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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第九章 カグツチ騒乱編
156/189

148話 酒を飲ませたら鬼が暴れだしました

マサカで行われたお好み焼きパーティは盛り上がった。


凄く盛り上がった。

物凄く盛り上がった。

そして盛り上がりすぎた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ガハハハ!いやー今日は本当に楽しい日だ!」


大皿に乗ったお好み焼きを豪快に食べながら笑うラセツ。ランカがウルプノ焼きに挑戦しだした為現在は彼女が鉄板リングで巨大お好み焼きを作っていた。


「そうだ、ラセツさん。これウチで作った新しい酒なんですがどうですか?」


俺はそう言ってモニターを操作して大樽に入った酒を出現させる。これはリンドのフロアにある龍酒を元にメリアスが改良した物。オリジンブランドの酒を作れないかを試行錯誤して生み出されたもので、酒好きのリンドがこの酒をフロアに湧かせて欲しいと頼み込まれるほどだ。


「ほお、コウキ殿。俺が酒呑童子種だと分かって酒をだすのですな?」


ラセツは嬉しそうに酒樽を覗きこむ。


「ほほう、匂いからして果実酒ですな・・・しかしこの香りは・・・・・」


ラセツは酒の匂いを嗅いだ瞬間、今まで見せたこともない位幸せそうな顔をしていた。やめてくれ、オッサンのそういう顔は正直キツイ!


「ッハ、俺はいったい?!」


ようやく現実に戻ってきたラセツ。俺は酒樽から盃に注ぎラセツに渡す。


「どうぞ、できれば今後のために感想もいただければと」

「う、うむ・・・それでは」


ラセツは少し緊張した様子で酒を飲む。そして再びキツイ幸せ顔を見せる。


「・・・な、何なんだこの酒は!美味い!美味すぎる!これはテオのオークションで買った2億の龍酒より美味いんじゃないのか?!・・・いや、断然にこっちの方が美味い!」


再び我に返ったラセツがそんなことを叫びながら酒を見た。っていうか、2億の龍酒を買ったのアンタかよ!


「龍酒なら・・・ありますよ」


俺はそう言って酒樽に入った龍酒を出現させる。一応もしものために献上品としていくつか樽単位でストックしておいたんだよね。


「な!まさか本物の龍酒?!」


ラセツは今にも飛びかかりそうな勢いで龍酒を見る。


「コ、コウキ殿?!」


まるでご飯を目の前にして我慢している子犬のような顔でこっちを見るラセツ・・・だからオッサン顔でその目はやめてくれ!


「・・・ええ、どうぞ。飲み比べてください」


俺がOKサイン出すとラセツは盃に龍酒を注ぎあっという間に飲み干す。


「・・・ああ、本物の龍酒だ。しかも、以前飲んだのよりもはるかに身にしみる・・・だが、最初の酒と比べるとやはり劣るというべきか・・・いや、美味いのは美味いだが・・・」


言葉に悩むラセツ・・・まあ、とりあえずメリアスの作った酒の方が美味いらいしい。


「コウキ殿、この酒はなんという酒なのですか?!是非、名前を!」

「えーと・・・」


俺はすぐに【鑑定スキル】で酒を見ると物凄く見慣れた名前が出現する。


神酒・ネクタル


「神酒・ネクタルです」

「神酒・・・うむ、まさにその名に相応しい味だ。コウキ殿・・・今更ですがそんな高価な酒を振る舞って良いのですか?」

「まあ、一応試作段階だったし。国外からの感想も是非頂きたかったので構いませんよ。一応データを取りたいので、部下の皆さんにも是非」


俺がラセツの部下に目を向けると彼らもネクタルに釘付けだった。そしてラセツも『一杯だけだぞ』と言って頷くと全員が一斉に盃を片手に酒を取り合っていた。


「うっは!美味い!美味すぎる!」

「すげー、幻とも言われている龍酒が飲めるなんて!」

「やば!これ美味すぎる!」


部下たちが幸せそうな顔をしながら酒を飲む・・・だからオッサン顔でその顔派・・・もういいや。


「ガハハハ!本日は誠に愉快な日だ・・・ああ、こんなに笑ったのはいつぶりだ・・・ヒック」

『え?』


ラセツがしゃっくりを聞いた瞬間部下たちが一斉に見る。


「長・・・まさか」


ボダイが恐る恐るラセツを見ると、ラセツは完全に顔を真っ赤にして出来上がっていた。


「ま、まずい!お前ら!急いで水を用意だ!カワサギ!長を止めるぞ!」


ボダイは慌てた様子で部下たちに指示を出し、カワサギと共にラセツを取り押さえる。だが次の瞬間ラセツから凄まじい気迫を放ち二人を吹き飛ばす。


「・・・キト」

「え?」


ラセツは何か呟きながらグンナルを見た。


「アキト!!」


ラセツはそう叫びながらグンナルに抱きついた・・・しかもご丁寧に簡単には抜けだけない位力強く。


「この離せ!」

「アキト!アキト!アキト!」


ラセツはグンナルの言葉に耳を高向けずただアキトと連呼しながら泣いていた。


「この!俺はグンナルだって!よく見やがれ!」


グンナルはヘッドバッドでラセツに攻撃し、一瞬緩んだ隙を突いてラセツの抱擁から脱出する。


「グンナル大丈夫か?」

「ええ・・しかし、ラセツ殿一体何が?」

「・・・アキト・・・稽古か?いいだろう、かかってきなさい」


ラセツは何故か嬉しそうに相撲のように四股踏みをする。


「・・・駄目だ完全に酔ってる」

「コウキ様、ここは俺にお任せください」


グンあんるはそう言ってモニターを操作して金棒を出現させる。


「・・・あんまり手荒なことはしたくないんだが」

「この惨事です。仕方ありません」

「ガハハハ!はっけよーい!のこった!」


グンナルはそう言って金棒を手に取り、突進してくるラセツに振り下ろす。まるで潰された蛙のように倒れるラセツは『アキト、強くなったな』と呟きながら嬉しそうに気絶した。


「・・・何だったんだ?一体」


こうして、思わぬ形で大宴会は幕を閉じた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝


「おはよう!コウキ殿!今日も良い天気ですな!」

「・・・おはようございます。ラセツさん」

「どうしました?昨日の疲れがまだ残っているようでしたらまだ休んでいても構いませんが?」

「いえ、大丈夫です・・・それよりあまり大声出さないほうが良いかと」


入り口に集合した俺達を出迎えてくれたのはラセツだった。まるで昨日の盛り上がりが嘘だった日のように凄く元気のある声だ。


「ん?どうしてですか?」

「どうしてって・・・まだボダイさんたちが・・・」


俺が中庭の方を見るとラセツの部下達が物凄く突かれた様子で昨日の宴会の後片付けをしていた。


「こら!お前ら!もっとシャキッとせんか!」


覇気のない姿を見たせいかラセツが部下たちに活を入れるために大声を入れる。


「・・・マジで昨日のことを覚えていないんだな」


俺達は呆れながらラセツの後ろ姿を見送った。

そして二度とラセツにはネクタルを飲ませないと誓ったコウキたちであった。

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