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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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121話 邪神を倒したので情報を偽造しました

ザズムフとの闘いがようやく終わった俺たちはすぐに才に連絡を入れる。


「才、今大丈夫か?」

『光輝か、今ゾアが魔物の討伐が終わってそっちに向かっているんだが・・・その様子だと終わったみたいだな』

「ああ、邪神はこっちも倒せたよ」

『そうか、お前たちが無事でよかった・・・俺は倒した魔物の処理を済ませてからそっちに向かおうと思う・・・少し面倒なことになってな』

「魔物の処理?『光輝様!あれ!』・・・ん?ってなんじゃありゃ!」


アルラが俺の袖を引っ張り、彼女が指を指した方向を見ると、何やら巨大な影が見えた・・・まさか、あれ全部ゾアが倒した魔物か?


そして、その山の方から小さな影・・・というよりも予想通り魔法具スクーターに乗ったゾアだった。


「コウキさん!ご無事でっか!地下22階層フロアボス、虚無の皇帝・ゾアが加勢するで!」


ゾアがかっこよくキメ顔で言うが残念、すでに終わっているんだよね。


「・・・あり?もしかしてワイ出遅れた?だああ!調子に乗って4面揃えてとどめを刺したのが失敗やった!普通に2面連発やっていればもっと早く来れたのに!」


相変わらず騒がしい奴だがやっぱこういうキャラは重宝すべきだな。


「ゾア、魔物の討伐お疲れ・・・よくやってくれた、ありがとう」


俺が軽く肩に手を置きゾアを褒めると嬉しそうに照れて笑う。


「さて・・・こっちの状況の説明は屋敷でやるか。アルラ、この辺りの地面の修復を頼んでもいいか?俺はグンナルたちが気になる」

「はい、お任せください」


さすがにこのまま放置しておくのはまずいため、アルラに指示を出し俺はゾアと一緒にスクーターに乗って急いでグンナルたちの所へ向かう。


グンナルたちは俺とザズムフが戦った場所から2キロほど離れたところで休んでいた。オウカとグンナルはかなり疲れている様子でぐっすり眠っている。


「コウキ様!よくご無事で!」


ランカが俺を見るやすぐに駆け付け小声で言う。


「心配かけたな・・・グンナルたちの様子はどうだ?」

「はい、コウキ様のおかげで二人の様態はかなり良くなっています。傷口も塞がっていますから2,3日休めば動けるようになります」

「そうか・・・邪神の討伐は終わったから二人を屋敷に連れて行こうと思う」

「了解しました・・・ロセ、ヴァプ、頼むわよ」


ロセは分かるがいつの間にかヴァプまでランカに懐いたのか彼女の言うことに従い、グンナルとオウカを背中に乗せる。


「そういえば、ラアロって喋れるけどこいつらはしゃべれないのか?」

「それはそうですよ。まだ生まれてそんなに経っていない子供が話せるわけないじゃないですか?」


え?子供?


「この子達もいずれ言葉を話せるようになりますよ」


そう言ってランカが二匹を撫でる・・・・普通の動物の5倍以上の巨体を持つこの神獣が子供って・・・


「・・・マジっすか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

屋敷


「コウキ様!お帰りなさい!」


元気よく出迎えてくれたのはプラムだった。ワイトやジェームズたちもホッとした様子で俺たちの所へ駆け寄ってくれた。


「コウキ様、もしや本当に邪神を?」

「ああ、なんとか封印したよ。これで大丈夫だろう」

『おお~』


俺がそう説明するとジェームズたちが歓声を上げて嬉しそうな顔をする。まあ封印したのはアルラなんだがな。俺は邪神との闘いが激戦だったかのように装うためここに来る前にワザと服をボロボロにして、血糊っぽい液体をかけたり、包帯でぐるぐる巻きにしてある。殆ど無傷で帰ったりしたらバケモノ扱いされそうな気がしたからな。


「よ、光輝。戻ったみたいだな」


屋敷に入ると才達がすでに到着していたらしく、リビングでくつろいでいた。魔物の後処理とかはヒュウやギルドに任せたのだろう。


「サイ様、コウキ様たちは重症を負われています。申し訳ありませんが日を改めてもらえないでしょうか?」


ジェームズはすぐさま頭を下げてお帰りを願おうと頼むが才は一瞬で大けが偽物だと気づきニヤリと笑う。


「そうだな。光輝も大変だったみたいだし日を改めよう。俺も疲れたし・・・光輝またまた後でな」


そう言って才が軽くポンと肩を叩き俺にだけ聞こえるようにつぶやく。


「もう少し痛がる演技をしておけ・・・」


あ、やっぱりバレていたか。


「コウキ様、すぐに包帯を取り換えて!ああ、その前に体の汚れを!コリー着替えを用意しなさい!」


そして未だ騙されているジェームズはテキパキと指示を出していく。


・・・・・・・・・・・・・・


ジェームズが用意した服に着替え、汚れを落とした後ジェームズに無理やりベッドへ連れて彼寝かせられた・・・少し派手過ぎたかな?


グンナルとオウカもそれぞれ寝室でコリーやプラムに看病してもらっている状態だ。


「コウキ様、ヘレンがスープを作りましたのでどうぞ」


ジェームズは料理を乗せた台車を持ち込み部屋に入って来る・・・なんか仮病を使った気分ですごく申し訳ない気分になってきた。


「ありがとうジェームズ。一応回復薬で治ってきたから大丈夫だよ」

「そうですか?何かありましたらすぐお呼びください」


ジェームズがお辞儀して部屋を退室すると入れ替わるようにゾアとアルラが入ってきた。


「アルラ、悪いな疲れているのに後処理を任せて」

「いえいえ、光輝様は邪神を倒しましたのですか。これくらいはさせてください」


アルラはどうってこともないって感じで言う。本当頼もしいよ。


「そういや、アルラはコウキさんの戦いを見ておったん?どうやった・・・邪神との闘いは凄い激戦やったか?」


なんかゾアは凄く興味津々な様子でアルラに尋ねる・・・ってかそんな激戦と呼べるような戦いじゃないぞ。


「それはもうすごいですよ・・・邪神の攻撃を全て打ち消し、さらに魔法で動きを封じて、何手も先を読んだ戦略で邪神を丸焦げに」


なんかアルラが悪ノリしたような口調でゾアに説明する。


「一応、フロアボス様たちの参考になるかと思いまして映像は録画してあります」


おい、いつの間に!


「おお!そりゃ楽しみや!あとでランカ達と一緒に上映会や!」


やめて!マジで恥ずかしいから!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・とりあえず、これでテオはもう大丈夫なんだよな?」

「はい、邪神が残っている可能性はもう無いと思います」

「まあ、もしおったとしてもワイが出向くんで問題ないやろう。正直少し不完全燃焼な気分やし」


巨大魔物200体を倒しておいてまだ不完全燃焼とかいうのかよ・・・やっぱりフロアボスは戦闘狂ばかりなのか?


「コウキ様、グンナルさんたちが眼を覚ましました」


慌てた様子で入ってきたワイトから報告を受け俺はすぐにグンナルたちの部屋へ向かう。


・・・・・・・・・・・・・・・


俺たちが部屋に入るとグンナルとオウカはすでに目を覚ましており、ヘレンのスープを平らげていた。


元気だなお前ら!


「グンナル、オウカ・・・もう大丈夫か?」

「「コウキ様!」」


俺に気付くとすぐ立ち上がろうとするが、まだ痛みが引いていないためすぐにベッドに倒れこむ。


「まだ痛みが引いていないんだ。まだ休んでおけ」

「申し訳ご・・・コウキ様!その怪我は!」


グンナルが俺の体にまかれていた包帯を見るとすぐさま青ざめた顔をしだす。


「俺は護衛失格です!コウキ様をお守りすることができず!そんな傷を負わせてしまって!」


あ、そういやまだ説明していなかったな。


「落ち着け!これは演技だ・・・怪我なんかしていない」


そう言って俺は腕を軽く振り回し、包帯をめくって傷が無いのを見せる。


「え?ではなぜ?」

「邪神を倒して無傷で戻ってみろ・・・ジェームズたちがどんな反応すると思う?」

「・・・なるほど」


さすが物分かりがいいのか、俺の意図をすぐに理解した。


「って、ちょっと待ってください!ってことはあの邪神を無傷で倒したってことですか?!」


グンナルとオウカは信じられない様子で俺を見る・・・そういう反応されると思ったから装っているんだよ。


「では我々が護衛する意味は・・・・・」


全く歯が立たなかった相手を無傷で倒した事実にグンナルたちは暗い顔をする。ってかメンドクサイな!オイ!


「あ、でも俺が倒せたのは相手が屋敷ダンジョンの敷地内だったからな。それ以外の場所だったら絶対無傷で倒すなんて無理だったさ。それに、お前らが戦ったことは決して無駄じゃない。グンナルはあんなにボロボロになっても俺にザズムフの情報をくれたじゃないか」


ショックを受けるグンナルをなんとか励ますがずっと下を向いたままだ。


「コウキ様、少し時間を与えてくれませんか?色々と考える時間を与えてください」


ランカがそう言うと、アルラとゾアも頷き俺たちは一度執務室に戻った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「グンナル大丈夫かな?」

「肉体よりも精神の部分のダメージが大きいみたいですね」

「そりゃ、自分たちがコウキさんを守る!って気持ちでここにいるのにそのコウキさんがとんでもなく強いって知ったらそりゃショックを受けるわな。ワイやって急いで来たらコウキさんが邪神を倒してメッチャ驚いていたんやから・・・あれはショックやったで」


とてもショックを受けているような反応ではないが、やはり自分の役割を全うできないというのはかなり悔しい気持ちになるのだろう。


「別に俺が戦えるからってグンナルたちは俺の護衛としても今後も一緒に来てもらう予定だぞ・・・あいつらのことは頼りにしているし・・・ってか俺があんな出鱈目な戦い方できるのはダンジョンの中だけだからな」


実際俺は殆ど自分の魔力を消費せずダンジョンの魔力で戦っていた。正直戦うために国の大事な資源を勝手に使うのはしたくない。


・・・・・ん?大事な資源・・・・・


「あ・・・」

『光輝・・・ダンジョンの魔力について少し聞きたいことがあるんだけど』


俺が気づいた瞬間、まさに最悪のタイミングでエイミィから連絡が入ってきた。


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