36話 攻略していると寄生プレイされました
ヒュウがダンジョンに挑んでから4日目、ついに未開の6階層目が突破された。
「現在、冒険者約40名が6層目に到達しました」
とうとう6階が開かれたことに俺は少し嬉しいと思ったが、いずれ出てくるとは思っていた作戦の攻略者が出てきた。
「これ、明らかに不正ではないでしょうか?」
「・・・ああ、だがこれも攻略の一つだ。俺達がどうこう言えない」
ヒュウが攻略している途中、色んな冒険者たちが利害の一致で協力しあいながらダンジョンを攻略しはじめた。実力者のヒュウを筆頭に実力のある冒険者たちが連携しながら強敵なモンスターを攻略していき、そのパーティは徐々に増えていった。だが、中には戦いに参加しない者も出始めた。
一見するとヒュウを中心に勢力を拡大させて一軍となって攻略していくように見えるが。戦っているのは殆どヒュウと前線部隊。後ろはセコセコとドロップアイテムを回収していった。
つまり、ヒュウや前線以外は完全に寄生プレイをしていたのだ。
「ああいう攻略が存在することは予想できたし、こういうのは冒険者同士で解決してもらわないと・・・ほら、もうひと悶着起きた」
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6階層
「おい、テメェら!さっきから後ろで隠れて道具ばかり拾い集めて。戦う気あるのか?」
「ひひ、そんなことありませんよ。俺達だってちゃんと戦ってますよ・・・さっきだってゴブリンをしとめましたし」
前線冒険者の一人がニヤニヤ道具を眺めている寄生冒険者に睨みつけながら怒鳴るが、寄生冒険者は涼しい顔でいる。
「俺達が必死で戦っているのに・・ここで切りつけて『やめろ!』・・・ヒュウ様」
前線冒険者が今にも切りかかりそうなところをヒュウが武器で受け止める。
「こんな奴らに無駄な体力使うな・・・ダンジョンの攻略に集中しろ」
「しかし、こんなやつらいるほうが足手まといですよ!」
正直、ヒュウも同じ気持ちではあった。こんな奴らといたら攻略のペースは落ちる。事実、寄生冒険者達のせいで避けていたトラップが作動したり、声をかけられて足止めされることが何度もあって攻略のペースは格段に下がっている。特に酷かったのが、誰がドロップアイテムを手にするかもめていたことだ。
「こういう問題はギルドに報告が必要だな・・・よく聞けお前ら!気付いていると思うがこのダンジョンは上がるたびに攻略の難易度が上がっている。お前達の心配をしている余裕は無い。よって例えお前たちが魔物に襲われていても助けることはしない。いいな!」
ヒュウの発言に不満の声を上げる寄生冒険者たち。未だにまともな宝を手に入れていない者をいるためその不満が毀れている。
「ちょ、ちょっと待て!じゃああんたは俺達を見捨てるのかよ!せっかくここまで一緒に来た仲間だろ?王国騎士団の団長がそんなのでい『黙れ寄生野郎』・・・ぐふ!」
「てめぇらなんか、鼻から仲間とは思っていない!」
まるで裏切りキャラが言うセリフだ
「戦う意志の無い奴らはとっとと安全エリアに行って帰りな。後は自力でやれ」
そう言い残してヒュウをはじめ実力のある冒険者たちが進みだす
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管理室
「どうやら、問題は解決したみたいですね」
「ああ、ギルドにもこの問題が知れ渡るから何かしらのルールは決めそうだな」
そして再びヒュウたちの攻略が開始される。寄生冒険者(足手まとい)がいなくなったおかげでヒュウたちの攻略はさらにスムーズに進む。
残された寄生組は距離をとってヒュウを追いかける者もいれば安全エリアを探すために別行動し始める者も出始めた。
だが、寄生組の殆どが安全エリアに到着する前にモンスターと遭遇して脱落する。元々レベルも所持スキルも、統率力も低い集団が6階層のモンスターに勝てるはずが無い。脱落した冒険者たちは光の粒子となって無事に入り口に送還される。
「前線組、移動床トラップにかかりました・・・後ろから追跡していた寄生冒険者数名もかかっています」
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6階層
「こんなトラップまで仕掛けているのかよ!まてよ、このパターンって」
「ヒュウ様!後ろにあいつらが走ってきます・・・このトラップももしかしてあいつらのせいで『ヤバイ全速力で走れ!』・・ヒュウ様?」
ヒュウが振り向くと寄生組み十数名が走ってくるのが見えた・・・だがその瞬間、何が起きているのかすぐに理解し前線組に猛ダッシュで走り出すように指示をだす。
寄生組の後ろには見事なトゲがついた壁がゆっくりと迫っている。ヒュウ達が必死に走るが床の速度が徐々に加速していき次々と冒険者達が壁の串刺しになって光の粒子へと変わっていく。
その光景は冒険者側から見たら絶望としか見えなかった。
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管理室
「ははは、凄い凄いこれってコウキ様が考えたトラップですか?さすがです!私たちも冒険者たちを苦しめるトラップを作れるよう精進します!」
タマモは寄生組の断末魔を楽しそうに見て、何か恐ろしい計画を立て始めた。
管理組たちもタマモに影響されてきているせいか、冒険者・・・特に寄生組が泣きべそかいている姿を見てスカッとしている
・・・悪魔だ、悪魔たちがここにいる
「ちなみにこのトラップを突破する方法は少し先にあるボタンを押せば停止するよ・・・多分ヒュウはそれに気付いているね」
画面に映し出されるヒュウはいたって冷静に周りを見始め、ボタンのありかを探していた。
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6階層
「お、俺もうダメ!」
「こら!引っ張るな!・・・ぎゃあああ!」
文字通り足の引っ張り合い。一人が力尽き道連れの方日で他の冒険者の足を引っ張り、芋づる式のように冒険者たちが串刺しになって消えていく。
「ヒュウ様・・・俺達もそろそろ限界です!」
「・・・見つけた!あのボタンだ!」
天井を見たヒュウは赤いボタンを確認し、タイミングよく跳びボタンを押す。
床の速度は徐々に減速していき、ようやく停止した頃にはトゲ壁も光の粒子となって消えた。
後ろにいた寄生組もかなり脱落していた。
「・・・後ろは気にするな。すぐに安全エリアを探すぞ」
ヒュウが指示を出すと前線組はそれに従って安全エリアへと向かう。
第6層の生存冒険者数:31名




