなのですか?まあ、ここではあまりお金というモノは必要ありませんからね。基本的にこういったモノは定期的に行われる大会とかの商品にしたりしていますね」


他国との交流が無いここでは、お金なんて殆どあって無いに等しい。だがいずれ交流が増えるだろうと考えた光輝はある程度お金のやりとりを勉強させるために給料やお金の流通を住民たちに浸透化させた。だがそれでもまだ金銭感覚が世間とはずれていた。


「セレナ様、ケイト様どれか気に入った服はありませんか?もしよろしければお一つプレゼントしますよ」


レヴィが尋ねるとセレナは嬉しそうに困った顔で店に展示されている服を見た。どれも一級品と言える衣服ばかりでどれを選べばいいのか分からない様子だった。


「・・・これが欲しいのではないのでしょうか?」


無表情のままカーチェが取ってきたのは真っ黒いドレスだった。魔糸で織られたそのドレスは貴族ですら手が出せないような代物。


「え?」


何でわかったの?と言いたげなセレナ。


「・・・観察データの元。セレナ様はこの服に目が泊まる回数が他の服より3回多かったです」

「さすが、カーチェ。観察力は相変わらず抜群ね」



明るく接客する店長のレヴィ、そして客の観察を観察しどれが欲しいがっているのかを分析するカーチェ、ある意味よいコンビなのかもしれないとセレナは思った。


「では、私はこっちのローブをもらいましょうか」


そして、ケイトが手にしたのも魔糸で織られたローブ。しかも、刻印魔法が刺繍で入れられており、魔力を流すだけで【硬化魔法】を発動させることができる優れ物。

「分かりました、ではお二人のサイズに合わせるために、ステータスをお見せください」


レヴィに言われると二人はモニターを表示させて自分のデータを見せる。『ステータス』に表記されている彼女達の身体情報を元にレヴィたちはさっそくメモを取り作業に取り掛かることにした。


「それでは、こちらの仕立ては明日の朝には完了しますので。その時にお持ちします」


「「ありがとうございました」」


テンションの異なる店員に見送られ、セレナとケイトは満足気に店を出て行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔法具店


次に立ち寄ったのはケイトが一番見たかった場所。魔法具を売っている店だった。


「いらっしゃい・・・あれエイミィ様。今日は何かお探しで?」

「こんにちはメーガン。今日は二人を案内しに来ました」

「英雄様のお仲間ですか・・・はは、ここにあるのは子供たちが喜びそうな玩具ばかりですよ」


メーガンというエルフの女性はたいしたものは無いよと言っているが、ケイトの耳には届いておらず黙々と並べられている道具を見ていた。


「素晴らしい・・・ここは宝の山だ」


先ほど仕立て屋でもかなりテンションが上がったがここに入った瞬間、テンションが限界突破したかのように、彼女はうっとりとしながら並べられている魔道具手にとって見ていた。


「この魔法具、複数の刻印魔法が施されているのに全く無駄が無く効率良く発動できている・・しかも美術作品としても一級品だ」


少し過剰評価ではないか?と思っている三人だが、魔術師であるケイトとしてはどれもが素晴らしいものと考えている。


「はは、そう言ってくれると嬉しいね」

「すまないがこれは何のための道具だ?」


ケイトが持ち出したのはでんでん太鼓のような魔道具。


「ああ、それは気候魔法が施されたやつだね・・・ちょっと外に出てくれるかな」


メーガンはケイトの持つ魔道具を手にとって店の外で思いっきり太鼓を鳴らす。すると表面に刻まれた刻印が光出し、魔道具の先端部分から白い煙が出てきた。


「よーし、どんどんいくよ!」


でんでん太鼓の音の連打はさらに増し、煙が一箇所に集まっていくと目の位置くらいに小さな雲が出来た。そして太鼓が鳴り止むと、雲から水がパラパラと降りそそいだ。


「まさか、これは雨雲を作る魔道具なのですか?」

「そうだよ、まあこのサイズだから作れるのはせいぜいこのサイズが限界。子供達はこれで雨雲作って水遊びをしているのさ」


魔道具と言えば、冒険に必要不可欠な存在。主に戦闘用として活用するが、ここ最近になって家具などにも用いられるようになっていた。それを玩具にまで変貌するとは、ケイトにとって斬新な考えだと思えた。


「・・・是非、これらを作った方に会ってみたいものだ」

「ああ、それらは技術開発部門の連中が作っているさ。あたしはそこから仕入れてここで売っているからね」


メーガンがそう説明するとケイトは是非そこに連れて行ってくれと懇願するようにエイミィを見た。


「・・・申し訳ないですが。流石にそこに連れて行くことは出来ませんね。一応あそこは機密エリアなので」


分かっているつもりではあったが、やはり見れないと知った途端ケイトもがっかりした表情を見せた。


「あ、ですがもしかしたら技術開発部門の責任者が来るかと思いますから、その時にご紹介します」

「あ、ありがとうございます!」


まるで遊園地に連れて行く約束をした子供のような表情をしたケイトであった。


・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・そろそろですかね」


エイミィがモニターで何かを確認すると、そう呟いた。


「何がそろそろなのですか?」

「次のサブライズイベントです。もう少し案内したいのですが、先に中央広場に戻りましょう」


そう言って、エイミィたちが戻ると住民達と談笑しているヒュウや子供たちと遊んでいるマヤの姿があった。


「お、2人とも戻ったか。思ったより早かったな。買い物するかと思ったかからもっとかかるかと思っていたぞ」

「今回は軽くね。エイミィ様が何かサプライズイベントがあるって言っていたのよ」

「ほぉ・・・あのエイミィ様のサプライズイベントね・・・そのエイミィ様はどこにいるんだ?」


ヒュウが少し不安そうな顔をしてセレナたちの後ろを見るが、エイミィの姿は無かった。さっきまでいたのにという風に2人もキョロキョロ探すがどこにもエイミィの姿は無かった。


エイミィを探していると急に住民たちの目の前にモニター、そして天井などにも複数の巨大モニターが一斉に出現しだした。一体何が起きているんだ?と一瞬混乱するヒュウ達。そしてモニターを確認すると住民達はすぐに距離を取り始め、モニターから椅子やテーブルなどを出し始めた。


「一体何が起きているのですか?」

「あ、ヒュウ殿たちはこちらをお使いください。大丈夫です、これからビックイベントが始まるだけです」


住民の一人がそう言って出したのは大き目のソファー。軽く4人は座れる大きさでそ、その隣にはポテトチップスやポップコーン、ジュースなどが置かれている。


「・・・まるで演劇を見るような雰囲気ですわね」

「ええ、流石にお菓子を食べながらは無いと思いますが」


未だに理解できていないセレナとケイトだが、ヒュウは映画の雰囲気と似ていると理解し、寛ぎながらポップコーンを手に取った。隣にいるマヤも楽しみにしながら


そして丁度そのタイミングに農場エリアから戻ってきた才たちの姿が見えた。


「ヒュウ、一体何が起きているんだ?」

「知らん」


ヒュウの淡白な返答に才が呆れて、後ろにいる光輝に睨みつけるが「すぐに分かるよ」といわれ巨大モニターに指を指すと一人の女性の姿が映し出された。


『皆さんお待たせしました!これより!ダンジョン11階層のフロアボス・グラム様の防衛戦が開催です!』


彼女のアナウンスと同時に広場にいる住民達の歓声が爆発した。


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