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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第五章 ノフソの森編
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56話 ダンジョンを強化したら英雄達が動き出しました

ここはエイミィの自室。

神の領域といえば響きは良いが入ってみるとメルヘンチックな少女の部屋と表現した方がしっくりくる部屋である。


大きめなベッドの周りには街で作られている可愛らしいぬいぐるみの山、おしゃれなどできる化粧品に大きな鏡、更にクローゼットには街の職人たちによって生み出されている服が敷き詰められている。はたしてこれを神の領域と呼べるのだろうか。


そして、ベッドの上では正座させられているエイミィの姿があった。


『エイミィさん、あなたはもう少し自重というものを理解してもらいたいですね』

「・・・・はい」


彼女の目の前には大きめなモニターが映し出され、そこには質素なローブをまとったイケメン青年の姿があった。彼こそ、アルヴラーヴァの英雄、地天才を連れてきた張本神・・・三大神の一柱にして知識の神と呼ばれているシンである。


『あなたの現状は理解しているので少しくらい楽しい思いをしても良いと思っています。ですから異世界人を連れてきたことも、ダンジョンを創ったことも、街を創って楽しむことも、趣味満載の部屋にいること問題無いと思いました・・・でも、少なくとも責任があることは自覚してください』

「・・・はい」


力なく答えるエイミィ・・・その理由は光輝の半神半人化とダンジョンのシステムを書き換えたことにあった。


『それで・・・今彼はどうなっていますか?』

「とりあえずメリアスのおかげで今は寝ているわ。編集されたプログラムもダンジョン関係のものだけだから世界に影響を出すようなことは無いと思う」

『そうですか・・・それで?例のマナの実を創ったのは・・・・やはり』

「ええ、メリアスよ・・・あの天然、自分がしでかしたことに全く気づいていないのよ。まあ、良かれと思っての行動だし。結果として今後の対策には欠かせないと思うわ」


メリアスと名を出した瞬間、シンも少し引きつったような様子を見せた。


『それは邪神対策としての戦力強化としてでしょうか?』

「多分ね・・・そっちはどうなってる?封印は弱まっていた?」

『確認したところ・・・封印はまったく弱まっていません。おそらく、封印される前に力を分散させていたのでしょう。今回現れたのはその分散した力に偶然亜人が触れて邪神化したのかと』


邪神・・・それは三大神と対をなす存在。災害・疫病・疑心を司る三柱の邪神はかつてアルヴラーヴァに害をなす存在であり、そして世界の進歩を促す存在でもあった。破壊と創造が組み合わさってアルヴラーヴァは進歩してきた、しかし、ある日を境に邪神はアルヴラーヴァそのものを破滅させようとした。世界に大打撃を与えた邪神だったが、それを止めたのが3大神の一柱、生命の神・セフィロトであった。セフィロトは自らを犠牲にして、三柱の邪神をノフソの森に封じた。


それによってアルヴラーヴァは再び平和となったが、皮肉にも邪神という脅威が無くなったことでヒトの進歩は著しく低下したのだった。そして、セフィロトがこの世界に存在していないことを今を暮らすアルヴラーヴァの民は知りもしない。


「となると、また邪神が現れる可能性があるわね。狙いは当然封印の鍵を握っている私とあなた」

『そうなりますね・・・ですが少なくともすぐに動くことは無いでしょう。フロアボスという存在、それは間違いなく邪神にとっても脅威でしょう。あちらも力を蓄えて臨んでくるはずです』


様々な国が挑んできているこのタイミングで邪神が動き出した。偶然か、それとも狙って動き出したかは分からない。


『こちらも才に連絡を取ってそちらと一度話し合うようにします。これはアルヴラーヴァの存亡の危機になりかねませんから』

「分かった・・・こっちも光輝に伝えておく・・・・それと・・・・」

『・・・なんでしょう?』



「私はいつまで正座をしていないといけないのかしら?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

管理室


神霊族へと進化したタマモは名前の通り神業と言いたくなるくらいの指揮能力で管理チームを動かしていた。九本あった尻尾は一本に減ってしまったがその分、毛並みの美しさは増し、さらに身体に巡る魔力はフロアボスに匹敵するほどであった。


「1階のB,D,Tと2階のG、V地区のトラップのリセットがまだですよ、すぐに直すように。F地区に冒険者が溜まりすぎています、王牙鬼を向わせて分散させせなさい。3階のS地区に採掘エリアを占領している冒険者がいます、アイガを向わせるように。」


【分析スキル】のレベルが上がったことで彼女の視野が広がり脳内での処理速度が格段に上がっている。しかも、【未来予測】なんて反則能力まで手に入れたらしく冒険者たちの行動を完全に手球に取っている。


「ふふふ・・・凄いですわ!今までに無いくらい頭が冴えて何でもできる気分です」


まだ若干魔力が有り余っているせいでテンションが高いようであるがすぐに落ち着くだろう。俺も酒を飲んだ時あんな感じだったのかな?


「しかし、本当にダンジョンモンスターが進化しているな・・・戦えば戦うほどモンスターも強くなるダンジョンか・・・大丈夫なのかこれ?」


今の1階層にいるダンジョンモンスターのレベルを確認すると軽く50を超えていた。まだ単体行動で動いているモンスターや進化していないのは冒険者たちの集団に押し負けているのがチラホラ見えているが上位モンスターに進化したやつはあっさりと蹴散らしている。


ダンジョンのモンスター情報はギルドに色々と知れ渡っていたがこれでまたリセットになってしまったな。しかも、かなり手強いモンスターになっているからかなり大変だ。


「彼らたちも力が増した実感があるそうで、かなり好戦的になっていますね」

「ダンジョンモンスターが命令を無視して暴れることは無いか?」

「それは問題ありません。もしそのような者が現れたら担当フロアボスであるグラム様に厳しい処罰を与えられますから」


なるほど・・・進化してもやはりグラムが一番強いのか・・・あれ?そういえばフロアボスたちのレベルキャップも解除されているんだよな・・・しかも『神格化』が可能とかメッセージがあったし。


「あ、ちなみに。フロアボス様たちは皆、以前と変わらない姿です。なろうと思えばなれるそうなのですが、コウキ様の許可無く力を得るのは良くないと話し合ったそうです」


いつの間に・・・まあ、あいつらが今より強くなったらそれこそ誰があいつらの相手をするんだ?と言いたくなるよ。


・・・俺?俺は戦わないよ・・・半神半人になったからって戦えるわけじゃないし。俺はいつもどおりダンジョン運営をしているさ。


だが、これからどうするか・・・いくら何でもダンジョンモンスター強すぎだろ。レアモンスターに指定していたダンジョンモンスターなんてフロアボスと言っても疑われない強さと外見だし・・・



こりゃ、一度才と話し合わないといけないな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その頃テオ王国、ギルド本部では


『社長、昨日からダンジョンに挑んだ冒険者から新たな魔物が発見されたと次々と報告が入っています。ゴブリンやオーガの上位種と見られる個体や中にはリザードマンの変異種らしき魔物もいたそうです』


「またか・・・ダンジョンにいったい何が起きているんだ?」

「才、すぐに俺に出動命令を出してくれ!俺ならもっと詳しく調べて来れるぜ」

「あんたはまた遊びに行きたいだけでしょヒュウ・・・しかし、昨日を境にダンジョンモンスターの急激な成長。何かが起きたのは間違いないでしょう」


会議室には今でもアルヴラーヴァの英雄と謳われいるメンバーが集結していた。


アルヴラーヴァの英雄:地天才

天の御使い、兼社長秘書:スイ・ガカロ

堕天使・テオ第三騎士団・団長:ヒュウ・ガカロ

宮廷魔導師団・団長:ケイト・アノー

隠密部隊・頭領:ライモン・ヒスイ

社長護衛、兼マスコット:マヤ・チアマ

テオ王国・女王:セレナ・V・テオプア


トレスアール支部・ギルドマスター:ウィリアム・フレムド・ヴァイキング


「一度俺もダンジョンにいくとする・・・スイ、すまないが10日ほどスケジュールの調整してもらえないか?謝罪の手紙などは後で用意しておくから」

「かしこまりました、才様」

「おい、才。あんまり俺の可愛い妹をコキ使うなよ!スイが過労でぶっ倒れたらマジでぶっ殺すぞ」


鋭い眼光で睨みつけるヒュウ。そう、現在才の秘書として働いているスイは彼の最愛の妹であり、彼がこの世界にいるのも妹を追いかけてのこと。成り行きでテオ王国の騎士として働くようになった彼はみるみる活躍し、いつの間にか才の直属の部隊、第三騎士団の団長の座まで上り詰めていた。


「このシスコンが・・・まあ、サイのペースに着いていったら確実に過労になるわね。あたしだったら間違いなく3日でノイローゼだね」


呆れた様子でヒュウを見たのは20代の女性、宮廷魔導師団の団長、ケイト・アノー。かつては放浪する傭兵魔術師として活動をしていたが、才と出会い魔術師としての才能を開花させ以後テオ王国に腰をおろし宮廷魔導師として活躍・・・そして、英雄の仲間の一人として宮廷魔導師の団長になった。


「若・・・なら、拙者が自ら出向いて情報を集めようか?」


忍者装束の男性、ライモン・ヒスイ。6年前、奴隷国家・トジュオに雇われ才の暗殺を試みるが失敗に終わるもの、彼の器の大きさに惚れ込み以後彼の懐刀兼諜報部隊として活動をしている。


「ヒュウお兄ちゃんズルいにゃ!マヤもダンジョンに行きたい!サイお兄ちゃん、マヤを連れてって!」


天真爛漫にはしゃぐ亜人・半獣半人ハーフビーストの少女、マヤ・チアマ。奴隷国家・トジュオにある闘技場で戦わされていた少女。才によって救われてからは彼を主と認識し、以後彼の護衛としてつくようになる。と言っても才たちにはマスコットのような扱いを受けて、本人もまんざらでは無い様子。


「でしたら皆で行きましょうか?久々に皆で旅をするのも悪くありませんし」


そして、最後に笑顔で話そうとしていた少女、セレナ・V・テオプア、このテオ王国の最大の権力を持つ人物。家臣からの裏切りによって滅亡しかけた国を才達と共に立ち直し、国の象徴とまで呼ばれる姫。しかし、ここにいるメンバーは彼女の性格をよく理解している。


『やれやれ、せっかく英雄の方々が勢揃いしたというのに何ですかこの緊張感の無さは』


モニターに映っているのははボディービルダー顔負けの肉体を持つ老人、ウィリアム・フレムド・ヴァイキングの姿。5年前、戦争が終わったことで職を失い海賊として活動していた彼は才と出会い、ギルド立ち上げのきっかけを作った。以後は彼らの保護者のような存在として支え、そしてギルドの重鎮として活動をしている。


「まあ、これが俺達なんだからしかたないさ。ウィリアム、さっきも言った通りだが近い内にそっちに寄る。トレスアールで一泊してから向かう予定だから宿の手配を頼む」

『っは、かしこまりました・・・皆さんが来るのをお待ちしております』


ウィリアムがそう言うとモニターを消し会議から離脱する。


「さて・・・後で光輝に連絡しておくか・・・色々と聞いておきたいし」


テオ王国、最大戦力が今ダンジョンに向かう計画を立てていた。

才の仲間たちがやっと登場です。王道ファンタジーのパーティのようなメンバーです。

次回から新章『ダンジョン観光編』になります。

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