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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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112話 邪神の調査をしたら隠れ家を見つけまいた

北エリア


「確かこの辺りでしたね」

「ああ、間違いない」


アルラとオウカ組が光の柱が見えた住宅街の大通りを歩く。この辺りも避難勧告が出されており、誰一人いなかった。それが幸いしたのか、あの巨大魔物が現れても王都は騒ぎ出さなかったのだ。


「ここですね」


アルラが一件の精肉店を見る。一見すると普通の店だがそこから感じ取れる瘴気のような気配をアルラは感じ取っていた。


「お邪魔しま・・・うぅ!なんですかこの臭いは」


そおっとドアを開けた瞬間、アルラの脳天にストレートパンチを放ったかのような悪臭が直撃した。


「オウカ、この子と一緒にここを離れてください」

「りょ、了解した!」


アルラ以上に嗅覚が優れたオウカにとってこの臭いは耐えられない。すぐさまアルラの指示に従い離れる。


「・・・やはり何かの実験を行っていたみたいですね」


足元には大量の動物の死骸や呪い道具のモノが散らばっていた。そして奥には屋敷周辺にあったものと似た祭壇が置かれていた。おそらくここでも地脈の流れを乱していたのだろう。


「・・・酷いことをしてくれます。どうやら新しい情報となりそうなものは・・・あれ?」


アルラが動物の死骸を見るとあることに気が付いた。どの動物も体の一部が魔物化、そして魔物は上位種へと進化仕掛けていた。


「・・・まさか、地脈を使った魔物化と進化の実験を行っていたのですか?ですが、それならあのレベルの魔物が現れるも納得です」


結論をまとめ上げるとアルラはゆっくり目をつぶり集中する。


「・・・とりあえず、集められる情報はこれくらいですかね。ここをこのままにしておくのもまずいですし、瘴気を浄化させておきましょう」


そう言いだし、アルラの髪飾りとなった花が輝きだし、部屋に充満していた瘴気や悪臭などを浄化させる。


残されたのは血まみれの床と大量の動物の死骸。


「・・・助けられなくてごめんなさい。もっと早くここにいたら」


アルラはそんな後悔の念を胸に秘め、魔法で動物の死骸を光の粒子へ変えいく。そして、光の粒子はそのままアルラの髪飾りへと吸収された。


「次は素敵な一生を送れるわ・・・約束します」


そう言い残し、空気の澄んだ血まみれの部屋を出ていくアルラだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「それじゃあ、やっぱり今回の事件の犯人は邪神ザズムフだったんだな?」

『はい、戦闘を行った巨大な鳥魔物からザズムフの呪いがかけられていたのを確認しました。触れた相手を【呪い】にしてしまう『感染型』・・・かなり危険なものです。それと隠れ家として使っていた建物から大量の動物や魔物の死骸と呪い道具を発見、全てこちらで破壊しました』


アウラからの報告を受け、とりあえずアルラの方は問題なく終わったみたいだ。しかも、ザズムフの隠れ家まで発見するとか大手柄じゃないか。


「なるほど、それでランカの状態異状が【呪い】になっていたのか」


ボルテックス・カイザー・バイソンを捕らえた後、俺はモニターで全員のステータスを確認したらランカが【呪い】状態になっていたため、すぐに【呪い無効化】スキルを【リンク】で付け加えたのだ。おかげで彼女の呪いは解呪されて元通りになっている。


「それで今こっちに戻っているのか?」

『はい、才さんの所にはヒスイさんが向かいましたし、一度合流した方が良いかと思いまして』


まあその判断は正しいと思う。アルラが才の所へ加勢するのは少々リスクが高すぎるからな。


「・・・ところで、その抱えている鳥はなんだ?」


モニターに映るアルラ、そしてモニターにチラチラと映る虹色の鳥・・・物凄く嫌な予感しかしない。


『この子ですか?情報を手に入れるために必要かと思いまして、エンペラー・ヴェレを進化させて拾ってきました』


拾ってきましたって!何その捨て犬を拾ってきたみたいなニュアンスは?!『捨ててきなさい!』とでも言えばいいのか?


「はぁこの際、そいつのツッコミはやめておこう・・・ランカからもゾアの地脈修復は完了したらしいから。こっちに向かっているそうだ・・・なんか巨大な虎も一緒らしい」

『ランカさんも一緒ですね♪』


一緒ですね♪じゃねえよ!なんで揃って動物を連れてくるんだよ!


『ゾア様の方にも邪神が現れなかったとすると・・・やはり』

「ああ、才の方に現れたんだろう。さっきから才達に連絡を入れても全然応答が無いんだ。おそらく戦闘中なのだろう」

『今から私たちも加勢に向かいましょうか?』

「いや、アルラ達は戻れ。修復で疲れているだろうし、まずはお前が拾った情報ってのも気になる」


元セフィロトだってことがバレたらおそらくアルラも狙ってくるに違いない。それはできれば避けたい。才たちの方も気になるがあいつらがすぐにやられるとは考えられない。


「お前は必要以上にやったんだ。ひとまずこっちに戻ってきてくれ」

『御意』


そして、そのまま通信を終えると大きなため息を出してしまった。


「はぁ、どうもアルラに対して甘いような気がするがまあ、あいつならちゃんと面倒を見るか・・・それよりも」


俺が視線を後ろに向けるとやけに落ち着かない様子のラセツ達がソファーに座っている。


ラセツには俺がエイミィの従者という設定で話を通した。ボルテックス・カイザー・バイソンを倒したのもエイミィから授かった能力によるもの。そして、俺がエイミィと関わりのある人物であることは絶対知られてはならない秘密と伝えた。


「それじゃあ、ラセツさん・・・今回見たことは他言無用ですよ」

「もちろんだ。カグツチの者は約束を守る・・・絶対に口外しないことを誓おう。これがその血判状だ」


ラセツが出したのは一枚の紙で、内容は俺、および仲間のことを絶対に口外しないということで。それぞれの血で捺印されている。そこまでしなくても・・・てか、あんた等いつの時代の人だよ!


「わかりました、ラセツさんたちの覚悟は伝わりました。あなた達を信用します」


俺がそう言うと三人ともホッとした様子で胸をなでおろした。


「では我々はこれにて失礼する。少々長居しすぎたな・・・申し訳ない」

「いえ、こちらこそ巻き込んでしまってしまいました」

「それも、余計なことだったが」


何もしていないことに肩をすくめて言うラセツ。まあ、確かに俺一人で十分だったな。


そしてラセツを見送った後丁度、アルラとオウカ、そして巨大な虎に乗ったランカが到着した。


「おかえりアルラ、オウカ、ランカ。そいつらが拾ってきた奴か?」

「はい、名前はラアロにしました」

「あ、私もこの子にロセと値付けました」


いや、名前は聞いていないから!


ってか、神獣が二匹いるし!どうするんだよこれ!


鑑定すると、レノ・フェニックスとレノ・テンペスト・タイガーと表示されている・・・アハハハハ、もうどうにでもなれ!


「はぁ・・・仕方ない。とりあえず中に入れ・・・話の続きはそこでだ」


・・・・・・・・・・・・・・・・

リビング


倉庫にいるプラムに連絡を入れ、もうダイジョブと伝え屋敷に戻ってもらうとワイトがいないことに気づいた俺。


「プラム、ワイトはどうした?」

「え?・・・その。ちょっと倉庫で調べ事を」

「・・ふーん?」


何か隠しているのがバレバレのプラム。俺はモニターを操作してワイトの居場所を調べた、するとなぜ屋敷にいるはずのワイトが西エリアにいてゾアと一緒にいるのだろうか?


「・・・はぁ、なるほどね。ゾアが異論を唱えないわけだ」


おそらく、魔法具でワイトを向こうへ連れて行ったのだろう。それくらいあいつなら簡単にやりそうだ。プラムの反応からして、おそらくワイトが彼女にだけ伝えたのだろう。


「はぁ・・・どうして皆勝手に行動するのか・・・」


呆れた様子で俺は後ろにいるアルラ達を見る、自由すぎるのも問題だよな?グンナルとオウカは全く悪くないため真っすぐ俺を見ているがそれ以外のメンバーが目をそらす。


「あ、あの!ワイトは悪くないんです!」

「じゃあ、連れて行ったゾアが悪いか」

「え?・・・あ、いえ、そうではなく・・・ううぅ」


プラムがすごく泣きそうな顔をして、からかうのはこの辺にしておくことにした。


「分かっている。ゾアがワイトの力が必要だから連れて行ったんだろ?」

「・・・はい」



とりあえず、ゾアには『馬車6時間耐久乗車の刑』に処することは決定だな。あと絶叫マシンとか作ってあいつを実験台にしよう。


・・・・・・・・・・・・・・

南エリア


「・・・うぅ!何や急に寒気と気分が悪くなってきよった」

「ゾアさん大丈夫ですか?さっきからずっと作業しているじゃないですか?少し休憩が必要では?」


地脈の修復作業が終了したゾア達は、地脈に流れる自然エネルギーを調査していた。


「ゾア様、地脈に流れる感情の取り除きが完了しました」

「お、さすがワイト!そんじゃ次の作業に取り掛かるで」

「次って・・・これで魔物の暴走化は無くなるんですよね?まだあるのですか?」

「せや・・・せっかく地脈のすぐそばにおるんやからちょっと細工をしようかと思うて」

「「細工?」」


ワイトとケイトが?マークを出しながら首を傾ける。


「まあ、これはワイとワイトで出来るからケイトはんはもう戻ってええよ。さすがにあちら側が気になるやろうし」

「いえ、私もここに残ります。何か手伝いできることがあったら言ってください!」


何をムキになっているのやら、ケイトはガンに残ると宣言した。


「な、なんならええんやけど。ホンマにやることないで?」

「構いません!ここで勉強させてください!」


さっきまで一刻を争うとか言い出していたのに・・・と、ゾアは記憶を蒸し返しながら思った。


「まあ、ええやろう・・・せやけど、正直これはワイでもできないことやで」

「ゾアさんでもできないこと?」

「まあ、今のワイトには無理やろうからこれを使う」


そう言って取り出したのは青白く輝く実


「・・・ゾアさん、これは?」

「ダンジョンの最大機密の一つや・・・ワイトこれを食い」


ワイトはゾアから手渡されるマナの実を口に入れた瞬間、ワイトの体が真っ白な光に包まれる。


ホワイトリーの種族覚醒に成功しました。

屍人族から神霊族・生魂神種へと覚醒しました。


【鍛冶スキル】はレベル10へ上がりました。

【神霊術スキル】レベル3を取得しました。

ユニークスキル【魂眼】は新たに【精神干渉】と【魂操作】を取得しました。

称号【死神】を取得しました。


ラアロは古代言語で『空気』を意味します。

ロセは古代言語で『牙』を意味します。

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