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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第三章 街合宿編
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26話 お金があるので即購入しました

別荘を購入したことで俺のモニターに『別荘を購入しました』というメッセージが用事された。


「っちょ!何勝手に購入しているのだい!」

「え?でも、こういうのは早めに決めたほうがいいかと思って」

「あのな!こういう場合は一度現場を見てから決めるものだぞ。なのにただカタログ見ただけで購入とか・・・もう少し慎重に決めるべきであって・・・・」


まあ、ウィリアムさんの言うことは分かる。現物を見ずに買うのは愚行といえる・・・大金が手に入ったせいか少し舞い上がっていたのかもしれない。


「でも、ウィリアムさんが見せてくれた物件だし、ギルドが管理しているのなら安心していますし」

「コウキ君・・・君の性格は嫌いじゃないがいつか痛い目を見るぞ」

「はい・・・・気をつけます」


ウィリアムさんの説教も終わり、俺達は現地に行くことにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

別荘


「これが別荘」


別荘はギルドに負けないくらい豪華な建造物・・・だが


「これはまた・・・・」

「だから、先に現場を見てから考えたほうが良かったのだ」


明らかに貴族様が住んでいますよっとアピールしているのが一目で分かる成金豪邸だ。大理石で作られた女性の裸体がいくつも道沿いに置いてあり、噴水も気持ち悪い魚の口から水が出ているし、正直、『趣味悪』という感想が頭の中で暴走して今にも口から出そうだ。他の皆も似たようなことを思っているが、俺が購入したこともあり何も言い出せない状態だ・・・うん、今度から気をつけないとな。


「では、こちらへ」


合鍵を取り出したウィリアムさんが扉を開ける。


内装はごく普通でさっきまでの豪華さとは一転してボロボロ。なんというか、外だけ豪華で中は質素・・・『ハリボテ豪邸』といったらしっくりきそうな建物だ。床は軋むは、穴は開いているわ、蜘蛛の巣は張り巡らされているわ・・・・


「中にある家具や売れそうなものが全てギルドが没収しましたのでな、残ったものは最低限生活が出来る家具だけだ。あ、だが設備は最新のものらしいからそこは保障する。中の手入れも全く手をつけておらんのでな・・・ギルドに依頼すればすぐに修理に取り掛かるが」

「いや大丈夫です。必要なものは俺達でそろえますから。後は俺達が見て回ります」


ウィリアムさんは「そうか?」といい、合鍵を渡してギルドに戻っていった。


「さて・・・全員集合!」


俺の合図とともに全員がビシッと背筋を伸ばして整列する。


「すまんな、こんな家にしちゃって」

「いえ、最初にも申しましたがコウキさんが購入した家です。我々が口を挟むなんて」


まあ、そういうと思ってはいたが


「そんな訳でこの家をリフォーム・・・建て直し作業を行う。デザインはテスラに任せる。必要な材料とかあったら遠慮なく言ってくれ」


俺が指示をするとテスラが慌てふためく。


「わ、私がですか?!」

「他に誰がいる?・・・あ、ジョージに任せるか。同じ建設部門だし」

「え?・・・自分は生活部門で料理担当なのですが」


え?・・・


「え?・・・料理」

「はい、料理です。レパートリーの少なさに悩んでいたところをゾア様に合宿メンバーにと誘われたのです」


そうだったのか!ゴツイ体だからてっきりテスラと同じ建設部門だと思ってた!

かってに勘違いしていた自分が恥ずかしくなり真っ直ぐ見ることが出来ない。


「そ、そうか。じゃあすまんがやっぱりテスラがリフォーム担当。残りは俺と一緒に市場で買出しに付き合ってくれ。テスラも材料とか必要なものがあったら俺のところに連絡してくれ」


テスラはやる気を出したのかさっそく大きな紙を取り出し設計図を書き始める。俺達も作業スペースなど意見を出し合いながらどこに何を建てるのかを決めて最終的な設計図が完成した。


さっそく、テスラは用意していた道具を取り出し作業を始める。俺達は邪魔にならないように市場へ向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

市場


ダンジョン出現の影響なのか、以前来たときとは比べ物にならないくらいの人でにぎわっていた。そしてそれに負けないくらい店は活気で対抗している。


「す、凄いです!人がゴミのようです」


こら、プラムそんなこと言っちゃいけません。ってかそのネタどこで覚えた?エイミィか?あいつなら教えかねない。


市場は祭りの出店のような簡易式屋台で商品がズラーっと並んでいる。そして奥に進むほど屋台は大きくなり、しっかりとした店が並び始める。どうやらこれが商人ギルドのランク制なのだろう。


ランクが高いほど屋台の品質が良くなり自分の店を置くことが許されるようになる。限られたスペースしかない市場にとってはかなり競争率が高いだろう。商人ギルドに入会している俺も店を出そうと思えば出せるがその場合色々と契約書を出さないといけないから正直面倒だ。


「それじゃあ、ジョージとマリーは見るものが多いだろうから先にお金を渡しておくよ。買い方は俺が別荘を買った時みたいにモニターを操作すれば購入できるから」


俺はジョージとマリーにそれぞれ50万Eをモニターを操作して渡した。二人には別荘用に必要な道具とかも取り揃えておいて欲しいし。特に、ジョージとかは食材だけでなく調理器具とかも必要だろうし。


「もし、足りなかったら連絡してくれ」

「はい、分かりました。コウキさんの別荘にふさわしい素晴らしい家具を揃えて見せますわ」

「自分も、皆に満足してもらえる料理を用意してみせます・・・しかし、よろしいのですか?我々が単独で行動してしまって?護衛がワイトとプラムのみでは・・・」

「大丈夫だよ・・・何かあったらこっちから連絡するし。二人には頼りにしているから」


俺が軽く手を二人の頭に乗せると照れくさそうな顔をして頷いた。ジョージとマリーも少し悩んでいたが、まあある意味俺からの命令とも捉えられるため納得した様子でそれぞれ目的地へ向かった。


「さて・・・二人は何か欲しいものはないか?」


俺は親戚の子供におもちゃを買ってあげる気分で二人に質問した。


「えーと、私は機織り機と素材道具がほしいです」

「・・・自分は道具は揃っていますので。素材があれば」


子供である前にこの子達はすでに職人であった。お菓子とか玩具を想像していたが、どうやら大人たちと同じ環境にいすぎたせいでそういう物には興味を持っていない。というか、彼らは並べられている品のほうに目を輝かせている。


「分かった・・・じゃあ、まずは素材から探すか」


俺はモニターを操作して【鑑定スキル】をオンにし、鍛冶ギルドが提携しているエリアに向かった。このスキルは非情に便利なのだが、ずっとオンにしていると常に情報が目に映るためかなり疲れるため使うときだけ使用するようにしている。簡単に言うと読みたくも無い本を無理やり読まされている気分になる。


ちなみに、才が持つ【万能鑑定】はこのスキルの最上位版俺が見ている情報以上に詳しく知ることが出来るそうだ。


「コウキさん、これ凄く良い素材です!」


プラムが手に取ったのは『マッドシープの毛糸』という鮮やかな黒い糸玉だ。俺の鑑定スキルでも『良質』と出ている。他にも『マッドシープの毛』と表示された、茶色い糸玉や黄色い糸玉もある。


「お嬢さん、良い目をしているね。それはメゾン王国に生息している『マッドシープ』の毛さ。特にその黒は良質な黒土を食べて育ったマッドシープだからね・・良い色しているだろう」


目を輝かせるプラムを見て嬉しそうに説明をしてくれるオジサン店員。


メゾン王国・・・・・最初に俺のダンジョンに挑んできた兵士達もたしか、あそこからだったな。土地の広さならアルヴラーヴァ最大で、特に農作業が盛んだ国・・・・っとエイミィが言っていたな。


「はい!コウキさん・・・」


プラムは物欲しそうな目で俺を見つめる


「いいよ。必要な分だけ取りな。他の色も選んでいいから」


そういうと、プラムは興奮した状態で糸玉を次々と見比べ始め次々と俺とワイトに買ってもらいたい素材を手渡す。


後で気付いたことなのだが、この糸玉はかなり高級素材であり、俺は気付かずかなり高いものを買わされたのだった。


次に向かったのはワイトが探していた鉱石とかを売っている店。


「そういえば、ダンジョン産の鉱石の方が良い素材なんじゃないのか?鉱石とかだったら俺のマジックポーチに大量にあるが」


現在、俺のマジックポーチの中にはダンジョンで採掘できる鉱石約50種類×80個入っている。特に使いようが無いが物々交換とかに役立てるかと思って念のために入れてある。


「・・・いえ、わざわざコウキさんの鉱石を使う必要はありません。それに、そんな貴重な鉱石を自分なんかのために使うのは勿体無いかと思います」


相変わらず自分のことを蔑む言い方をするワイト。彼のことを色々と知りたいが何度も『自分なんて』と言ってあまり情報を得られない。


「まあ、必要になったら言ってくれ。それでワイトは何を探しているんだ?」

「出来れば鉄鉱石・・・それも品質は『悪い』のを大量に・・・あ、あれなんか良いですね」


え?悪い品質?・・・俺の聞き間違いか?と思ったらワイトは大量に積み上げられている鉄鉱石の山に向かって走り出す。まるでバーゲンセールの売れ残り、あるいは訳あり商品みたいに誰も手に取ろうとはしていない場所にワイトがたった一人立っていた。俺の【鑑定スキル】でも品質は『最悪』と表示されている。


「おやおや、少年この鉄鉱石に興味があるのかい?この鉄鉱石はあの有名なダンジョンから掘り出された最上品質の鉄鉱石なのさ・・・少年には特別に超格安で売ってあげるぞ」


怪しげな老人が興味深そうに見ているワイトを見るとすぐさま隣に立ちゴマすりポーズで接客を始めた。


嘘こけ!何がダンジョン産の最上品質の鉄鉱石だ!詐欺罪で訴えようか?!


「・・・コウキさん、この鉄鉱石をお願いします」


え?マジで買うのか?


「ワイト。本当に良いのか?その鉄鉱石?は・・・」

「構いません。それにこの鉄鉱石だからこそ・・・なのです」


ワイトがそこまでいうのなら、と思い。俺はワイトの変わりに大量に積み上げられた鉄鉱石を全て買い取った。ちなみに、この鉄鉱石の山はプラムが購入した糸玉2個分の値段だった。


老人はニヤついた顔で『またのご利用を』と言って手を振り見送る。もちろん後で『馬鹿め』と聞こえたので、ウィリアムさんにこっそりと連絡を入れておく。『子供を騙して粗悪品を買わせた悪徳商人発見』と。おそらく、すぐにでも警備兵がやってきてあの老人を捕まえるだろうな。・・・うん、詐欺は良くない。


その後、俺たちは市場を歩き回り珍しい素材を見つけては購入する、買い漁りモードに突入した。もちろん、後から連絡が来たテスラから頼まれた素材も忘れずに購入する。


気がついた頃には大量にあったお金もかなり減っていて反省点があったがまあ、そのおかげで色んなものが手に入ったので満足はしている。こんな経験、地球ではまずありえないからな。


ジョージとマリーからも買い物終了の連絡が来たので出口のほうに向かった。

「二人ともお疲れ様。どうだった?良い物みつけた?」

「はい、素晴らしい家具が沢山あって。正直目移りしぱなしでした。ですがおかげでよい勉強にもなりました」

「自分も見たこともない食材を目にして今にでも料理をしたい気持ちです」


どうやら、二人とも満足いくものが見つけられたらしい。その証拠にジョージたちの後ろには大量の食材と家具が積まれたリアカーがあった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

別荘


別荘に到着すると満足げな様子のテスラが出迎えに来てくれた。


「お帰りなさい」

「ただいま、テスラ。リフォームのほうはどんな様子?」

「はい、一応あるもので修理は進みました。生活する分には問題ないかと思います。コウキさんに頼んだ素材があれば、より良い住居にしてみせます」


テスラの言うとおり、中は見違えるほどに綺麗になっていた。床などは全て張り直し、蜘蛛の巣とかも撤去、異臭などもない。壁があった場所も撤去され、今は広々とした空間になっている。たった数時間でよくここまでできたな。


「凄いな、ここまで仕上げるなんて」

「現在、皆で作った図を元に部屋割りをしています明日には完成しますので。しばらくご辛抱ください。一応、優先場所としてコウキさんの私室、調理場はすでに完成してありますので確認をお願いします」


いや、俺の部屋とか別にいいのに。ジョージはさっそく積まれた食材と一緒に食堂へ向かった。


「おお!素晴らしい!これ・・・全部自分に任せてくれるのですか?!」


まるでどこかの定食屋の雰囲気の食堂。調理場は5人くらいが同時に作業しても余裕があるスペースで、設備もしっかり整っている・・・そういえば、ここって宰相の別荘だったな。ウィリアムさんも設備は保障するとか言ってたし。


ジョージは感動のあまり膝をついてしまっている・・・大袈裟すぎだろ。


「それじゃ、ジョージさっそく何か作ってくれよ。その間俺達は家具とかを置いてくるから」

「了解しました!」


やる気を出したジョージはさっそくエプロンと手ぬぐいを取り出す・・・どこの料理漫画の主人公ですか?


俺達は玄関に戻りマリーが買ってきた家具などを移動させる。彼女が色々と考えて選んだ品で、次々と彼女の指示で家具を置いていく。


「ワイト君、その鉢植えはそのソファーの隣・・・プラムちゃんの壷はここ。あ、テスラさんそのテーブルはあそこに運んでください」


次々と運ばれ、コーディネートされている部屋・・・力仕事は主にテスラががんばってくれたおかげでそこまでかなりスムーズに進んだ。


全ての家具を置き終えると、タイミングよくジョージが飯の準備が出来たと報告が入る。


晩御飯はバナナのフルコース・・・ではなく、ごくシンプルな料理が大量に並べられていた。


「現在の自分ではこれが精一杯なのが恥ずかしいことですが。この合宿で多くの料理を学びたいと思います」


ジョージはやや悔しそうな顔をしているが、俺からしたら良い出来栄えだ。味も申し分ないし、『これからが楽しみだ』と言って励ます。


その後、全員はHPをギリギリまで使い切ったのか、部屋に戻るとすぐに爆睡モードに入った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

光輝の私室


俺の部屋は宰相の私室だった場所らしく、他の部屋と比べてかなり広い。家具は最低限のものしか用意していないから余計広く感じる。



俺は誰もいない部屋でモニターを開き『ゾア』に連絡を取る。




「ゾア、俺だ光輝だ。・・・・ああ、ホワイトリーについて聞きたい」


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