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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第四章 ダンジョン侵略編
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44話 神様がうるさいので学校を作りました

「そろそろ学校が必要だよね」


フロアボスたちの要望で部屋のアレンジをしている時、エイミィがボソリとつぶやいた。


学校・・・それは、エイミィが提案した街発展計画の一つである。以前から住民の子供達が学べる場所を提供したいと彼女は言っていた。だが、肝心の教員や教材が不足していた状態だったため、設計図のデータは作った状態で保留にしていた。


「ねぇねぇ光輝、そろそろ学校を建てようよ」

「だから、肝心の教員が不足しているから難しいって以前も言っただろ?教材は以前トレスアールで買っておいたからすぐに量産はできるが、肝心の教える人がいないだろ」


以前、合宿を行った時俺は市場で教材となる本を一通り購入しておいた。この世界ではやはり紙というものはまだしっかりと量産できる技術が少ないため本一冊でもかなり値段が張る代物だった。まあ、このダンジョンでアイテム化させればすぐに大量生産が可能になるのだが。


「ふふふ、その辺はご安心を。立派な人材を確保したのよ!」


自慢げに教員のリストをモニターで表示させ、俺に付きつけるように見せた。


数学:光輝

言語:メリアス

理科:ゾア

道徳、社会:エイミィ

図工:グラム

体育:リンド

魔法学:エドワード

フィールドワーク:カーツ、カルラ

保健医:ミーシャ


「フロアボスを勝手に使っているんじゃねえ!」


しかも俺の名前まで入っているし。


「いいじゃない、フロアボス達も街の仕事ばかりで退屈しているだろうし。私が命令すれば簡単に言うこと聞いてくれるわ」


誇らしげに言うエイミィを見て頭が痛くなってきた。出来れば彼女の願いは叶えてやりたいし俺も学校建設に関しては賛成だ。だが、だからといってフロアボスを教員に回すのはどうかと思う。特に表ダンジョンのメンバーは今後のことで忙しくなる予定だ。


合宿組みのデータを持ち帰ったおかげで、街の発展は思った以上に進んでいる。特に技術開発部門を担当しているゾアは魔法具の家具に興味を持ち開発に忙しい。建設部門もテスラの情報を元に技術力が向上している。リンドは新しい修行法を思いついたとか言い出して兵士を連れ出してダンジョンに篭っているし、エドも国の情報集めに忙しいし、カルラとカーツは食料調達とダンジョンに生息している魔物の生態調査、ミーシャも新薬の開発とか怪しげなことをやっていて声はかけづらい。


手の空いている者と言えば・・・


「その仕事、私にお任せしていただけないでしょうか?」


一体どこから入ってきたのか振り向くと輝く緑髪を持つ美女が立っていた。


「メリアス、入る前にはちゃんと連絡入れてくれよ」

「申し訳ございません。エイミィ様から早急に来て欲しいと言われまして」


困った顔をしたメリアスを見た後、俺は呆れた様子でエイミィを見る。そして、いつも通り女神モードの体勢で涼しげな顔をしている・・・こいつ絶対いつか素がばれるぞ。


「・・・はぁ、まあいいか。それでメリアス。お前に教師を任せてもいいのか?」

「はい、私ももっとコウキ様やエイミィ様のお役に立ちたいと思っています。それは他のフロアボスも同じです。コウキ様が望まれるように我々に何でも申してください」

「では、他のフロアボスにも教員を『却下だ!』・・うぅ」


流石に全員を教員にさせるのは無理だ。


「ご安心を一通りの授業は私1人でも出来ます、言語、数学、自然学に魔法学・・・これらは問題なく教えられます。家庭科も生産部門から何人か用意しますから問題ありません」

「さすがメリアスです!では社会、歴史と道徳は私が担当しますね」


エイミィが便乗して話がどんどん進んでいる。というか、メリアスって本当になんでもこなせるよな。最強のフロアボスという設定にはしていたが万能すぎるだろ。そのうち変な笑い方をしないか心配になってきた。


「だが、メリアス。生産部門はどうする?あっちも忙しいはずじゃないのか?」


生産部門は主に衣類や料理を中心に街の中核となっている部門だ。ちなみに合宿メンバーのジョージとプラムはこの部門から選ばれた。プラムとジョージは現在もトレスアールで技術向上を目指しているが、彼女達のデータを元に生産部門もけっこう忙しくしているはず。


合宿で道具を使って練習することでスキルレベルが上がることを知った俺はダンジョン用に生産道具を購入しておいた。品質は下がるがダンジョンのドロップアイテムに登録しておくと魔力を消費して量産が可能になるため、現在生産部門には大量の調理道具や衣類を作る道具が用意されている。


「ご安心を、アルラに一通りの管理を任せていますから私がいなくても問題はありません」


ワォ、さすがメリアス。教員の問題も解決したという風にエイミィは俺にしか見えないようにキラキラとした目で俺を見ている。


「はぁ・・・分かったよ。教材もあるしダンジョンの魔力もある、教える教員もいるからもう問題は無いだろう。学校は住宅エリアの近くに建てるから・・・グラムに連絡入れておくか」


・・・・・・・・・・・・・・・・

住宅エリア


住宅エリアに転送すると、『安全第一』と書かれたヘルメットをかぶったグラムが待っていた。


「コウキ様、ご命令どおりこの辺り一帯は住民の立ち入りを禁止にしましたが。何かを建てられるのですか?」

「ああ、エイミィの要望で住民のために学校をな」

「おお、それは素晴らしいことです・・・さすがエイミィ様です」


でしょでしょ?と言いたそうな顔をしているが相変わらず女神モードで冷静な顔をしている。


「それじゃあ、建てるよ」


俺はいくつものモニターを出し、操作を開始した。学校の見た目、内部の構造、材料など・・・大量のデータがモニターに映し出される。


すると俺が設定したエリアから光の粒子があふれ出し、みるみる設計した学校の形へとかたどっていく。そして、3分も経たない内に学校が完成した。ウル○ラマンが頑張ってもこの短時間でこれは出来ないだろう。


見た目は寺子屋のような木造建築。畳の床に縁側、和風丸出しの学校だが悪くは無い。シンプルな作りだが素材は奮発したおかげでダンジョンに溜まっている魔力も意外と消費した。カラクリ屋敷みたいなギミックも考えたが魔力と必要性とか考慮した結果ボツにした。


「さすが、光輝ね・・・中はどうなっているのかしら?」


エイミィはいてもたっていられず、学校の敷地へ入っていく。


「素晴らしい、さすがコウキ様です・・・我々もこれくらいの建物を建てたいものです」

「木造の学校ですか・・・良い材料を使っていますわね」


グラムとメリアスもそれぞれ感想を言いながら学校を見ていた。


「光輝、早く来なさい。教室などを案内するのです」


早く早く♪と言いたそうにテンションマックスを必死に抑えているエイミィが俺を手招きしている。


学校は至ってシンプル。部屋は三つ用意してあり、職員室、保健室、教室でそれ以外は無い。


「ふふふ、ここで私が子供達に教えるのですね。子供達に囲まれて楽しい学校生活・・・青春」


なんか、既に彼女の頭の中で夕日に向かって走る姿が描かれているようだ・・・夕日なんてこのダンジョンには無いのに。


「建物も丈夫に出来ているな・・・後は生徒の募集だな・・・」

「それは儂にお任せください。街の掲示板に大きく宣伝しておきます」

「分かった、対象年齢はこちらで決めるから内容が決まったらお前に連絡する」

「御意・・・それでは儂は仕事に戻ります。エイミィ様、メリアスさん、子供達をよろしくお願いします」


そう言い残し、グラムは仕事に戻る。ダンジョンのこともあるのに街の仕事もやってくれてこっちとしては助かる。今度なにかご褒美を用意しておかないと。


それから数日後、街の子供達を集め学校がいよいよ開校した。




・・・・・・・・・・・・・・・

ボツネタ


「対象年齢は12歳未満でいいかな?」

「そうだね・・・この世界じゃ15歳で成人だから、それくらいが丁度いいかも」


数日後


ガヤガヤ(住民全員集合)


「「しまった!皆生まれてまだ一年も経っていなかった!」」


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