136話 息抜きが必要なので健康ランドを作りました
いつものように作業部屋で仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、仕事、シゴト、シゴト,死事、死事
「だあああああああああ!何やっているんだ俺は!」
久々にストレスが爆発した俺は【防音魔法】が施された作業部屋で叫ぶ
「なんだよ、この仕事量!やってもやっても果てしなく終わりが見えない!」
俺の目の前にあるのはは大量に積み上げられた書類。ダンジョンの報告書に、リズアの発展状況、雑貨店の収益とAランク昇格報告書、テオプア王国との交易状況、トレスアール寮の入居希望者リスト、あとワイトとプラムの学校入学手続き、その他もろもろ
どれもこれも俺が眼を通さないといけない書類ばかりあのだが、個々最近書類に眼を通して承認を入れる作業ばかりだ。
「ずいぶん荒れているね光輝・・・ステータス見なくてもストレスゲージが溜まっているのが見え見えよ」
俺が叫んでいると扉から焼き鳥が何本も入った紙袋を持ったエイミィがやって来た。
「ステータス画面にストレスゲージなんてないだろ?とう言うかその焼き鳥どうしたんだ?」
「あ、これ?街の商店街エリアで露店があったからもらってきちゃった。はい、これ光輝の分」
そう言って俺に塩で味付けされた鶏ももを一本手渡す・・・え?これだけ?残りはお前のか?
「どうも・・・ん、美味いな。塩で味付けしただけなのに塩分が身体に染みこむような感じだ」
「ふふん、そりゃダンジョンで何度も試行錯誤して作り上げた最高の肉と塩なんだから」
「自慢気に言っているけど創ったのはお前じゃないだろ?」
俺は呆れた顔で言いながら二本目の焼き鳥をエイミィの袋から取ろうとするが見事にかわされた。
「ふーんだ、私は女神よ・・ダンジョンで作られたモノは私のもの、私のものは私のもの」
どこのガキ大将だよ
「はいはい・・・ごちそうさま。ありがとうな、本当に美味しかったよ」
「・・・ずいぶんと疲れているね。個々最近ちゃんと休んでいる?」
「ん〜どうだろう?半神半人状態でずっとやっていたからな・・・時間の感覚がわからなくなってきた」
半神半人のステータスになると、まさに神の領域と言いたくなるくらい疲れを全く感じなくなった。眠気も無く体力が無尽蔵にあると感じるくらい快適なのだ・・・まあ、普段は人間のステータスでいるようにしているんだが、こうもシゴトが積まれるとこっちの方がやりやすい。
「無理しちゃ駄目だよ・・・あ、そういえば商店街エリアに建てていたあれ、なんか完成したみたいだよ」
商店街エリア?・・・・そういえば何かあったような
「ほら、公衆浴場だよ・・・銭湯!」
「ああ・・・あったな。あれ、やっと完成したか」
「やっと・・・って、あんな巨大施設を2ヶ月ちょいで完成させるのは普通じゃないんだけど。まあ、グラムたちが頑張ってくれたからね・・・ちゃんと労いの言葉と品を用意してあげないと」
「そうだな・・・そういえばまだ連絡が来ないな。まだ中の点検でもしているのか?」
かなりアイディアを詰め込んだからな・・・ちゃんと動いているのか確認しているのだろう。
「いいわよね、銭湯♪銭湯♪」
「銭湯って・・・お前も行くのか?」
「当然よ・・・というか、この施設が完成するの凄く楽しみにしていたんだよ!毎日毎日商店街エリアを通るたびにジッと見ていたんだし」
もしかして建築部門が頑張っていたのはエイミィの無言のプレッシャーによるものなんじゃないか?
『コウキ様、今よろしいでしょうか?』
「グラムか・・・もしかして、銭湯が完成したのか?」
モニターに映るのはヘルメットをかぶったグラム・・・そして後ろには小さくゾアの姿が見えた。
『さすがコウキ様・・・素晴らしい勘です。はい、先ほど技術開発部門と一緒に最終点検が漢楼しました。コウキ様とエイミィ様には是非、最初に楽しんで貰いたいと思っています』
まあ、ちょうどエイミィから話を聞いたんだが。
「そうか、ありがとう・・・すぐに行く」
通信を着ると俺はエイミィと一緒に商店街エリアへ向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺達の目の前には見事な健康ランドが出来上がっていた。入り口には達筆な筆文字で『オリジン・健康ランド』と木の看板で書かれて飾られている。
「凄いなグラム・・・予想以上だ」
「ありがとうございます、この建物は我々の誇りです」
んな大げさな・・・と口に出しそうになったがなんとか口を閉じる。
「本当に俺達が最初でいいのか?」
「はい、是非コウキ様たちが最初に利用してください・・・貸し切りにしていますから」
・・・いや、流石にそれは贅沢すぎじゃないか?というか、こんなでかい施設を二人だけというのも流石に。
「まあ、一番風呂はありがたくいただくが流石に貸し切りはしなくていいよ。というか、グラムたちも入ればいいじゃないか」
「え?いや、しかし」
グラムは少し困った様子だが、よく見ると彼の部下たちもかなり汗だくだ・・・こんな状態で風呂には入ったらどれほど気持ちいいことか。
「グラム命令だ・・・本日の貸し切りを撤廃し、共に入ることを許す」
俺がそう言うとグラムの部下たちは嬉しそうな表情を見せるが、グラムがひと睨みした瞬間すぐに下を向く。
やれやれ
「では、ありがたく利用させていただきます。皆の者!コウキ様のご厚意だ」
『うぉおおお!!!!』
一気に完成を上げる部下たち・・・今回一番頑張ったのは彼らなんだしこれくらいいいだろ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カポーン
もし、これが漫画やアニメだったらそんなSEが出ていただろう・・・そう思えるくらい立派な浴場ができていた。
「うぉおお!さすがだなグラム」
俺はタオルを腰に巻いた状態で多種多様な浴場を見る。俺が思いつく風呂は全て用意されており、正直ここまで再現するとは恐れいった。メジャーな浴場から適当なアイディアで面白半分で作らせた物、子供たちが遊べる超ロング滑り台とかもある。
ちなみに風呂は当然男女別で今頃エイミィたちも女子風呂で似たような感想を述べているだろう。
「コウキ様、まずはあの浴場から堪能してください」
グラムが指を刺した先には王道なジャグジー風呂がある。そういえばアメリカで暮していた頃、風呂にあの機能付いていたな・・・基本シャワー派だからあまり使わなかったけど。
「ヴヴヴうヴううううう・・・気持ちいい」
水圧のマッサージが筋肉をほぐしてくれているのを感じる・・・お湯の温度も最適だし、身体の中で圧縮されていた疲れがどんどん溶けていくような気分だ。・・・少し泡の勢いが強い気がするが気のせいかな?
「っちょ、コウキさん大丈夫ですか?!」
俺が堪能していると慌てた様子でゾアが叫ぶ・・・大丈夫ってなにが?
「あ・・・水圧の設定が儂と同じにしてあった。普通の人間が使っていたら骨が砕けている威力だな」
うっかりという表情でメーターを確認するグラム・・・って!半神半人じゃなかったら病院送りじゃないか!というか、どんな威力だよ!
「・・・半神半人でよかった」
・・・・・・・・・・・
色々と風呂を堪能した後俺は、唯一施設の外に設置されている風呂を目指した。露天風呂・・・と言ってもダンジョンの中だから露天なのかは分からないが、上を見上げると見慣れたダンジョンの天井が見える。
「はぁ・・・涼しい風も入ってきて気持ちいいな」
今度ダンジョンんお天候設定で雪を降らせるのもありだな・・・雪を見ながら風呂ってのも格別だ。
「あらこっちは露天風呂ね・・・素晴らしいわ」
すると、俺の耳にエイミィの声が届く・・・そういえばこの露天風呂だけ風呂の隔たりが竹壁だけなんだよな・・・ということはこの先にはエイミィが・・・・
って、何を考えているんだ俺は!・・・駄目だ、覗きとか・・・これはあれだよくある定番のシチュエーション。そして、失敗フラグでもある。
・・・でも、声をかけるくらいなら・・・・・・
「エイミィ・・・聞こえるか?」
「ひゃ!・・・・こ、光輝・・・どうしたの?」
今、なんか可愛い声が聞こえたような気が・・・・というか、声のトーンからして女神モードだな。
「あ、今露天風呂にいるの俺だけだぞ」
「そ、そう・・・まさか覗きとか考えていないわよね?」
・・・エスパーかこいつ?あ、女神だった。
「言っておくが、この施設覗き対策はバッチシなんだぞ。壁はその竹壁のみだが登ろうとした瞬間、防犯システムが作動する仕組みになっているんだ」
「そ、そうなんだ・・・てっきり光輝だけは通れる秘密通路でも作っているのかと思ったわ」
俺は覗きのためにそんな労力使いません
「作るかよんなもの・・・ああ、でもこの施設を作ったのは正解だな。疲れがどんどん取れていくよ」
これは素直な感想だ・・・ああ、本当ここの住民は凄いな。
「ここもオリジンの名所スポット決定だね」
「だな・・・いずれ冒険者達にも有料で使えるようにしたいな」
安全エリアから直接個々に転送できるようにして、かなり割高で利用してもらう。ダンジョンの中でこんな施設使えるんだ・・・どんなに高くても利用するだろう。宿泊施設とかも用意したり・・・ああ、眼をつぶっているとアイディアがどんどん浮かぶ。
「光輝、また何か仕事のこと考えていた?」
「んー、まあちょっとね。これが終わったらまた仕事に『駄目よ』・・・って!」
眼を開けた瞬間、俺の目の前にはエイミィがいる・・・もちろん全裸なのだが、これも女神エフェクトなのか、湯気が見事に大切な部分を隠している・・・だれか!換気扇を回してくれ!
「光輝!」
「は、はい!」
「以前言ったよね?無理も無茶もしないって!」
「あ・・ああ」
「光輝は一生懸命頑張っている・・・だから一人で抱え込まないの。書類とか私やメリアス、アルラでもできるものがあるわ・・・だからもっと私達を頼って」
「わ・・・分かった。エイミィたちにも手伝って貰うよ」
「分かればよろしい」
俺の言葉に納得したのか、エイミィは満足気な顔で首を縦にふる。
「ところでエイミィ・・・ここ男湯だよな?」
「え?・・・あ・・・・・」
どうやら、無意識に転移魔法でこっちに来たみたいだ・・・というか転移魔法だと防犯システム作動しないんだな。ゾアに報告しておくか。
「光輝のエッチ!!!!!!!!!」
見事なビンタ・・・やっぱり、銭湯回でのオチはこれだよな。
その後、エイミィは転移魔法で女子風呂へ戻り俺は顔の張りてマークが消えるまでしばらく露天風呂に入ることになった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「お、コウキ様・・・ずいぶんと長く露天風呂を堪能されていたみたいですね」
「ああ・・・『銭湯』が気持ちよかったから長湯してた・・・ところで何をするんだ?」
グラムの前には建設部門の部下たちが勢揃いしていた・・・すみません、個々はボディビルダーコンテストの会場ではないのですが。
「ああ、コレッからサウナでの我慢大会を行おうと言い出しまして、参加者を集っていたのです」
やめてくれ!聞くだけで辛い!
「へ・・・へぇ、そうなんだ」
「コウキ様も参加されますか?あの水圧に耐えられる肉体・・・コウキ様も良い線行くかと思います」
「い、いや。露天風呂で逆上せそうになったから俺はあがるよ・・・あまり無茶するなよ」
そう言い残し俺は風呂場から出て行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「あ・・・」」
浴衣に着替え、リラックススペースに向かうと浴衣姿のエイミィがいた・・・うん、凄く似合っている。
「光輝・・・これ食べる?」
周りの視線もあるのか女神モードのエイミィ。さっきまであんなことがあったのに、平然とした様子で俺に塩付けキャベツが乗った小皿を渡す・・・さすが女神と言うべきだろうか?
エイミィの心の声
(っちょ!何でこのタイミングで来るのよ!風呂あがりの牛乳の代わりに精神安定剤を飲み干して正解だったわ・・・落ち着くのよエイミィ、あなたは女神・・・優雅な女神)
「あ、そうだ・・・エイミィ。これ飲むか?」
俺はモニターを操作すると巨大な樽を出現させる。
「何それ?・・・なんか甘い匂いがするけど。ジュース?」
「ああ・・・テオプアで貰った飲み物をちょっと量産させたんだ」
俺はグラスを二個取り黒い液体を注ぎ込む。
「・・・え、これってもしかして」
エイミィはすぐにグラスに注がれた『コーラ』を飲み干すと、後に炭酸が効いてきたのか涙目になりかけた。
「美味しい・・・光輝!」
眼を耀かせながらおかわりを所望するエイミィ。俺は何も言わずにコーラを注ぐ。すると周りの皆もコーラに興味を持ちだしたのかチラホラと近づいてくる。
「ほら、皆の分もあるから」
俺はモニターを操作して更に大樽を2本出す・・・この人数なら十分かな。
「おや、ずいぶんと盛り上がっていますな。コウキ様、儂たちもご一緒でよろしいでしょうか?」
やって来たのは浴衣姿のガテン系・・もとい、建設部門のメンバーたち。
「あ、そうだった。グラム達にはこっちだな・・・口に合えばいいけど」
そして、俺は『20』と書かれた樽を取り出す。
「これは・・・酒ですか?」
アルコールの匂いに気付いたのか。グラムは一発で酒だと分かった。
「まあな・・・メリアスに頼んで作ってもらった『ビール』ってやつだ。まだ試作段階だが。グラム達に飲んでもらいたい」
『改良版マナの実酒』事件が会ってからお酒の製造は禁止させていたが、ビールの再現には彼女の力が必要だったため作らせた。まだ、俺の納得のいくビールの味にまでできていないがこれはこれでありだと思い、保管していた。
「ん・・・かは!これは・・・なんと良い酒でしょう。リンドの龍酒とはまた別の美味・・・儂はこちらの方が好みです」
まあ、リンドの龍酒は果実酒の部類・・・高級ワインに近い。一方ビールは発泡酒で一般向けに製造されているものだ。ビールが相当気に入ったのか、グビグビと音を鳴らしながら飲み干す。
「ほら、一人だけ飲んでいないで皆にもくばるぞ。これは建設部門のご褒美なんだから」
「あ、はい!」
その後、ビールの反応が予想以上に好評で是非商店街の店に出して欲しいという要望が次々と寄せられた。