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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第一章 ダンジョン創作編
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18話 ダンジョンに戻ったら会議になりました

ダンジョンに戻るため『ノフソの森』に入って早2時間、俺はマップを確認するが近づいている気が全くしなかった。


「ったく・・・これ、マジで森の開拓が必要だぞ」


歩いても歩いても目に映るのは似たような形の樹ばかり、マップではしっかりと目的地へ進んでいるが、こうも同じ風景だと疑いたくもなる。


「コウキ様、お待ちしておりました」


画面から目をはなし前を向くとここにはいないはずの猫耳・・・正確には虎耳の女性が立っていた。


「カルラ!お前なんでここに!何でダンジョンから出ているんだ?!」


33階層のフロアボス、カルラが何故か出迎えに来ていた。


「詳しい内容は後で話します。今はついてきてもらえないでしょうか?別の入り口からダンジョンに入ります」

「・・・別の入り口って」


カルラについていくと小さな洞窟を発見した。中には洞窟とは不釣合いな豪華な扉があった。っというか、物凄く見覚えのある扉だった。


「これって、ダンジョンにあった扉じゃ・・・」

「エドワード、私だ開けてくれ」


『了解した。我は『原書の魔術師』エドワード!崇高なる主を神獣の導きにて大いなる玉座へと召還する。さあ、我が同胞よ、異界へ繋がる門を通り我らの聖地へいざなうのだ』


エドワード?・・・エドワードってたしか地下33階層のフロアボスだよな・・なんであいつが?ってか、あいつのセリフ・・・思わず吹きそうになったぞ。俺は必死で笑いをこらえ門を見た。


ああ、そういえばあいつのテキストフレイバーに『中二病』とか入れた覚えがあったな・・・変えられるなら今すぐ編集したい。


扉が開き俺達が入ると、確かに玉座の間に繋がっていた。すでにエイミィや他のフロアボス達も集結している。


「お帰りなさい光輝。あなたに言われたとおり、会議の準備は済ませてあるわ」


女神モードのエイミィだった。本当、素の状態の彼女を皆に見せたいよ。


「あ・・ああ。色々と聞きたいことはあるがそれは会議で聞くとしよう」


俺はモニターを開き、会議室への扉を出現させた。相変わらずなかは俺の知っているシンプルな会議室。プラスチックのテーブルに折りたたみ式のローラー付き椅子。後ろにはホワイトボードが用意されている。


しかもしっかりと『第2回 ダンジョン会議』と書いてあった。


「さて、エイミィ。まず聞きたいのは何故ダンジョンの入り口ではなく、別の入り口からここに呼んだ?」

「その答えはこれです」


エイミィの返事と同時にダンジョンの外の映像が映し出されていた。そこには、十数人の兵士達がキャンプをしていた。


「これって?」

「私を狙う兵士達・・・さっきまで武器やら使って無理やり入ろうとしていたわ。今光輝が戻ったりしたら面倒なことになりそうだったから、エドワードに頼んで別の入り口を作ってもらいました。そして、フロアボスの中で一番索敵に優れたカルラには光輝を探してもらうために一時的にダンジョンの外に出てもらい連れてきてもらいました」


なるほど、確かに俺がダンジョンの入り口の鍵を外したら一発で俺がダンジョンと関係しているとバレるからな。俺がエドワードを見ると少し満足げな顔をしていた。


外見は俺が中学の頃からやっていたオンラインゲームのアバターに似せて作った。

ぶっちゃけ、中二病だった俺が理想とする姿だからかなりイケメンになっている。このことは絶対に誰も知られたくない秘密でもある。


「じゃあ、次にカルラはどうやってダンジョンの外に出られたんだ?確かフロアボスはダンジョンの外には出られないはず」

「ええ、ですから彼女は今フロアボスではありません」


どういうことだ?俺は急いでモニターでダンジョンのステータスを見ると確かに33階層のフロアボスの名前がカルラになっていない。変わりに『創造の神:エイミィ』と表示されていた。


「どういうことだ?何でエイミィが33階層のフロアボスに?」

「簡単に言えば『代理人』を立てたのです。担当フロアに『代理人』がいればフロアボスはダンジョンの外に出られます。カルラの代わりに私がフロアボスになったことで彼女はダンジョンの外に出られたのです。この設定は私と光輝しか出来ませんのでフロアボスが勝手に出ることは出来ません」


なるほど、じゃあもし今後彼らを外に連れて行こうとした場合、ダンジョンに代理人を置けば連れて行けるってことか。


「理由とカルラについては分かった。それじゃあ、皆エイミィから大体の話は聞いていると思うが、俺はこの世界の人間を甘く見ていた。最初の挑戦者だけで世界の力量を判断して、ポップするモンスターを弱くしすぎた。だから、もう一度このダンジョンを作り直す。俺の身勝手で皆に迷惑をかけて申し訳ないと思う。本当に申し訳ない。」


何だろうこのデジャヴ・・・最初の会議でもこんな流れなかったか?


「お顔を上げてください、コウキ様。我々はコウキ様がこのダンジョンを素晴らしいものにしようと考えていることを心から感謝しています。ですから是非、我々にも手助けをさせてください」


フロアボス達の代表として発言したのはメリアスだった。相変わらずエイミィに並ぶ神々しさを感じられる。


「分かった・・・じゃあ、遠慮なく皆の力を借りるよ。まずドロップするアイテムについてだ」

「コウキ様、その件で発言をしてもいいでしょうか?」


ここで意外な人物が挙手した。グラムだ、そういえば俺がダンジョンを出た後に担当フロアの様子を見てもらったんだよな。


「グラムか、いいよ。何かな?」

「ドロップアイテムについてお見せしたいものがあります」


グラムが自分のモニターを開いて操作すると大量の金貨や宝石が山積みで出現した。中には激レアアイテムとして設定しておいた魔法道具もある。


「グラム、これって」

「はい、コウキ様の命によりフロアを一日かけて探索し倒したモンスターたちが落としていったものです。そのままにするのはもったいないかと思いまして全て集めておきました」


どうやら、俺が調査させた時に倒したモンスターが落としたドロップアイテムだ。基本的に魔法道具とかはレアドロップとして設定しそれ以外はお金になりそうなのを落とす設定にしてある。


もし、グラムレベルの冒険者たちが挑んだら一日でこれだけ集められるのかと思うと、とんでもなく奮発していると思えた。やはりはずれドロップは増やしておくべきだな。


「この宝をどうすれば良いのか分かりませんでしたので。出来ればコウキ様にお返ししたいと思いまして」

「いや、その財宝は持っていていいよ。モンスターを倒したのもグラムだし、その宝の正当な持ち主はお前のだよ」


普通だったら、喉から手が出そうになるが金品を自由に出せる今、俺には宝の山に価値は感じられなかった。必要な分はすでにギルドで手に入れたから特にお金に困ってはいない。


「・・・ありがとうございます。この財宝をコウキ様のために活用したいと思います!」


感動のあまり全身震えるグラム。俺、そんなに偉いことしたか?


「しかし、よく集めたな。一日でこんなに落ちるとなるとやっぱり調整は必要かな」


正直これの10分の一でも多い気がする。

才のギルドのことも考えるとあまり仕事のバランスを崩したくは無い。


歴史の本で昔アメリカのゴールドラッシュで多くの人が一攫千金のために鉱山にやってきたことがあるそうだ。その中には農民、商人、牧師までもいたそうだ。このダンジョンはいわば無限に金を生み出す金山だ。誰もが他の仕事を何より優先して冒険者となってここに挑むだろう。


才を困らせることはしたくはない。だから、ダンジョンに関しては出来るだけ俺で何とかしないと。


「アイテムのドロップは俺が減らしておく。皆もそれでいいね?」


全員が承諾してもらった後、次の議題に入った。


「次にモンスターについてだが今後ポップするモンスターのレベルは最初の設定に戻す予定だ。だけどすでにポップしたモンスターについてだが俺は消したくはない」

「それはどういう意味でしょうか?」


俺は才に言われた言葉を思い出していた、『お前が生み出した奴らは皆生きている』。始めはフロアボスだけのことと思っていたが。このフロアにポップしたモンスターもまた俺が生み出したモンスターでもある。


「このダンジョンで生まれたモンスターもまた生きている。俺の勝手で彼らを殺したくはない。そう思っただけだ。だけどそうなると強いモンスターと弱いモンスターが同じフロアに出ることになるんだ」


出来れば、モンスターを全て一度全部集めて保護したいと思っている。だがその後のことが思いつかない。


「では、今いるモンスターを『進化トプル』させるのはどうでしょうか?」

「トプル?・・・三倍に増やすのか?」


「それはトリプル」と後ろでエイミィが小声でツッコミを入れた。適切なツッコミをありがとう。


「トプルは古代語で『進化』という意味です。幸い、今いるモンスターは生まれたばかりで多くはありません。でしたらこのダンジョンの住人として受け入れるのはどうでしょうか?コウキ様やエイミィ様のお世話をする者もいれば助かるはずですし、今後ダンジョンを運営するのでしたら人手は必要になるかと思います」


メリアスのアイディアに賛同するフロアボス達。まあ確かにここに住民が増えるのはいいかもしれない。問題とか起こったら・・・・まあ、その時はフロアボスたちに任せよう。


「そんな簡単に出来るのか?」

「我々がそれぞれ担当フロアのモンスターに魔力を注げば数日で出来ます。ですのでコウキ様にお願いしたいのですが一度ダンジョンのポップシステムを遮断して、モンスターたちをフロアボスにまで送っていただけないでしょうか?」


俺がエイミィを見ると『可能です』と返事されそれを承諾した。今いるモンスターを消さずにすむなら今はそれでいい、そう思った。


「分かった。それじゃあ、各フロアにいるモンスターたちは担当するフロアボスたちの部屋に送るよ。皆もそれでいいか?」


フロアボス達もそれに頷き、早速俺はダンジョンのポップをオフにした。モンスターたちは一度フロアボスたちが戻った後に送ることにした。ついでに、エイミィのフロアボスの設定

をカルラに戻しておく。


数日後、俺は更なる問題が山積みとなって頭を抱える日々が来るとは今は考えもしなかった。


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