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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第九章 カグツチ騒乱編
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閑話 部屋が散らかっていたらスライムが掃除に来ました

フロアボスとはダンジョンを守護する最強の8名の総称


・・・っと、オリジンの住民はそう認識していた。

しかし彼らも住民の一人であり、その強さは事実であっても完璧超人というわけではない。


逆に言えば人間味あふれる人たちであり、得意なこともあれば苦手な物もある。

どんなに偉い人でも状況によっては逆らえない場合もある・・・いうなれば天敵のような存在だ。


そしてその最強のフロアボス二名には共通の天敵が存在していた。


「ゾア様、ミーシャ様・・・どいていただけないでしょうか?」


ダンジョン地下11階層フロアボス、魂魄の悪魔姫ミーシャと地下22階層のフロアボス虚無の皇帝ゾアはまるで宝物を守護するかのように自分たちの転移門の前に立ちふさがっていた。


フロアボスにはそれぞれ担当フロアに自室を持っている。そして自室には自分たちがよく利用する場所への転移門が用意されていた。光輝やエイミィであれば自由に好きな場所へ移動できるがフロアボスたちはダンジョンの階層を移動できても指定の場所までは選べられない。そのため光輝によって職場や食堂などよく利用する場所に専用の転移門が設置されているのだった。


そしてここ食堂でゾアとミーシャは一人の女性を自分の部屋に入れさせないように必死に抵抗していた。


「お二人ともそこをどいていただけないでしょうか?」

「いや、ララはん・・・それは堪忍してぇな。ホンマ、ワイの部屋は大丈夫なので」

「そうです・・・別にララさんが来なくてもこの問題は私たちで解決できますから」


二人が必死に説得している相手・・・ララとは魔人族・聖母粘体種の女性。粘体・・・つまり、元はダンジョンに生息するスライムが人型に進化した人物である。しかしただのスライムではない・・・ファウンダー・スライムという伝説ともいわれているスライムであり、全てのスライムの始祖とも言われている超激レアモンスターなのだ。


そんな彼女の特技がスライムを統率する能力と掃除なのだ。


そう『掃除』・・・彼女は大の掃除好きであり、フロアボスの部屋なんかも掃除したがるのだ。


ちなみにダンジョンなども定期的に大量のスライムを派遣して清掃作業を行ってもらっている。スライムは雑食?であり基本的に何でも溶かして養分にするため、道端にあるゴミなどを食べてくれる。


そのおかげでオリジンの街は綺麗であり、ダンジョンも冒険者たちが捨てたゴミが溜まらない仕組みになっているのだ。


「はぁ、コウキ様に抜き打ち調査と言われてララさんを入れてしまったのが失敗でしたね」

「ホンマや・・・ってかそんなに汚かったかワイらの部屋?」

「あなたたち、あの惨状を見てよくそのセリフ言えますね」


二人がそうつぶやいたのも、光輝ララを連れて抜き打ちでフロアボスたちの部屋の調査を行ったのが始まりだった。そしてフロアボスの中で断トツで部屋が散らかっていたのがゾアとミーシャ部屋だったのだ。東京ドーム一個分の広さを持つフロアボスの個室・・・二人の部屋には大量の研究資料や開発の物、持ち込んだ食べ物の食べカスなどが大量に散らばっていたのだ。


一体どういう生活をすればこうなるのか不思議で仕方ないが事実、この二人だけそういう惨状になっていたのだった。


当然掃除好きのララはこの光景を見て『掃除モード』のスイッチが入った。彼女はすぐさま自宅に戻り最新の掃除キットをフル装備して二人の部屋へ繋がる転移門へ向かった。


そして二人はものすごく面倒なことになることにすぐに気づき掃除それを阻止しようとしていたのだった。


以前、二人ほどではないがかなり散らかっていた光輝の部屋を掃除した彼女は一週間ほど部屋掃除の指導を強制的に受けさせられていた。その現場を見ていた二人は自分たちも同じ立場になることを容易に想像できた。


本来であれば光輝が被害にあっている時にこっそりと掃除していればよかったものの、二人はそうしなかった。


「私の部屋は貴重な薬品が大量にあります、もしものことがあったら大変です」

「せ、せやワイの部屋にも危険な魔法具がギョーサンあるわけやし。スライムたちに任せるのはちょっと・・・」


二人は必死にララを説得しようとするが、二人のもう一人の天敵が現れた。


「二人とももう諦めろ」

「「コウキ様!」」


二人がララの後ろから現れた光輝を見た瞬間『お前らだけ逃げようなんて許さん』と訴えるかのような眼差しを向けられた。


「「う・・・」」


二人はこれ以上逆らえないことを悟り転移門を明け渡すしかできなかった。


後にララによる大掃除がそれぞれ行われ見違えるように綺麗になるも、二人には貴重な研究の時間を割いて掃除講座を受けさせられたのだった。

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