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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第八章 ダンジョン日常編
149/189

139話 vs 守護鬼・グンナル

ググラムたちが外交官としてゼノへ向かってから数日。ダンジョンは相変わらず忙しかった。


「グンナル、挑戦者たちが集まってきた準備はいいか?」


モニターに映る11階層の入口付近には挑戦者約60名が集まっていた。グラムがしばらく休暇でその間代わりのフロアボスが守護することはすでにエイミィを通して世界に伝わっている。


『はいこちらはいつでも準備万端です』


一方ボス部屋が映るモニターにはグンナルが腕を組んだ状態で待機していた。


フロアボスの新衣装と着替えたグンナル。本人は軍服のままで良いと言っていたがあの服はすでにテオとかで見られているから身元がばれないとうに隠すため新しい衣装にした。


代理フロアボスとしての衣装はぶっちゃけザ・サムライと表現したくなるような衣装。一見素朴な衣装ではあるが、この衣装も技術開発部門と生産部門が協力して作り上げた最高傑作である。あと顔には素顔を隠す為の【鑑定妨害】の刻印魔法が付与された仮面を付けてもらっている。一応グンナルは俺の護衛だし今後も彼は一緒に色んなところへ釣れ出すこともあるからな。


今回はその性能のテストも兼ねている。


「じゃあ門を開けるぞ・・・グンナル、負けるなよ」

『当然です!』


フロアボス代理・・・守護鬼・グンナルの初防衛戦が今開始された。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地下45階層 リズア中央広場


中央広場ではいつものようにフロアボスの観戦モードに突入していた。


『皆様!おまたせしました・・・まもなく、11階層の防衛戦が開始されます』


上空に映るモニターから司会風な口調でアナウンスするタマモ。住民たちは「待ってました!」と叫びながら盛り上がっていた。


『今回は事前にお伝えした通りグラム様が外交官としてダンジョンを離れているため代理の方がフロアボスとして戦います。そしてその代理とは・・・あのコウキ様の護衛の一人!妖人族・鬼種のグンナル!グラム様を始め、カルラ様、カーツ様からも指導を受けその実力はここ最近でぐんぐんと伸ばしてきています。はてして彼はダンジョンを守護してくれるのでしょうか!』


アナウンスに慣れてきたのかタマモの実況スキルのレベルもかなり上がっていた・・・もっとも実況スキルなんてものはこの世界に存在しないのだが。


タマモのアナウンスが終了するとモニターはすぐにグンナルがいるフロアボスの間へと切り替わる。グンナルの目の前には60人の冒険者・・・今、彼らの戦いが始まろうとしていた。


・・・・・・・・・・・・・・・

11階層


「おぅらあああ!!!!」


猛々しいグンナルの咆哮と共に鈍い轟音が響き渡る


「がは・・・」


超重量級の鎧を纏った巨漢がまるでホームランボールのように上空へ吹き飛ばされ壁に激突する。文句なしのホームランである・・・だが残念なことにホームランボールは記念として回収できず光の粒子となって消える。


「「この化け物め!」」


【気配遮断】スキルを発動していた二人の冒険者がグンナルの背後を取るもあっさりと避けられアイアンクローで掴まれる。


「良い戦術だが【マーキング】されている時点でそれは効かないな!」


そう言い放ち二人の冒険者を投げ飛ばす。


「くそ!何で俺達の居場所位がわかったんだ!」

「マーキングって言っていたけどどういう意味だ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地下45階

『さあ始まりましたグンナルの防衛戦!今回は特別解説役としてエイミィ様にお願いしております』

『皆さんこんにちは』


うぉおおおおおおおおお!!!!


エイミィの突然の出現に観客たちは歓声を上げる。


『エイミィ様、今回グラム様に変わってグンナルが守護者になっていますがエイミィ様からの視点で彼の実力はどれほどなのでしょう?』

『強いですよ・・・少なくともフロアボスの代理を務めるという意味で彼はその水準に達していると思います。(正直、この前彼のステータス確認したら魔王クラス一歩手前まで強くなっていたのよね。今は鬼種のままだけどおそらくあと一歩で・・・・)』

『なるほど・・・ではグラム様のように一方的に冒険者達を蹂躙する形になるのでしょうか?』

『どうでしょう?冒険者たちの中にはグラムに何度日挑戦した者もいます。グンナルほどではありませんが彼らもまたこのダンジョンで強くなっています。一人では勝てなくても集団と連携が加われなどうなるか・・・』

『確かに・・・レベル等では劣っている冒険者たちもダンジョンモンスター達に勝利していますからね。ではグンナルはこの戦いで苦戦する可能性が?』

『無いとも言い切れません。ですが彼の実力派まだまだこれからです』

『・・・と言いますと?』

『・・・ユニークスキルですね』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

管理室


「やはりグラム様と比べると時間がかかっているみたいですね。グラム様と比べて相手を観察する時間が多すぎます。相手は冒険者・・・言うなれば侵略者です。守護者であるなら圧倒的な強さで相手を屠るべきではないかと思います」


俺の隣でグンナルの戦いを分析するタマモ。その隣では女神フェイスでニッコリと笑っているエイミィ。正直、俺の席で中継用のステージを作るのはやめてくれないか?地下45階層のモニターにはギリギリ俺は映っていないだろうけど凄く気になるぞ。


言いたい気持ちは分かるが、これがグンナルの戦い方なんだし彼がしっかりと11階層を守ってくれればそれで構わないと思う。それに運営側こちらも冒険者達の戦い方もじっくりと観察できるからこれはこれでありがたい。グラムの時だと即効で殴り殺すからな・・・本気で戦えって命令出したの俺だけど。


「・・・グンナルも考えあってのことだろう」


そんなことを呟いていると何故かグンナルから直接俺に連絡を入れてきた。


「グンナルか。戦闘中だが・・・どうかしたのか?」

『コウキ様、冒険者の中に証書う気になる人物がいるのです。・・・えーと外見は骸骨のような顔に禿頭の剣使いです』


俺はすぐに巨大モニターをグンナルの言う冒険者にズームアップさせる。


「こいつがどうかしたのか?」

『ええ・・この男だけ「罪歴」が多いのです』


罪歴?


俺はすぐにその男について調べてみる・・・が、表示されるのはモルデン・ガーヴェンという名前とレベル40台のステータス。スキルとか確認できたが罪歴とかは見れない。ダンジョンがつける犯罪歴とかも見あたらない。


そういえばグンナルにはユニークスキル【断罪魔法】があったな。おそらくそのスキルのおかげで相手の犯罪歴を確認することができるんだろう。


「光輝、その男を画面から離さないで」


突然エイミィが真剣な顔でモルデンという人物を視る。


「・・・この男、かなり犯罪を犯していますね。それも戦争が原因とかじゃなく私利私欲の目的で」


さすが女神様・・・そういうものまでお見通しですか。


『いかがなさいましょう?できればこの男には二度とダンジョンに足を踏み入れてもらいたくはないのですが』


グラムの意見にタマモや管理部門達が頷く。今すぐにでも重罪人のダンジョン犯罪歴を追加する準備にとりかかる体勢だ。


「いや・・・その犯罪は他国で犯したこと。俺達がその罪にどうこういう資格は無い」

『では見逃す方向ですか?』

「そうとは言わない・・・グンナル、フロアボスとして徹底的に叩きのめせ。二度とここに挑みたくないと思わせるくらいにな」

『・・・御意!』


グンナルは少し上機嫌な声色で返事をした。


・・・うん、大丈夫だよね?やりすぎないでくれよ・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「【断罪魔法】・・・【拘束】!」


グンナルが冒険者たちを殴り飛ばすと殴られた冒険者の腕に何か刻印のような模様が浮かび上がった。


「な!何だこれは身体が動かない」

「なんだこの魔法・・・無属性?・・でもこんな魔法見たこと・・・」


動けない身体に理解できていない冒険者たち。その場で唯一動けるグンナルはゆっくりと一人の冒険者の前に立つ。


「・・・な、なんなんだよお前!俺になんか用があるのか」

「・・・モルデン・カーヴェン。罪歴:殺人歴6件、そのうち斬殺が5、毒殺が1か・・・その他、詐欺に脅迫・・・強姦まであるな・・・よくそんな奴がここに挑めたもんだ」

「な・・・なんでそれを・・・」

モルデンという冒険者は汗をだらだら流しながらグンナルを見る。


「・・・俺には他人のステータス。主に行った犯罪を見ることができる特殊な【鑑定スキル】を持っているんだよ」


ユニークスキル【断罪魔法】


その能力の特出すべき点はステータスの『罪歴』を視ることができること。基本鑑定スキルなどでは相手のステータスを確認できても行動履歴までは確認できない。だが【断罪魔法】では『能力値』の代わりに『犯罪履歴』を確認することが可能。


そしてもう一つは


「(ビシ)・・・ぎゃあああああ!痛ってえええええ」


グンナルが軽くデコピンした瞬間、モルデンは激痛のあまり涙目で叫ぶ。


「おいおい。今のは軽く突っついただけだぞ」

「嘘だ!脳に刃物が刺さったような痛みだったぞ」

「それがお前の罪の痛みってことだな」


【断罪魔法】は相手の持つ罪歴が多ければ多いほど、重ければ重いほどその威力が増す。つまり、相手が大罪を犯していればそれだけグンナルに不利となる。


「た、頼む!降参だ!だから殺さないでくれ!」

「死んでその罪を償ってきな」


そしてグンあんるはそう言い残し無慈悲に金棒をモルデンの顔面に叩きつける。いくら五体満足でダンジョンの外に転送されるとはいえ、【断罪魔法】によって付与された激痛・・・それはダンジョンを出てからも残るだろう。


「よし・・・執行完了」


少しスッキリした様子のグンナル。仮面越しだから表情は分からないが、おそらくかなりいい笑顔をしているだろう。


「さて・・・残りの冒険者達も片付けるとするか」


その後冒険者たちとの激闘・・・と言う名の蹂躙が繰り広げられ。この日グンナルは見事に11階層の防衛に成功したのだった。


後にこの防衛戦を見た光輝とエイミィはこう思った。


「「・・・・・・強くなりすぎだろ」」

ユニークスキル【断罪魔法】の特徴

・【罪歴鑑定】:能力値の変わりに犯罪履歴が視れる。

・【罪人特攻】:犯罪者相手に威力を上乗せできるバフ効果。

・【マーキング】:複数の相手に対して居場所を感知できる。

・【拘束】一定時間相手の動きを止める。(罪歴によって拘束時間が増減する)

・魔法、妖術などに付与が可能。

・罪を全く犯していないあるいは罪をしっかりと償った相手には効果が無い(相手を傷つけることができない)

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