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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第八章 ダンジョン日常編
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特別編 ハロウィン

今回は初の季節に合わせた話です・・・特別編なので特に季節とか意識していませんでしたが、今後も年間行事に合わせた話も投降していきたいと思います。

「・・・・ハロウィン?」

『ああ』


久々にトレスアールの別荘でジョージの飯を食っている時、才から連絡が入った。内容は王都テオで行われるハロウィンイベントのことだ。


「ってか、この世界にハロウィンって風習あるのか?」

『・・・いや、正確には風習ではないんだが。4年前にヒュウの奴が勝手に広めてセレナが国の行事として取り入れたんだ・・・特に意味は無くただ仮装して子供たちがお菓子を貰いに行くって感じで』


なんとも思いつきで無理やり感があるイベントだな・・・あれって確か収穫祭とお盆を掛けあわせたような行事だったはず。


「なるほどな・・・ってことはトレスアールでもやるわけか。ここもテオプア王国の町なんだし」

『ああ・・・それでお前に連絡を入れたのはその行事に参加するかという確認なんだ。お前、別荘と屋敷を持っているだろ?屋敷は離れているから子供が来ることは無いと思うが、別荘の方はどうする?一応参加の意思表示は家の前にジャック・オー・ランタンを置くだけでいいんだが』


そのへんはアメリカと似ているな。飾り付けをしていない家はハロウィンに参加しないって意味だから。子供の頃はカボチャを目印にして回ったな。


「そのへんはジョージ達に確認するよ・・・多分お菓子とかも作ってくれるだろうし」

『分かった・・・開催は2週間後だから。楽しんでくれ』


そう言って才との連絡が終わると俺はあるイベントを思いついた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

作業部屋


「ハロウィンイベント?」


作業部屋でいつものように二人で仕事をしている時、俺はハロウィンイベントについてエイミィに伝えた。


「ああ・・・よく考えてみたら。オリジンって年間行事みたいな祭り事って無いじゃん」


収穫祭とかも毎日採れるから特に祝わないし、この日に何かをするというイベントはまだ作っていない。国何だしそういうのは必要なんだが、そっちまで手が回っていない。


「なるほどね・・・じゃあ、国民が皆仮装してお菓子とかを配ったりするの?」

「まあ、理想としたらそういうのを根付かせたいけど、流石に期間が短すぎるからな。それは来年にするよ・・・まあ、今回はいつものように外でのバーベキューパーティになるかな、仮装ありで」


正直あと2週間で行わせようとしたら全然間に合わない・・・とりあえず、テオとの交流が深まった後に正式に行事を取り入れようと思う。


「仮装ね・・・ウチの場合、皆が仮装しているようなものじゃない。元々あれは人間がお化けの格好をしたりするんでしょ?」


まあ、その通りなんだよね・・・妖人族たちが集まればお盆になるし。獣人族や魔人族とかもいるから年から年中ハロウィン状態とも言える。


「まあ、仮装を楽しむには時間が足りないし。とりあえずこれを使って一日楽しんでもらおうかと思っている」


そう言って俺がモニターで大きな水晶を出現させる。


「何これ?・・・凄い魔力を感じるんだけど」


エイミィは驚いた様子で水晶をマジマジと見る。


「んー、名付けるなら『メタモルフォーゼ・オーブ』かな・・・触れた者の種族が変わるアイテム」

「へー・・・もしかして、サブアカウントの応用?」

「ああ・・・まあ効果時間は長くて1時間・・・その間好きな種族になれる・・ただ亜人はバリエーションが多すぎるから、そこは省いた」


いずれは亜人のデータを取って組み入れたいけど、今の段階じゃこれが限界かな・・とりあえず住民の種族は全部インプットしたから、大体は大丈夫だろう。


「もしかして、私も別の種族になれたりする?」

「いや・・・流石に神は無理じゃない?」


そう思って言ったのだが、エイミィは試しにオーブに触れると急に水晶が光り出しエイミィを光で包みこむ・・・そして、光が解除されると彼女の頭には可愛らしいネズミの耳と尻尾が付いていた。どうやら、獣人・鼠種を選んだみたいだ・・・なんでネズミ?


「ちゅー!光輝、できたじゃない!」

「・・・みたいだな」


嬉しそうに尻尾や大きな耳を触るエイミィ・・・ネズミってこんなに可愛らしい生物だっけ?


どうやら、外見を変えるだけでステータスの上にかぶせる形のため、エイミィにも効果が出たのかもしれない。


「よーし、それじゃあさっそく、これを娯楽エリアに置くか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


メタモルフォーゼ・オーブは国民に大ヒット。とてつもない行列ができ、次々と種族を変えて楽しんでいる。普段とは違う自分を楽しめるというのもあり・・・やりたい人はかなり多い。


「これはまた、凄い物を作りましたな。コウキ様」


グラムは感心したように行列を見る。


「・・・エイミィも外見が変わったし。多分フロアボスも種族を変えることができると思うぞ」

「それは興味深いです。ですが、我々の姿はコウキ様とエイミィ様が授かったもの・・・この姿以上に相応しい種はありません」


そう誇らしげに筋肉を見せながら話すグラム・・・そこまで気に入っているのか?


「そう言ってくれると嬉しいよ・・・近い内に年間行事の一つとして宴をやろうと思っている」

「では、あの道具は」

「ああ・・・そのための道具。宴が終了したら撤去する予定だ」


流石に一日中、娯楽エリアに置いていたらイベントのいみが無いからな。


「なるほど・・・それは国民の楽しみが増えますな」


グラムも納得した様子で頷いた。ハロウィンとういう行事にはまだ程遠いけどまあ今回はこれでいいか。

今度から年間行事を作る部門を用意する必要があるな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハロウィン当日 別荘


「「トリックオアトリート!」」


死神っぽいフードを被ったワイトと魔女姿のプラムが嬉しそうに紙袋を持ってやって来た。現在はテオの屋敷で暮らしているのだが、転移門でトレスアールにやって来ていた。テオにいる二人はハロウィンイベントのことを知っていたため、しっかり仮装をしている。


「ほいほい・・どうぞ」


首に釘のような飾りを付けたジョージ、おそらくフランケンシュタイン、は嬉しそうにカボチャマフィンを二人に手渡す・・・元々厳つい顔のため、メッチャ似合っていた。


「二人はこれから、王都に戻るのか?」

「はい・・・マヤさんと一緒に色々と回る予定です」


マヤちゃんか・・・なら安心だな。


「そうか・・・大丈夫だろうけど気をつけなよ」

「「はい!」」


そう言って二人は嬉しそうに転移門でテオへ戻っていく。やっぱ、こういうイベントを全力で楽しめるのは子供の特権だよな。


「ジョージはこれからどうするんだ?」

「自分は雑貨店リズアのパーティに差し入れを持っていく予定です・・その後はこの別荘に残って来た子供たちにお菓子を渡す予定です」


ああ、そうだ。現在雑貨店リズアの店員達はテスラが完成させた寮で暮らしている。オリジンからいちいち通うのも面倒だから寮で生活してもらっている。本人たちもかなり気に入っているみたいだから良かったと思っている。


「なるほど・・あっちも楽しんでいるみたいだな」

「コウキ様はどうされますか?」

「ああ、俺は戻るよ・・・オリジンも今宴モードだから」

「なるほど・・・では主役は早く戻ったほうがいいですね。どうぞ楽しんでいってください。あ、これ差し入れです」


そう言い、大量のカボチャマフィンを渡され俺はオリジンへ帰還する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


リズアに戻るとすでに宴の盛り上がっていた・・・お前らアクセル踏みすぎ!


広場にはいつものようにキャンプファイアーを中心に住民たちが楽しそうに踊っている。まあ、姿が変わっていても本質は変わらない・・・姿が変わっても彼らは彼らなんだなと改めて思った。


いつものように住民たちの笑い声・・・香ばしい料理の匂い・・・奏でる音楽・・。少し違うとしたら、ライトがカボチャ型になっていること・・・おそらくエイミィがゾアに頼んで作らせたのだろう・・・まあ、その方が雰囲気あっていいが。


「お帰りなさい、光輝」


出迎えて来たのは魔女のような衣装に身を包んだエイミィだった。へそ出しと・・・ややセクシー魔女な感じだ。


「ふふん、どうよ似合ってる?」

「ああ、似合っているよ・・どうしたんだその衣装?」

「メリアスに頼んで用意してもらったの・・来年からは住民たちの分も用意できるわよ」


なるほど・・・ってかフロアボスをあまりコキ使うなよ。


「フフフ、来年が楽しみね・・っは、その前にクリスマスがある・・・お正月にお花見・・・ああ、楽しみすぎる!」


嬉しそうに頭を抱えるエイミィ・・・


「ん?どうしたの?何ニヤニヤしているのよ・・・変だよ」


失礼な・・・ってか俺そんなにニヤニヤしていたか?


「・・いいや・・・もっと、楽しいイベントを考えないとな」


エイミィがそんな風に笑ってくれるなら俺は何でもできる・・・そんな気持ちにさせてくれた。

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