9話 誤魔化したら尾びれが付きました
かなり間が飽きましたが、ダン無理の投降を再開です。新年の豊富は・・・・とにかく前向きにマイペース・・・去年と同じだな。
「それでは、これらの商品はこれくらいの金額でどうかね?」
ウィリアムとの商談でダンジョンについて語っていたが本来の目的に話を戻した頃にはすでに夕暮れだった。ウィリアムは自分のモニターを操作して俺に金額を見せてくれた。丁寧にどの商品がどの金額で買い取るかもしっかり記されている。これが高額なのか分からないが、商業の知識が無い俺には従うしかない。
「分かりました、それでお願いします」
「ではこちらが契約書です」
秘書のカンナが紙を取り出しウィリアムがその紙にサインをした。
「そういえば、コウキ君は商業始めて何だったな」
「ええ、お金のこととかあまり知らなくて」
「まあ、ノフソの森なら物々交換で済むからな」
ウィリアムとカンナは俺のステータスを見た時点でどこ出身なのかは知っている。そして、暮らしについてあちら側が勝手に勘違いしてくれた。
設定だと俺はノフソの森にある集落で暮らしており、外の世界を知るために商人として森を出た。集落の仲間たちと共にダンジョンに挑み、外の世界に一番興味を持っていた俺に仲間たちが戦利品を託して俺を送ってくれた・・・・そんな話になり、ウィリアムはその話を聞いて号泣したほどだ。
ちなみに、ノフソの森の住民は殆どが自給自足で生活しており、あまり森から出ないことで有名らしい。だからこそ、俺がお金や商業について知らないことも認識している。
「で、この契約書を俺のモニターに触れさせればいいんですよね」
俺は契約書の紙をモニターに触れさせると紙は吸い込まれるように消えた。そして、モニターから俺の所持金欄を確認するとウィリアムが表示した金額がしっかりと加算されていた。初めは0と表示されていたのに、七桁の数字が表示されている・・・って、あれで数百万かよ!
ちなみにこの世界のお金の通過は「1E」・・・大体、日本の円と同じくらいだと思う。
「あの・・・本当にこの金額でいいのですか?かなりの大金だと思うのですが?」
「いや構わんさ。仲間の託した戦利品・・・儂が責任持って引き取る。それに、金額はしっかりそれに見合った額だ。初めてでいきなりの大金だが、それだけ君たちが持ってきた品々は価値のあるものなのだ。これだけの品、探すのにも総統苦労しただろうに・・・・ううぅ・・また涙が」
苦労とかそんなの無いです!数秒モニターいじって出現させただけですから!
これ全部俺がモニターで出しましたなんて、今更言えねぇけど。
「では、これで取引は終わりにします。コウキさん、今日は遅いですがどこか泊まる予定はあるのですか?」
ウィリアムが涙をふいている間に、カンナが間に入り取引を締めてくれた。
「いや、特に決めてなくて・・・・」
「でしたら、ギルドの宿泊施設を使うといいですよ。ギルド会員なら割引で泊まることが出来ますから」
お、早速会員の割引サービスが役立った・・・あれ?会員・・・・・
「あ!冒険者ギルドの登録!!!!」
ウィリアムとの話に夢中になって、『冒険者ギルド』加入のことを忘れてた。受付のお姉さんに後で行くって言ったのにこれはまずい。
「すみません!他の会員登録ってまだ間に合いますか?」
「すまんが、もう受付は終了していてな」
うわああ・・やらかした気分だった。別に登録は今日じゃなくてもいい。ただあの受付のお姉さんに登録するって言ったのに行かなかった罪悪感が残った
「あの受付のお姉さんになんて言ったらいいだろう」
「受付?ああ、ミルのことか彼女になら儂から伝えておくぞ」
「そうですか?そうしてくれるとありがたいです」
「ふむ、今日は疲れただろう。今日はゆっくり休みなさい」
「お部屋までご案内します。こちらへどうぞ」
そして俺はカンナさんに案内されるままにギルドマスターの部屋から出た。
二人が部屋を出るのを確認したあと、残されたウィリアムは真剣な表情でモニターを開き連絡を取った。
「社長、ご相談したいことが・・・・」