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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第三章 街合宿編
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24話 技術を学ぶために合宿を始めました

「外の町で合宿?」

「そう、合宿。色々と試したいことがあってな。ダンジョンの方も俺がいなくても大丈夫そうだから何人か連れて合宿を行おうと思っているんだ」


ダンジョンの運営は安定していき、俺がいなくても管理チームがしっかりやってくれる。最近では管理チームから新しいトラップやギミックのアイディアを考えるなど、管理だけでなく新しいことに挑戦してくれる。実に頼もしい部下達だ・・・まあ、時々あいつらが見せる黒い笑みには引きつるが・・・。


「街も大分形になってきたからな。そろそろ技術職に力を入れようかと思っている。お前も学校運営とかに力を入れているから教育する人材とかも必要だろ?」


住民達が住む住宅エリアの建物は完成した。技術職の者達も手が開いた状態のため、彼らに外の世界を知ってもらうことと、ギルド登録をしてもらおうと考えた。


エイミィが現在作っている学校はまだ完成していない。肝心のカリキュラム、教材、教える教師が全く確保できていないと後で知り、長い説教をした後に一度学校設立計画を中断させた。俺は教材を集めるために外に出て教材とかを買い集めることにし、せっかくなら住民達にも外に連れ出そうと思い合宿計画を思いついた。


「それじゃあ、ゾアに確認を取るか」


俺は早速モニターを開き『ZOA』と表示された文字をタップした。すると、怪しげなフードを被った褐色肌のイケメン少年が姿を現した。


「ゾア、俺だ、光輝だが。今いいか?」

『コウキさん、ええ今は大丈夫やで。何か御用でっか?』


相変わらずこの似非関西弁には馴れない。ダークエルフであり地下22階層のフロアボスであり、『虚無の皇帝』の二つ名を持つこの男は関西弁で話す。まあ、そのギャップもあってか面白い奴と認識している。ゾアは現在ダンジョンの技術開発部門の責任者であり、街の発展に欠かせない所を任せている。


「実は近いうちに外を知ってもらう事と技術力向上の目的で合宿を行おうと思っている。それで少数で何人か連れて行こうかと思っているんだ。外の世界に興味があり、伸び代のある人材はいないか?」

『なるほどなぁ。大丈夫やで身近に適任な人材が何人かおります。他の部門にも興味ある者もおると思いますから、護衛の役割も加えて彼らにも声をかけておきますが』

「分かった。人選はそっちに任せる。あまり街の開拓に支障が出ない程度で頼むよ」

『了解したで・・・しかし、せっかくの初セリフがこんな形とは・・・・』


ゾアがそう言い残し通信を切った


・・・初セリフ?



「あ・・・そうだ、合宿ならしおりが必要か」


・・・・・・・・・・・・・・・


数日後、俺の目の前にはゾアが選んだ5名の人材たちが整列をしていた。


「それじゃあ、自己紹介から始めてくれ」


「地下6階層出身、魔人族・夢魔種のマリーです。お会いできて光栄ですコウキ様」


最初に自己紹介をしたのは蝙蝠の翼をつけた美女。夢魔って事はサキュバスが進化した姿なのかな。確かに色気ムンムンな美貌をしている・・・もし彼女に誘惑されたら殆どの男達は堕ちるだろう。


「10階層出身、魔人族・巨人種のテスラです。ご無沙汰しております宴の時以来ですね。グラム様に代わってコウキ様の護衛はお任せください」


たしかグラムの部下で宴の時に挨拶した女性巨人だ。どうやらグラムにも話を通して建設部門からも人選したのだろう。190cmとこのメンバーの中ではダントツで背が高い。どうやら、護衛も兼ねて一緒にいくらしい。


「27階層出身、獣人族・ゴリラ種のジョージです。お会いできて光栄です。コウキ様」


こんどは筋肉質な男性。元がゴリラというだけはあり強そうな外見で野生的な目以外は人間とあまり変わりない。強面な面でまさに現場で働く作業員ってイメージだ。この人も多分テスラと同じ建設部門で働く住民だな。


「地下25階層出身、ドワーフ族のプラムです!よろしくおねがいします!」


元気よく挨拶をしたのは小柄な少女。ドワーフ族ということはやはり職人としての技術は高いのだろうか?明るい性格みたいだし、道中で色々と話が聞けそうだ。


「・・・地下22階層出身、屍人族のホワイトリーです・・・ワイトと呼んで下さい」


そして、最後に自己紹介したのはプラムと同じくらいの少年。プラムとは対照的に引っ込み思案な少年だ。出身階層が地下22って事はボスフロア出身者なのだろう。屍人族の特徴らしく、髪の色が灰色で黒いメッシュがかかっている。


それぞれが別の担当フロア出身者で別の部門から選ばれた者達。こういうのを見ると異文化交流を行っている気分だ。


俺は皆に軽くこれからのことを説明した。


「よし、ゾアから聞いていると思うけど説明するね。これから皆は俺がダンジョンの外に連れて行く。目的地は森を抜けた先にある街、トレスアール。そこで君達はギルドに入会してもらい、しばらく滞在してもらう。この合宿では技術向上と外の世界を知ってもらうことを目的としている。そのことを忘れないように」


皆真剣な表情で俺の説明を聞いてくれている。こういう姿勢は伝える側にとっても気持ちよい。


「それと、これは俺からのお願いなんだが。外に出たら俺のことは『様』付けはしないでくれ。あくまで俺はノフソの森にある集落に住む人間の一人ってことになっているから」


俺から『様』付けしないようにと言った瞬間、皆が困惑した表情を見せた。


「・・・では、何とお呼びしたらいいですか?」

「ん~普通に呼び捨てで『出来ません!』・・・じゃあ、さん付けで」


呼び捨ては即却下され、さん付けで決まった。親しい友が出来ると思ったが失敗に終わった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ダンジョン外


転送陣から外に出て回りに人がいないことを確認して俺達はトレスアールを目指して進んだ。マップにマーキングをしたから、後はナビにそって進めばOK。


冒険者たちが通るようになってからは森にしっかりとした道が出来ており、何度か武装した冒険者や兵士達とすれ違った。俺が軽く挨拶をすると返事をしてくれる冒険者がいればシカトする冒険者もいた。

「「「「「・・・・・・・・(ギロ)」」」」」

シカトされるたびに皆が殺気を冒険者に向けるのはやめてもらいたい。


「なんなんです、あの冒険者!コウキさ・・・ん!今すぐあいつらを血祭りにあげましょう!ご命令あればあいつらを簡単に葬ってあげます!」


マリーが物騒なことを言っているが他の皆が頷く。


「いや、いいよ。どうせあの冒険者達は1階層ぐらいで脱落するから。あいつらの装備やレベルとかをありがたく使わせてもらおう。それにそんなことを一々気にする必要ないからね」


アルバイト時代、ティッシュ配りの手伝いをしたときのあの孤独感と比べたら屁でもない・・・やば、なんかトラウマスイッチが入りそう


「・・・コウキさん何かありましたか?」


ワイトが心配した様子で俺に尋ねてきた。


「ん?いやなんでもないよ。そうだ、街まで時間があるし色々と君達の話を聞かせてよ。こういう機会って滅多に無いから。色々と知りたいかな」


住民達と一緒にいる機会は本当に少ないから交流の意味も兼ねてこの合宿はかなり重要だ。


「自分達のですか?・・・コウキさんからしたら自分のことなんてたいしたこと無いと思いますが」

「そんなことは無いさ」

「はーい!じゃああたしから話しまーす!」


天真爛漫な笑顔で手をあげたプラムが返事をした。


「あたしね!ドワーフに進化する前は妖精だったの!っで、エドワード様に魔力を注いでもらってドワーフ族に進化したの」


妖精か・・・たしか、エドワードが担当するフロアはスピリット系、アストラル系のモンスターが出る設定だ。妖精もポップモンスターの一体として登録されている。


「なるほどね・・・じゃあ、今はドワーフとして鍛冶師をやっているの?」

「ううん、あたしは裁縫が得意だから服とか作っているの。この服も私が作ったんだよ」


プラムが服をつまみ俺に見せるとかなり繊細な出来だった。刺繍とかもしっかりしており、模様とかも立体感あって良い服だ。確かドワーフは手が器用な種族だったはず。だけど鍛冶師ってイメージが強いから繊細なイメージが思いつかなかった。女性陣たちはプラムの服を興味津々に見ていた。帰ったら彼女にオーダーメイドでも頼みそう。


「ちなみに、鍛冶師はワイトだよ。作業場でよく大人たちと一緒に武器とか作っているの」

「へぇ、ワイトって鍛冶師なんだ。しかも武器とか作れるとか凄いじゃないか。」

「・・・」


ワイトが照れた様子で下を向いた。相当恥ずかしいのか、色白な肌もやや赤めいている。


「では、次は私ですね」


次に説明をしてきたのマリーだった。


「私が進化する前はサキュバスってモンスターで好物は男性たちのs『子供がいるからそれ以上はダメ!』・・」


危ない、危うくR-18の領域に踏み入りそうだった。ワイトとプラムは不思議そうな顔をしていたが、大人であるジョージとテスラは気まずそうな顔をしていた。


「今は魔人として進化したから、普通に肉や野菜を食べて生活は出来ます。まあ、今でも味わおうと思えば『普通の食べ物で食事を取ってください!』・・・分かりましたわ」


サキュバスか・・・男として興味はあるが今は子供がいるからあまり深く質問できない。俺は大人として子供達の見本とならなければならないんだ。今度ダンジョンに戻ったら確認してみよ。いやいや!これから合宿なんだ!何帰ったときのことを今考えているんだ!俺のアホ!


「そういえば、マリー以外にも夢魔種はいるのか?」

「ええ、私以外にあと4人。その内3人が女性、1人が男性」


俺が必死に煩悩を抑えている間にジョージが質問した・・・おのれ!俺が必死に堪えていたのに・・・・グッジョブ!


ってか、男版のサキュバス・・・インキュバスもダンジョンにいるのか・・・男相手でも狙うのかな?


「では、次は俺の番かな。俺が見ての通りゴリラの魔獣が進化した獣人だ・・・腕力だけならフロアボスであるグラム様にも負けるつもりは無いぞ」


どうやら、ジョージは脳筋タイプだ。グラムとは馬が合いそうな性格をしている。


「サルごときが、グラム様に勝てるわけ無いだろ?」


そして、ジョージの言葉に食いついてきたのはグラムの部下であるテスラだ。ああ、なんとなく予想はしていたがこの人も頭が筋肉なんだな。


「何だと?やってみなければ分からないだろ?」

「貴様ごとき、私が相手してくれる!」


テスラの魔力が腕に集中し、腕だけが巨大化した。おそらく巨人種特有魔法で、身体の一部を巨大化・・・いや、元のサイズに出来るのだろう。なんだろうこの技、昔読んだ漫画にそっくりだ。


テスラの巨大な腕がジョージに襲い掛かるが、ジョージはニヤッと笑い受け止めるかまえに入った


「んな!」


さすが、力を自慢するだけのことはある。あの巨大な拳を受け止めてまだ余裕そうな顔をした。そして、テスラも満足そうな表情でジョージと握手を交わした。


「先ほどの言葉は撤回しよう。すまなかった」

「お前もなかなかの拳だ・・・正直受け止めるので精一杯だ」


なんだろう、いつの間にか筋肉の友情が芽生えたのか、二人だけの空間が出来上がっていた。他の三人も何を言えば分からない表情でお互いを見ていた。


「おーい、二人ともカムバーック」


俺が声をかけるとようやくこっちに戻ってきた。


「「も、申し訳ございませんでした」」

「いや、大丈夫だから。それより今の衝撃で誰かに気付かれたかな?」


俺が辺りを見渡す限り人が見ていた様子は無い。


「・・・大丈夫です。人はいません」


ワイトが自信持って言うと俺はホッとした。


「二人とも、ここはもうダンジョンの外なんだ。騒ぎを起こしたら駆けつけてくるだろうし、質問攻めされたら色々と面倒だ。以後は騒ぎを起こすなよ」


「「・・・はい」」


大の大人二人揃って・・・頼りになると思っていたら一番心配な要素だったよ。なんか、気弱だけどしっかりしているワイトが一番大人に見えてきた。


「では、気を取り直して。次はテスラお願い」

「は、はい。私は元巨人族で現在は魔人・巨人種です」

「巨人族と巨人種ってのは違うのか?」

「ええ、巨人族はただ体の大きい人型の魔物。魔人へ進化することで小さくなりますが、高い知能と魔力を手にすることが出来ます。身体も必要なときに巨大化することが出来ますので不便なことは全くありません」


女性で190cmの時点で十分巨大なんだけどな・・・まあ、巨人種にとっては普通なのかもしれない。そうなると巨人族という設定のグラムは特別なのかな、知能や魔力とは明らかに魔人よりも高いし・・・筋肉だけど


「なるほど」

「・・・・じー」


テスラの説明を聞くとプラムは興味津々な様子で見た。


「な、なんだ?」

「身体の一部って事は胸だけ大きくすることは出来るの?」


ブフー!!プラムさん、それ聞いちゃうのかい!幼いって怖い・・・


「んあ!!!」

「それは是非聞いてみたいわね・・・ついでに、その魔法とかも私たちも使えないかな?」


予想外の質問だったのか、テスラは顔を赤らめ、マリーも興味津々な様子だ・・・いや、あんた十分良いプロポーションの持ち主だから!それ以上どこを大きくするの?


「す、すまんが、この魔法は巨人種だけが使える固有魔法なんだ。だから、他人に教えることは出来ない。あと胸部のみの巨大化は出来ない!」


二人はがっかりした様子で肩の力が抜けた。


「それじゃあ、最後はワイトだな」

「・・・技術開発部門で鍛冶師をしています。進化前は死霊ワイトで名前もそこから付けてもらいました」

「え?」

「コウキ様どうかしましたか?」

「いや・・・なんでもない」


ワイトの話しを聞き俺は皆に気付かれないようにモニターからダンジョン情報を開いた


俺の記憶が正しければ・・・・・







モニターで確認するも死霊はダンジョンで登録されていなかった。

今回登場した新キャラ、マリー、ジョージ、テスラ、プラム、ホワイトリーの情報を登場人物紹介ページに載せました。


もしよろしければそちらも読んでみてください。

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