表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第五章 ノフソの森編
56/189

49話 集落を助けるために作戦を立てました

森の中で双子の姉弟、ナミとナギを助けた俺達は彼女達に助けを求められた。


「助けて欲しいって・・どういう意味だ?ノフソの森で何が起きているんだ?」

「お兄ちゃんたち、エイミィ様が住む聖域があるのを知っているよね?」


聖域というのはおそらくダンジョンのことだろう。


「聖域・・・あ、ダンジョンのことだね。神・エイミィが試練の場所として用意した場所」

「そう・・・あたし達、集落に住む皆は『聖域ショオロ』って呼んでいるのだけど。最近、色んな国の人達がこの森に入って荒らすようになったの」


多分、ダンジョンに挑む冒険者か兵士達のことだろう。基本的に冒険者たちはそれぞれ森周辺に支部を建ててそこに集まってダンジョンに挑む仕組みになっている。だが中には、支部を利用せず勝手に森を荒らす輩がいるらしい。


「そいつらが、あたし達の住む集落を見つけて皆を・・・うぅ・・」


話の途中でナミは記憶がフラッシュバックしたのか急に息を荒くして泣き出した。


「・・・僕達に聖域をぶっ壊す兵器を作らせるように命令された。皆嫌だった・・でも、昔から『純血のヒトに逆らうな。逆らったら殺される』って言われていて。誰も逆らえなかった」


ナミが言おうとしていたことを今度はナギが引き継いだ。・・・なるほど、当時の亜人たちが何をされてきたのかは分からない・・だけど、今の言葉で相当酷い目になったに違いない。


逆らわない・・・それが唯一、亜人が身を守る為の行動だったのかもしれない。


「僕達、集落で爆弾を作っていたんだけど・・・あいつらに手に渡るくらいならって思って。刻印を書き換えてここで爆発させたの・・・誰も死なないように少し時間がたったら爆発できるように」


え?今、この子なんて言った?刻印を書き換えた?俺はマリーとエドを見ると2人とも驚いた様子だった。時間差の刻印を作るのにかなり技術はいると聞いていた。しかも元から書かれている刻印に書き加える技術はもっと上のはず。


どうみてもワイトより年下で年齢も6,7歳ぐらいだぞ・・・この世界の子供はどうなっているんだ?


「そんなことできるのか?」

「うん・・・集落で色々勉強したから。だからあいつら僕達に爆弾とか作らせるように命令した」

「分かった・・・よく話してくれたな。ありがとう・・・」


俺が軽くナギを撫でると、ホッとした様子で気を失った。・・・多分、この子も必死に我慢していたに違いない。


「オウカ・・・この子達を背中の上で休ませて上げてくれ。ランカとグンナルは先に集落へ向かって情報を集めてくれ・・・俺達もこの子たちを連れて追う」


『御意』


ランカとグンナルに集落のある場所を見せ向わせ、残った俺達は気絶したこの兵士を起こすことにした。


「おい、起きろ!いつまで寝ている!」

「ひ、ひぃい!命だけは助けてください!」


目を覚まし俺の顔を見た瞬間、男は奇声を上げながら騒ぎ出す。どうやら、俺をエドと勘違いしているらしい。


「黙れ、下種・・・コウキ様が質問している。正直に答えろ!」

「っひ!・・・ああ・・・あぁ」


本物を見てパニックが一周したのか、男はただ何も言わず頷いた。


「お前はどこの国の者だ・・・見たところ兵士のようだが」

「・・俺は・・小国『ルヌプ』の兵士だ」

「なぜ、集落を襲った?」

「始めは偶然だった・・・俺達の部隊は国が指定していた支部が分からず森をさまよっていたら亜人ばかりが住む集落を見つけて・・・そいつらが凄い刻印魔法の技術を持っていたから、兵器を作らせるようにと・・・国からの通達で、そこを拠点に・・・」


聞いているだけで怒りがこみ上げてくる内容だった。エドなんか、さっきより強烈な雷を落とす準備をしている。


「お、俺達はただ上に言われるままやっているだけで。けっして亜人だからって」


おっと、それ以上は言うな。さっきお前がこの子たちに何を言ったか忘れたのか?


「もういい、エド。もう一発ぶち込んでおけ」

『御意』

「ま、まて!正直に言った!だから命だけは!」


エドの落雷によって男は再び絶叫と共に気絶した。一応、命だけは取らないでおく。何かしら利用できるかもしれないからな。


「しかし、まさかそんなことするなんて・・信じたくありません」


マリーはトレスアールの住民のことを思い出しているのだろう。確かに嫌な奴もいるし、マリーを買おうとか言う馬鹿な奴もいた。それでも多くの人がマリーや合宿メンバーと楽しく話しているのを何度も目撃した。


「マリー、世の中いろんな人がいるんだ。トレスアールの人みたいな人たちもいれば、こいつらみたいな奴もいる・・・」

「・・・はい」


少し悩んでいる様子だが受け入れてもらうしかない。だが、これは面倒なことになってきたな。


「コウキ様、どうしましょう。これは思ったよりも厄介なことになりました」

「だな・・・だが、放置することもできない内容だ。エイミィに集落の人を助けるって約束したし」


『あの子達を救って』


「・・・急いで、グンナルたちを追いかけよう。集落の住民全員を救助する!」

『御意!』



・・・・・・・・・・・・・

マップをたどり、集落のある場所へ向かうとグンナルとランカの姿が見えた。


「グンナル、ランカ。現状どうなっている?」

「はい・・・集落はあそこなのですが。あの兵士と同じ服装をした者たちが多くの亜人に何かを運ばせているのを目撃しました。どうやら、あいつら住民を人質にして作らせているそうです」


なんというか、よくある展開だが。これは面倒だな・・・


「・・ん?ここは?」


作戦会議をしている所でナミたちが起きたようだ。


「おはよう。っこは集落の近くだ。これから、集落の皆を助けるための作戦会議をするところだ」

「?!・・あたしも!あたしも皆を助ける!」

「僕もお手伝いします!何でも言ってください!捨て駒でも何でも(ぴと)・・・ん!」


ナギが興奮した状態で言ってはいけないことを口走った。俺は軽く彼の唇に指を当て黙らせる。


「捨て駒とかそんなことは言わないの・・・大丈夫、君たちにも手伝ってもらうさ。エド、中の様子は分かるか?」

「・・・【魔力感知】をしたところ、奥の建物から数十人の魔力を感知しました。おそらく人質たちがそこに集められているのでしょう。ですが、建物の周りには大量の刻印兵器も設置されています。量からして発動したら集落そのものが消し飛ぶほどです」


なるほど・・・となると、先に爆弾を何とかしないといけないな。攻略するには色々と条件があるが、まあいい。


「いつも挑まれている立場なんだ・・・フロアボスに挑むのと比べたらならこっちの方が断然ヌルゲーだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ