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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第五章 ノフソの森編
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54話 ご褒美でとんでもないことになりました

光輝が亜人の集落で災害の邪神と遭遇したと聞いたとき、私の胸は物凄く締め付けられた。


だが、それ以上に彼が無事だったことに心から安堵した。


もし、光輝が死んでいたらどうなっていた?


ダンジョンが崩壊?いや・・・そんなことはどうでもいい。そう思ってしまうくらい、光輝を失うことに恐怖を感じていた。


「・・よかった・・・本当によかった・・・」


光輝との連絡を切った後しばらく、私はベッドの中で震える体を必死に押さえ込んだ。

この後きっと光輝はまた連絡してくる・・・こんなみっともない姿なんて絶対に見せられない。そう決意して光輝から連絡が来たときも必死で演じきった。


・・・・・・・・・・・・・・


その後、エドワードの転移門ゲートによって亜人達が来るのを聞き急いでフロアボス達を集めさえ亜人達の歓迎の準備に取り掛かることにした。現在も冒険者達がダンジョン攻略をしているがそこは管理チームに任せることにした。もし問題が起きたら光輝が何とかしてくれるだろう。


そんな考えで、住民達に歓迎の宴の準備に取り掛からせる。ここの住民は何故か祭好きでイベントが怒るたびにお祭り騒ぎをする傾向がある。やはり何か祝日とか行事は定期的に行うべきかもしれないわね。彼らにもガス抜きは必要だし。


そして、光輝たちがダンジョンから到着するとあたかも待っていましたという歓迎ムードで亜人たちを迎え入れた。驚いた光輝たちを見てサプライズ成功と内心喜び、亜人達に挨拶を済ませる。


私を見た瞬間崇めるように頭を下げる姿を見ると、自慢げに光輝の方を見る。


ドヤァ


その後、他の集落の亜人達も到着し合計400人以上もの新しい住民が加わった。


それからはもう無礼講という風にお祭騒ぎとなり、住民達は意気投合したり力比べしたりじゃれあったりと、すんなり受け入れられた。


ああ、やっぱりここに連れてきて正解だったわ。心からそう思えた。


そして、ゾアやカルラたちが何か話している光輝の姿を見た瞬間あの時の言葉を思い出した。


『あの子達を救って・・』


あの時・・・私が光輝にお願いしたことは正しかったのかどうか分からない。


結果として亜人達は救われ、今ここで笑顔を見せている。だけど邪神という存在と遭遇し、光輝を危険な目に会わせてしまったことも事実である。


私はどんな顔をして彼になんていえばいいのだろうか?


「エイミィ様、どうかされましたか?」

「メリアス・・・ううん、なんでもない」

「そうです、これ新しく作った果実酒なのです。エイミィ様とコウキ様にと思い創ってみました」


そう言って、メリアスが薦めてくれた果実酒からは今まで嗅いだことも無い甘い香りが漂ってきた。


一口飲んでみると、とても甘くお酒というよりジュースみたいに飲みやすかった。というかものすごく美味しい!


そして注がれるお酒をなるべく平常心を持った状態で飲む。できればこの後に「プハーッ」とか言いたいけど自重する。 


「言い飲みっぷりですね・・どうぞもう一杯」


そして、そのままグラスに注がれたお酒をまた飲み干すとそこからの記憶は無くなった。


なんか気持ちよくて、色々と悩んでいるのが吹っ飛ぶくらいスッキリした気分になれたのは覚えているのだけど何をしたのか全く覚えていない。


意識が戻った頃には私はいつものベッドに上にいた。


・・・・・・・・・・・・・・

作業部屋


「おはよう、光輝。昨日はかなり騒いだみたいだね・・・あれ?どうしたの?」


いつものように作業部屋に入ると光輝の目の前には大量のモニターが映し出されていた。それは5,6とかではなく、数十のモニターが映し出されている。


「っちょ!何?!何があったの?!」


何のデータは分からないし、光輝は夢中になりすぎて私の声が聞こえていない。こんなに集中している光輝見たことが無い・・・


・・・・・・・・・・・・

管理室


とりあえず、光輝のことをそおっとしておこうと思い、管理室に入るといつものように忙しそうにしているメンバー達が私を見た瞬間固まってしまった。


え?何?私の顔に何かついている?


「お、おはようございますエイミィ様!」


彼は蟲人族の・・・たしかフライ君だったね。管理チームの副リーダーを任されている。


「おはよう、フライ。ところで何か慌しいようですけど、ダンジョンで何かありましたの?」

「い、いえ・・・ただ、リーダーが・・・」


フライの視線の先にはまるで燃え尽きたかのような真っ白な状態になっているタマモの姿が・・・


え?どうしたのタマモ!いつもの覇気が無くなっているよ!


「いったい何が起きたのです?!」

「え?・・・昨日の覚えていないのですか?」


驚いたフライの声に管理チームの視線が集まる・・・え?これ原因が私?


「いえ、失礼しまいた・・・はぁ、コウキ様可愛そう・・・あと、タマモも」


独り言のようにつぶやくフライは機能停止したタマモの代わりに管理チームを纏め始めた。


結局何が何なのか分からず、原因を知っていそうなメリアスの所に行くことにした。


・・・・・・・・・・・・・・

地下44階層


「・・・相変わらずここの魔素の濃度は異常に高いわね。こんな所で冒険者がまともに戦えるのかしら?」

「あら?エイミィ様・・・昨日は楽しい宴でしたね」


いったいどこから現れたのか、神出鬼没に目の前に現れたのは地下44階層のフロアボス・メリアスだった・・・今の聴かれていないわよね?


「メリアス・・昨日のことなのですが。あなたが飲ませたお酒・・」

「はい・・私のお手製の『マナの実』で作った果実酒です」


ブフー!なんちゅーもの飲ませたのよ!


「あ、ご安心を。飲んでも神であるエイミィ様には身体的影響など殆どありません」


少しはあるの?・・・でもこれで記憶が無い謎が解けた。


マナの実・・・あれは確か伝説の果実とも呼ばれている魔力が溜め込まれた果実。しかもメリアスお手製ということは改良版のマナの実を使って作られたもの・・・それに含まれている魔力は膨大なはず。


多分私は大量の魔力を急激に取ったことで、ハイテンションになって記憶が吹っ飛んだわけ。


「そういえば、コウキ様は大丈夫でしょうか?宴の後からずっと作業場に篭ってしまって」

「ええ。私もさっき作業場に寄ったのですが何か凄いものを作っているのようでした」

「もしかして、エイミィ様へのプレゼントとか?」


え?私にプレゼント?・・・それはちょっと嬉しいかも。


「あんなことがあったわけですし」


あんなこと?


「何のことですか?」

「覚えていないのですか?」


はい、これで二回目。流石にこれは聞くしかない・・・メリアスだし、正直に答えてくれるでしょう。


「ええ、実はお酒を飲んだ後記憶が無くて」

「まぁ・・・確かその時の映像が残っているはずが・・・」


そう言って、メリアスが自分のモニターを開き私に衝撃的映像を見せた。


「な・・・な・・・にゃあ・・・」


顔真っ赤になった私が光輝の唇にキスしている劇的シーンがそこにあった!


「なんなんですか!これはああ!!!!」


何?!何この映像!合成?合成じゃないわよね!メリアスや住民達が私を騙すためのドッキリじゃないわよね?実はこれ二人のそっくりさんでした・・・とか?


「ビックリしましたよ・・・お酒を飲んだエイミィ様がコウキ様のところへフラフラと歩いて行って『大好き♪』と伝えてキスしたのですから」


にゃあああああああああああああああああああああ


ヤバイ!それを聞いた瞬間、あの時の出来事がフラッシュバックで思い出してくる。


「しかも、その後コウキ様を独占するかのように、ベタベタに甘えて・・・住民の皆さんも驚かれていました」


嘘!皆にバレたの私の素が!・・・いや、まだお酒のせいと言い訳が・・・ああ、でもこんなことになるなんて!


「コウキ様もキスされてから硬直状態になって・・・その後、急に自分もお酒を飲むと言い出して瓶に入っていたお酒を飲み干してしまいました」


・・・ちょっと待って!じゃあコウキはマナの実で作られたお酒を飲んじゃったの・・・・やばい!


「メリアス!その話は後でじぃいくりっと!聞かせていただきます!それよりも急いでコウキのところに行きますわよ!」


・・・・・・・・・・・・・・

作業室


相変わらずコウキの目の前には大量のモニターが表示されている。


「・・・これは・・・ダンジョンのデータ。それに・・・フロアボスのデータまで・・・」

「嘘・・・コウキ・・・まさか『理の編集』を?」

「・・・・・・・(カタカタカタ)」


相変わらずコウキはこちらに気づかず黙々と作業を進めている。そして嫌な予感がして私もモニターで確認してみると・・・・うげ!


「エイミィ様・・・コウキ様はいったい・・・」

「・・・光輝の種族が『亜人・半神半人デミゴッド』になっている」


おそらく、マナの実を食べるのと同じ効果を発揮したに違いない。昔、人間がマナの実を食べて『仙人』になって寿命が500年に伸びた人がいた。そして今回、メリアス特性のマナの実酒を飲んだことで仙人を飛び越えて『半神半人デミゴッド』になったに違いない。しかも、進化したことでスキルの能力は格段に上がっている。


「メリアス!急いでコウキを止めるわよ!このままだと光輝・・・アルヴラーヴァそのものを書き換えてしまうわ」


おそらく今の光輝は大量の魔力を取り込みすぎたことで暴走している。じっとして入れられない光輝は無我夢中でできそうなプログラムを片っ端から作り上げているんだわ。


「御意!コウキ様申し訳ございません!!」


そう言ってメリアスがコウキの後ろから手刀で気絶させる・・・あなたどこの達人よ!


でもこれで一応彼の暴走は止められたわ・・・後は光輝が何を作ったのかを確認しないと・・・


ダンジョンの『レベルキャッププロテクト』が解除されました

ダンジョンの『ステータス固定化』が解除されました

フロアボスの神格化が可能になりました

ダンジョンモンスターの種族覚醒が可能になりました

新たな場所にダンジョンを作ることが可能になりました。

【ゴッドスキル:迷宮創造】に『ペースト』、『アップグレード』、『ダウングレード』、『コンバイン』を習得しました。


・・・あらやだ見間違いかしら?とんでもないことになっているわ

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