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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第八章 ダンジョン日常編
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132話 強くなるために修行をしました

「ああ、気持ちいいな」


俺は33階層のカルラのフィールドでのんびりと日光浴を楽しんでいた。穏やかな気候、気持ち良いそよ風、こんな場所はまさに昼寝に絶好な場所でもある。


俺はマジックポーチから昼飯用に用意していたジョージ特製サンドイッチの味を堪能しながら一人ピクニックを楽しんだ。


え?一人かって?いやそういうわけではない、一応あと二人いるんだが・・・


そう考えているとまた地面が少し揺れ出す・・・おそらくまた開始されたのだろう。俺は周りに貼っていた防音結界を解除すると、まるで空襲でも起こったかのような爆発音と衝撃が襲い掛かる。


「せりゃああああ!」

「ほらほらどうした!」


俺が山から下りると広がる大草原で二人が肉弾戦を行っていた。


一人は俺の護衛である、グンナル・・・そしてもう一人は33階層のフロアボスである元素の神獣・カルラであった。


邪神・ザズムフとの戦闘で敗北したグンナルはあの後、しばらく俺の護衛から離れフロアボスたちの修行を行っていた。住民であるグンナルはダンジョンで死んだ場合リズアに転送されるようになっているため、彼はそれを利用してかなり危険な修行を行っていた。今日ですでに3回はリズアに転送されているのだが必死にカルラの修行についていっている。


「ぜぇぜぇ・・・まだまだ!」

「隙ができたぞ、ほら!」


グンナルの攻撃を簡単に受け流しながらグンナルの横腹に蹴りを入れるとまるでレーザービームのように吹き飛ばされる。


あ、またリズアに転送された。


「ん?主様。もしかして休憩の邪魔をしてしまいましたか?」


俺に気付くと真っ先に駆け付け面目なさそうに謝るカルラ。頭の上に生えている虎耳と尻尾がしゅんと垂れ下がる。


「いや、十分休んだから大丈夫だ・・・というよりも悪いな、お前のフロアなのにお邪魔しちゃって」

「いえいえ、主様ならいつでも歓迎です。ここ最近忙しかったでしょうし、もっとゆっくり休んでいてください」


そう言われるが、正直ぐっすり休んで今凄く目が冴えている状態なんだよな。


「そう言えば、グンナルだがどんな感じだ?」

「ええ、以前と比べてかなり力をつけています。私に対しても素手で数発入れられるようになっていますし・・・私のスピードに追い付いてきている証拠です」


そう言って彼女は痣のできた腕を見せる・・・カルラは平気そうな顔をしているが見ているこっちが痛くなる。


「ちゃんと回復薬で回復しておけ・・・それとあんまり無茶はさせるな」

「お心遣い感謝します。修行のことですがこれは彼が望んでいることですし・・・この程度でしたらグラムたちのとさほど変わりません」


カルラの言う通り、グンナルはカルラ以外にグラムとエドワードにも頼み込んで修行を行っている。当人たちも楽しんでやっているからいいけど、そのたびにリズア送りにするのもどうかと思う。あいつら手加減をしないから平気で死ぬような特訓をやる。だがそれに何度も挑むグンナルもすごいと言えばすごいのだが。


「最近、他の者たちもグンナルに影響されてか修行する者たちが増えているそうです。リンドの所の三頭龍デルタ・ドラゴンズたちやタマモも修行しているとか・・・・」


三頭龍デルタ・ドラゴンズとは、ソウキ、アイガ、カクラの総称だ。いつそんなのができたのは知らないが、ダンジョンの住民たちの間ではそう呼ばれている。


「あいつらは分かるが、タマモもなのか?」

「はい・・・メリアスさんに師事して貰っているとか」


マジか・・・ってか、メリアスの所でなんの修行をしているんだ?


「カルラ様!もう一度お願いします!」


そして、身体は回復しているが服はボロボロ姿のグンナルがやって来ると『休憩は終わり』と俺に言って嬉しそうにグンナルを見る。


「いいわ・・・今度はもう少し生き延びなさいよ!」


そう言って二人の戦闘が再び始まる。念のため俺はグンナルのステータスを確認してみたのだが妙なスキルを発見した。


【ユニークスキル:断罪魔法】


なんか、凄そうなスキルがあるんだがグンナルは気付いていないみたいだ。


「・・・あいつ、どこまで強くなるんだ?」


・・・・・・・・・・・・・・・・

44階層


「ぜぇ・・ぜぇ・・・分かっていたことッスけど、やっぱ強ええ」

「某たち、3人でも勝てぬのか・・・」

「・・・」


ボロボロ状態で武器を構える三頭龍デルタ・ドラゴンズのソウキ、アイガ、カクラ。彼らの目の前にいるのは空中から見下ろす巨大な白竜・・・ダンジョン44階層のフロアボス、天空龍・リンドの本来の姿である。


「まあまあ楽しめたぞお前ら・・・俺をこの姿にさせるほど追い詰めたのだから」


まるで、どこかの魔王のようなセリフであるが誰もネタを知らないので、三人とも悔しそうにリンドを睨む。


「・・・ふん、久々に稽古をつけたんだ。それなりの成果はあるんだろうな?」


そう言ってリンドの体は白く光り出し普段の人の姿になる。


「まあ・・・お陰様で」

「得ようと思っていた物は得られた」

「・・・その辺は感謝かな」


三人はニヤリと笑い自分のモニターをリンドに見せる。


「・・・ふん、及第点といったところか」


ソウキ

【ユニークスキル:封氷呪】


アイガ

【ユニークスキル:心剣化】


カクラ

【ユニークスキル:影憑依】


「次は絶対に勝つッスよ!」

「なら、そのスキルを使いこなすのが始まりだな・・・」


「・・・相変わらずムカつく奴」

「まったくだ!」


三人は不満を言いつつも嬉しそうに自分たちの新たな力を見る・・・さらなる高みを目指して。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

地下44階層


ここは地下44階層。ダンジョンの最終防衛ラインにして最強のフロアボス、世界樹の女神・メリアスが守護するフロア。尋常ではない濃度の魔素に包まれたこの部屋で一人の巫女服と狐尻尾を持った女性が瞑想をしていた。


「・・・・・・・・・・・・・」


ダンジョン管理部の総責任者のタマモ・・・彼女もまたダンジョンで修行をしている人物の一人であった。


「タマモ・・・時間ですよ」

「・・・ふぅ、はいメリアス様」


彼女の修行に付き合っていたメリアスは目の前の砂時計が完全に落ちたのを確認し、タマモの瞑想を止めさせる。


「中々の集中力ですね・・・日頃から管理部門での仕事で培われているのでしょう」


メリアスは感心したように褒めタマモに回復薬を飲ませる。


「さすが神霊族というべきでしょうか。他の種族と比べて基礎能力がかなり違いますね」

「・・・ですが、私は管理部門。戦闘に明け暮れている者達に比べたらまだまだです」


それは謙遜でもなくタマモの本心であり、メリアスもそれを知っている。神霊族・稲荷神種へとなったタマモは種族としての実力が最強の生物、ドラゴンよりも上の存在。しかし、タマモには戦闘経験が全く無かった。生まれたばかりの虎と過酷な自然の中で生き延びた鹿と戦った場合、どちらが勝つのは明白だ。


今のタマモに必要なのは濃密な経験・・・見ているだけでなく自身が戦い、自分の力量と戦いの判断力を高める必要があった。


「では、次のステージに入りましょうか?」

「はい!よろしくお願いします!」


メリアスが軽く手を叩くと、巨大な怪獣が何頭も出現する。


風聖霊王・テンペスト レベル82

水聖霊王・アグア レベル82

暴君恐竜王・アビスザウルス レベル86

雷悪帝・ザウス レベル84


「・・・メリアス様?このダンジョンモンスター達は?」


引きつった顔のままタマモは笑顔のメリアスを見る。


「はい、まずは地下34から37階層にいるダンジョンモンスターを適当に呼んでみました」


まずは手始めにと呼び出される最難関ダンジョンのモンスター達。レベルは80以上・・・レベルだけで言えば初期設定のゾア以上である。もちろん実力で言えばフロアボスより下ではあるが少なくとも現在の冒険者が挑むべき相手ではないことははっきりと言える。


「あ、あの・・・メリアス様?」

「この子たちも運動が必要でしたし相手をお願いします」

「っひ!」


ニコリを笑うメリアスとダンジョンモンスターたちが一斉に攻撃体勢にはいる。


「もう少し順序というものを!」


タマモの叫びは虚しくも魔法に寄る爆発音に酔ってかき消される。そして少しばかしメリアスに対して恐怖を覚えたのは言うまでもない。

今回は修行回でした・・・タマモたちもいずれ活躍する場面を与えたいと思います。


補足

現在地下ダンジョンは封鎖状態ですがダンジョンモンスター達は普通に暮らしています。主にフロアの管理などを任されています。

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