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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第九章 カグツチ騒乱編
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155話 オンボロ屋敷だと思ったら、立派な旅館でした

「さあ、着きました・・・ここが俺達の宿です」


帝と話をした後、俺達はラセツに案内されて泊まる宿へたどり着いた。


「これ・・・本当に宿?」


見た目はまさに老舗・・・いや、老舗を通り越してオンボロ屋敷だった。っというか、お化け屋敷だろこれ!ドラマや映画だったら間違いなく殺人事件が起きているようなオーラを感じるぞ。


「おい、ラセツ?何かの冗談か?こんな所にコウキ様を泊めるつもりか?それなら俺達は狼車に戻るぞ」


不満の篭った声でグンナルがいうとタマモたちも激しく同意するように頷く。


「ははは、大丈夫だ・・・まあ中に入れば分かるさ」


そう言ってラセツが旅館の門をくぐった瞬間、ラセツの姿が消えてしまった。


「もしかして、結界か?」


以前エドに結界の種類を教えてもらったことがある。たしか、幻覚魔法を合わせたカモフラージュ結界が存在するらしく、認識阻害に近い高度な技術が必要らしい。


「ほれ、皆さん入ってきてください」


ラセツが門から顔を出した状態で手招きをする。まるで生首が手招きしている状態でメッチャ気味が悪い。


仕方なく俺達も門の中に入るとオンボロお化け屋敷は、一瞬で立派な旅館へと変貌した。


「これは凄い」


オンボロ姿を見た影響なのか、凄く豪華な印象を与えていた。


「ここが、武闘大会の間我々の拠点となる『ぬらり館』です・・・おーい、マタタビ・・・来たぞ!」


ラセツがそう叫ぶと入り口から猫耳の獣人がやって来た。


「長・・・予定よりも一日早くありませんか?」

「ああ、スマン。ちと、帝に呼び出されてな・・・さっきまで城にいたんだ」

「・・・でしたら先に連絡を入れてくれれば、出迎えていましたのに」

「いやー、悪い悪い・・・コウキ殿。この人がこの旅館の管理を任せているマタタビだ。俺の部下でもあるから遠慮無くコキ使ってくれ」

「はじめまして・・・『ぬらり館』の女将、妖人族・猫又種のマタタビと申します」


マタタビがそう言ってお辞儀をすると、二本の尻尾がゆらりと揺れる。


「長、お食事はどうなさいますか?」

「飯は城で食ってきた。風呂と布団・・・あと酒を何樽か用意しておいてくれ」

「かしこまりました・・・では皆さん、ご案内します」


そう言ってマタタビが俺達を案内するように中へ誘導する。

中は立派な木ぞう旅館であり・・・高級館溢れる立派なものだった。


「凄くいい場所ですね・・・こんないいところなのに何で、結界であんなボr・・・古く見せていたのですか?」

「あれは一種の警備用の結界です・・・あんなオンボロ屋敷に世界の重鎮が泊まっているとは思いませんから」


まあ、確かに賊とかがここに入ってくることは無いだろうな。あんなオンボロで気味悪い建物だ・・・ホームレスでも住み着こうとは思わない。


「それにここは特定の人が武闘大会の間ゆっくりしていられるための場所ですから・・・確か、一組予約が入っていましたな」

「俺達以外にも泊まっている人がいるのですか?」

「ええ・・・コウキ殿も知っている方なので後で会いにいかれますか?」


俺の知っている人?


「こちらがコウキ様達の部屋です」


マタタビが扉を開けるとそこは何頭言うか、俺がイメージする高級旅館をそのまま具現化したような場所だった。・・・いや、この部屋どこかで見たことがあるような・・・


俺が記憶の中をあさっていると、タマモは目を耀かせながら縁側に座って月を眺める。


「凄くいい場所です!コウキ様!」


かなりテンションが上がっているのか、タマモの尻尾がクネクネとゆれる。


「当旅館には自慢の温泉がありまして、只今の時間は女性用となっておりますが・・・お望みでしたら混浴にもできますが?」


マタタビはタマモの反応に面白がっているのかそんなこと言い出す。


「こ、混浴!」


それを聞いたタマモは顔を真っ赤にして頭から湯気が出始める。なんか凄く恥ずかしがっているぞ・・・そりゃ男に裸見られるのは恥ずかしいよな。


「いや、別々で・・・ランカ、さっきラセツさんが言ったようにここは安全みたいだからゆっくりしてきな」

「お心遣い感謝します・・・タマモさん、行きましょう」


俺がバッサリと答えると、タマモは落ち込んだ様子で尻尾がだらんと垂れる。そしてランカは用意されていた浴衣を手に取り、脱力したタマモを引っ張って行った。そんな二人をオウカは羨ましそうに見る。普通に考えたら動物は温泉には入れないよな・・・


「ちなみに動物の入浴も可ですよ」


オウカを見たマタタビの言葉を聞いた瞬間、期待の眼差しがこっちに向けられる。


「いいよ、言っておいで」

「ありがとうございます」


オウカは尻尾を思いっきり振り回しながらランカ達についていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、部屋には男が三人・・・女子の風呂時間は長い・・・これからどうするか。


「ラセツ様・・・お客様がラセツ様にお会いしたいと申してきたのですが」

「客だと?・・・まだ連絡を入れていないのに」


予想外といった反応でラセツがいうと、すぐさま扉の向こうから俺の知った声が聞こえた。


「ラセツ、俺だ・・・地天才だ」

「才殿・・・構わん、入ってくれ」


扉が開くと、才が片手で挨拶しながら部屋に入ってきた。


「才・・・何でここに?」

「俺達も武闘大会を観戦しにな。『見覚えのある魂の形と色が見えた』って聞いてもしかしてと思ってマタタビに聞いたらラセツ達が来たって知ってな・・・案内してもらったわけ」

「ちょっと、待て!『見覚えのある魂の形と色』・・・って」


そう言いながら扉の方に目を向けると白髪の少年が嬉しそうにやって来た。


「お久しぶりですコウキ様」

「ワイト!何で?学校は?」

「今はお休みです・・・それでマヤさんに一緒にカグツチに来ないかって誘われてプラムと一緒に来たんです」

「プラムも一緒なのか?・・・ってか、知っていたら誘っていたのに」

「学校のスケジュールは確か資料と一緒に保護者であるお前の方に送られているはずだぞ」


え?まじ?・・・サインの必要な書類以外はあまり目を通していなかったからな。


「そうか・・・悪かったな」

「いえ、コウキ様も忙しいですから」


ワイトは少し寂しそうな顔をするもそう言って慰める。

ううぅ・・・本当、ワイトはいい子だよ。


「あれ?ってことはヒュウ達もいるのか?」

「ああ・・・プラム・グローブを含めて女性陣は今風呂だ・・・ヒスイは久々の里帰りだから今都を観光中。ヒュウは歓楽街で遊んでいる所だろう」


なんと言うか。予想通りの答えだな。


「それで?才達が来たのって俺達に会うため?」

「まあ、目的の半分それだが、ラセツに渡しておきたいものを持ってきたのがもう半分の理由だ」

「おお・・・わざわざすまない」


何のことだろう?と思いつつ・・・才が取り出した書類をラセツは急いで目を通し始める。よほど重要なのか、ラセツは真剣な表情で書類を読み始める。


「・・・・やはりか。サイ殿・・・ギルドの尽力に感謝します。こちらが報酬です」


そう言ってラセツがモニターから才にお金を振り込む。


「確かに・・・じゃあ、俺は部屋に戻るがコウキ、ホワイトリーを置いていっても構わないか?色々とはないsたいことがあるみたいだし」

「そうだな・・・才、ありがとう」


才は笑みを見せながら部屋から出て行った。


その後、温泉で出会ったプラムを連れてきたタマモ達を交え・・・俺達の部屋はかなり賑やかになった。


後で知った事であるが・・・トレスアールにあるギルド用の旅館はこのぬらり館をモデルに建てられたらしい。

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