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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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118話 賢者之箱(リプケ・プ・ジェル)

光輝からの『命令』を受けたゾアは頬を叩きながら気合を入れる


「~つー!強く叩きすぎたわ・・・ほな、始めるで」


目の前に迫ってくるのは200の巨大な魔物たち。どれもレベル60を超えた魔物たち、だがランカ達が戦ったのと同様、レベルには見合わない強さのためゾアにとって脅威とは感じられなかった。


むしろ、こんなものはとっとと済ませて、光輝の元へ駆けつけたいと思っていた。ゾアはすぐにモニターを操作し、自分の武器を取り出す。


「あれがゾアの武器・・・・え?」


上空に停止されているスクーターで待機していた才は目を疑った、ゾアの持つ武器・・・それはあまりにも武器と呼んでいいものなのか分からなかった。


賢者リプケジェル


ゾアの目の前に出現した金色に輝く箱、側面には何やら線が刻まれているのが見えるがその見た目はどう見ても・・・


「ルービックキューブ?」


そう、ゾアの前にあるのは一辺50㎝程の巨大なルービックだった。そしてすぐに【万能鑑定】でゾアの武器を見るがおかしいことに気付いた。


「魔力反応が無い・・・というよりもなんなんだこれは?」


ゾアは魔法具のエキスパートであることは前回の観光で理解していた。だからあの武器も魔法具でとんでもない性能を持っているのだと思って【万能鑑定】で見るも『発動可能な魔法は無し』と表示されていた。ただ表示されているのは『賢者リプケジェル』と『あらゆる可能性を秘めた魔法具』としか説明文に表記されていなかった。


「ふふふ、どうやら英雄の兄ちゃんの【万能鑑定】でもこの武器のすごさは視れないみたいやな。これはコウキさんがワイ専用の武器として作ってくれたいわば『神器』や」


自慢げに説明するゾアの言う通り、その武器はダンジョンの作成をしていた頃、光輝が考えた武器の一つだった。見た目はルービックキューブにスライドパズルを合わせたようなもの。そして側面にはいくつもの線が刻まれている。


「ほな、さっそく!」


ゾアが魔力を注ぎ込むと黄金の箱が浮かび上がりパネルがスライドしながらカチャカチャと動き出す。すると、一面が揃ったのか刻印が浮かび上がる。


「揃ったで!『空気砲』発射!」


ゾアが嬉しそうに叫ぶと、黄金のルービックキューブから突風が吹きだし数体の魔物の動きを止める。


「あれがゾアの魔法?」


才はゾアの魔法を見てすぐにおかしいことに気付く。あの巨体の動きを止める風を生み出したのは凄いと思った。だがあの程度なら宮廷魔導士5人がかりでも発動できるものだ。神・エイミィを守るフロアボスがあの程度のはずがない。


才は以前リズアを観光した時、地下ダンジョンの存在に気付いていた。未だ解放されていないフロアということは、地下のダンジョンはさらに難易度の高い場所だと思った。そしてそこを守護する者ということは、ゾアの強さは少なくともグラムやカーツ以上の実力ということになる。だからこそ、先ほどの魔法はフロアボスとしては少し弱いと感じた。


「ふーん、やっぱ一面じゃこの程度の威力か・・・ほな、これならどうや?」


そう言うと、ゾアは再び魔力を流し込みルービックキューブを回すと2面に刻印が浮かび上がる。


「2面!『爆炎弾』に『結界』!」


すると、今度は火の弾丸が発射され魔物に直撃した瞬間、直撃した地点を中心に半径50m程の範囲を炎のドームが覆った。約10頭の魔物が一瞬で消し炭にと変えてしまった。


「・・・な!」


あまりの威力に才は呆気にとられる。先ほどの風魔法とは比べものにならないほどの威力だった。


「うん、二面でこの程度なら余裕やな」


そう言うとゾアはモニターを操作し、さらに2つ黄金のルービックキューブが出現する。


「まさか、三つ同時に操作を・・・」


ただでさえ、刻印をそろえるのが難しい魔法具にゾアはさらに2つ追加し、合計3つのルービックキューブを操り出す。


「さあ、こっからが本番や!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

屋敷


「さて、俺たちも向かうか」


そう言ってリビングから出るとジェームズたちが入り口のすぐそばで待機していた。


「コウキ様、いかれるのですか?」


ジェームズたちはかなり不安そうな顔をしていた。そう言えば、リビングに【傍聴結界】を張るのを忘れていた。おそらく俺たちの会話は丸聞こえだったのだろう。


「ジェームズ、何かあったらすぐにあの転移門で脱出してくれ」

「・・・しかし、危険です!」

「ジェームズ・・・この屋敷のことを頼むよ」


引き留めようとするジェームズたちだが俺がそう命令すると渋々従った。


「ワイト、プラム。二人もここに残ってくれ、もしものことがあった時はお前たちが向こうに事情を説明してやってくれ」

「はい、わかりました」


ワイトとプラムにも指示を出した後、屋敷を出るとレノ・レオガラ・ブルとレノ・テンペスト・タイガーが待っていた。


「どうやら、脚替わりに使ってほしいそうです」

「神獣を脚替わりって・・・まあ、オウカがいない以上頼るしかないか」


そう言って俺が牛に、ランカとアルラが虎の神獣に乗る。


「そんじゃ、邪神討伐を開始するぜ!」


今回はゾアの専用武器、賢者リプケジェルが登場しました。


見た目は本文にあったように、スライドパズルとルービックキューブを合わせたような武器でパネルごとに刻印魔法の一部が刻まれています。それらをスライドで動かしたり回したりすることで様々な刻印魔法を発動させることができます。


威力は非常に高いですが発動条件が非常に難しい魔法具という設定です。基本魔法の他に付与魔法の刻印魔法もあるため、刻印の形を全て覚えておく必要があります。


一面そろえるだけでも高い威力を誇りますが、2面、3面とそろえる面が増えると威力がけた違い上がるボーナスが追加されています。


魔法を発動させるとすぐにばらばらに崩されて発動できない状態になってしまうため、同じ魔法を発動するのは非常に困難です。また発動するのに少し時間がかかるため、ゾアは戦闘時には3つ用意して同時に操作して戦います。

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