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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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101話 王都を観光したらギルド本部へ行きました2

ヒュウと別れて訓練施設から出た俺たちが次に訪れたのは真っ黒い建物だった。


「なあ、才ここは何の場所なんだ?」

「入れば分かるさ・・・どうしてもお前たちを連れてきてほしいって要望があってな」

「要望?」


才が頬をポリポリかきながら入り口の方を見る。


「へぇ・・・【防音】と【傍聴】の刻印魔法が施されているみたいやな・・・相当見られたらまずい場所なんちゃう?」

「まあ、ギルドの重要機密施設の一つなんだが・・・ここの責任者が是非って」


刻印・・・責任者ってもしかして


「あ、皆さんようこそ『魔法具研究機関』へ」


やってきたのは予想通り、ケイトだ・・・さっきまで何かの作業をしていた様子で髪の毛が少し荒れている。


「ささ、入ってください。ゾアさんに色々と見てもらいたいものがあるのです」


そういえば、ゾアを連れてきた理由ってテオの魔法具を見てもらう事だったな。才は無邪気にはしゃぐケイトの姿を見て少し微妙な顔をしていた。そうとう珍しいのだろう、彼女があんなテンションなのは。


というか、絶対彼女才がいるのを確認していないだろ。仲間のはずなのに一言も言っていないぞ。


仕方なく中に入ると、いくつもの魔法具を開発するための道具が壁につるされていた。ゾアの技術開発部門の施設と比べたら少ない方だけど、それでもここまで集めているのは凄いな。


奥へ進むと数人の男女たちが待っていた・・・あれ、あの人たちって確か狼車を観察していた人たちだよな?


「ここでは主に旅に役立てる魔法具を開発している場所なのです」

「なるほど・・・お、この箱はもしかしてワイのを真似て作っとるやつか?」


ゾアがまず目を向けたのはコンテナハウスのようなものだった。表面には様々な刻印が刻まれているのが分かるが、刻印が重ならないように刻まれているため少し不格好な気がした。


「なんとか、【空間魔法】の制御までは成功して中の広さを3倍までできたのですが・・・」

「へぇ・・・見ただけでこれほどできるやなんてさすがケイトはんやな」


ゾアは少し驚いた様子でケイトを褒めていた。


「なあ、ワイトそれってすごいことなのか?」

「はい、【空間魔法】の刻印は特に調整が難しい部類のものです。それを一日見ただけで再現できるのは凄いことです」


まあ、言われてみればその通りだよな?


「せやけど、【魔力吸収】とかが入っていないみたいやな。魔力は魔石で代用しているみたいやな」

「はい、【魔素吸収】はまだ謎のままで今は【空間魔法】の研究をしていたのです」

「なるほどな・・・せやけど、それやと魔石の消耗が激しすぎやないか?」


確かに、魔石はかなり貴重なはず。最初からそれを使うとなると相当消費することになる。


「ええ、これを作るのにすでに予算の四分の一を使ってしまいまして」

「おい、まじかよ!」


才も知らなかったようで呆れた声でつぶやいた。


「ん~、コウキさん。ちょいっとワイらの技術渡してもええやろうか?」


さすがに可哀そうと思ったのか、ゾアが手助けしたいみたいだ。


「いいよ、テオとはこれからも仲良くしたいからな。技術提供の許可をする・・・ただし、あくまで生活商品の範囲内の技術だ」


さすがに武器とかヤバそうな技術は伝えられない。


「了解したで・・・ワイト、助手を頼む」

「あ、はい」


ゾアに呼ばれて近くへ行くワイト・・・そしてゾアが色々と説明すると魔術師達が皆メモを取り始めた。こりゃ長くなりそうだな。


それから一時間ほどゾアと助手のワイトによる講義が行われた。才の【認識阻害】のお守りをオフにしたにもかかわらず研究員たちは才の存在に気づいていない。仕方なく俺たちは勝手に中を見学した後、勝手に休憩室のベンチに座りながら、勝手に暇つぶしのチェスをしていた。


「ほい、チェックメイト」

「んあ!才強すぎだろ・・・」

「光輝様、これで8連敗ですね」


過去にチェスゲームのプログラムを組んだことがあり、そこそこ自信があったがこれはさすがに自信を無くす。グンナルたちもかなり暇なのかプラムマヤちゃんたちとトランプをしていた。


「あいつら、まだやっているよ」


区切りが全くつかめないゾアの講義・・・いったいどれくらい時間がかかるのやら。


「っとまあ、これが【魔素吸収】の基礎をざっくり説明した内容や」

「なるほど、とても勉強になります」


ざっくり説明してこの時間かよ、だけどようやく区切りがついたな。そろそろ別の場所へ・・・


「そんじゃ、質問タイムに入ったら次は刻印の配置についてや」


まだやるのかよ!正直これ以上は待っていられないな。


「ゾア、いい加減にしろ・・・次の所に回るぞ」


まだ見ていないところもあるんだから。


「あ、すんません・・・つい熱中してもうたわ。ほな、皆さんすんませんがワイらはこれで失礼します」


技術者たちは至極残念そうな顔でこっちを見てようやく才の存在に気づいたのか慌てた様子で頭を下げて挨拶をしてきた。


もう遅いよ?


「随分とイキイキしていたな」

「いやー、興味津々に聞いてくる人に教えるのはホンマ楽しいで。たまにエイミィさんに頼まれて魔法具の構造を教えに行ったりしていましたが、今回はもっと専門的な質問でなかなか・・・・」


ちょっと、まて。今なんて言った?


「ゾア、お前。エイミィの学校で生徒たちに教えているのか?」

「ええ。ワイだけやないで、他のフロアボスの皆さんも特別講師としてたまに教えております」


まじかよ、あんなにフロアボスを動かすなって言ったのにあいつは!


「・・・まあ、皆喜んでやっていることやから大丈夫やで。ワイも楽しかったし」

「まあ、それならいいが」


フロアボスたちの授業か・・・今度抜き打ちで見に行くとしよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


次に訪れた場所は誰もいなそうな広い建物だ


「才、ここは何の場所なんだ?」

「ああ、ギルド主催の『オークション会場』さ。今日は休みだから誰もいない」


オークションだと?


「それって、俺たちも参加できるのか?」

「一応、参加条件がAランク以上のギルドメンバーなんだ」

「そうなんだ」


俺のギルドランクは冒険者がCで商人がBだ。雑貨店リズアのおかげでこの前昇格したんだった。


「まあ、お前は商人ギルドですぐAになるから問題ないだろう。Aランクの商人なら品も出す権利があるからな」


へぇ・・・じゃあそこから色々出品するのも悪くないな。


「なるほど、じゃあ雑貨店リズアの方も頑張ってもらおうかな」


・・・・・・・・・・・・・・・・


その頃、トレスアールの雑貨店・リズアでは


ザワザワ


「お客さん!野菜は一人5つまでです!こらそこ!割り込みしないで!」

「申し訳ございません、ホワイトリー作の包丁セットは完売しました。次の入荷ですか?申し訳ございません、入荷は未定でして・・・」

「客足の増加を確認・・・休憩時間、削減確率75%」


本日も雑貨店・リズアは繁盛。


そう遠くないうちにAランクに昇格するのはトレスアールの住民全員が分かっていたことであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ショッピングエリア


オークション会場の次はギルドが運営している店が並ぶショッピングエリアだ。リズアの商店街とは比べものにならないくらい大量の店が陳列していた。トレスアールの市場も様々な店が並んでいたがこっちはなんというかものすごく品のある場所って感じ。奥の広場には飲食店が並んでおりまるでテーマパークの中にいる気分だ。


「ここがギルドの中でも自慢の場所だな。王都の住民たちもここで色々と買い物をしている」


確かに冒険者や商人とは違う一般人が買い物籠をもって歩いている。


「ここって、トレスアールの市場みたいに商人ギルドが運営しているのか?」

「いや、ここはすべてギルドが運営している店なので・・・商人ギルドの者はここに店を構えることができません」


一瞬俺たちは『?』マークを頭に浮かべるが、つまりこういうことだ。


商人ギルドに加入している人はあくまで個人の店を持つ人。俺の場合は『雑貨店・リズア』だ。だけどここに並んでいるのは個人の店ではなく、ギルドという大企業が運営している店ということ。市場の店はいうなればテナントみたいなものだ。


「ってことはここの店は全部才のものってことか?」

「・・・まあ、極論で言えばそうなるな」

「極論も何も経営方針、作物の栽培、輸入ルートの確保など全て才様が考案されたものじゃないですか」


スイちゃんが何か思い返しながら言っている・・・この万能人め!


「まあ、とりあえず昼飯にしよう。好きなの選んでいいぞ」


並べられている飲食店は懐かしい屋台が沢山ある・・・焼きそば、クレープ、串焼き、ラーメン、おでん、海産物焼き


「・・・なんというか、才も色々とやりたい放題やっているな」


そんな呆れた俺にお構いなしにゾアやプラムたちは何を食べようか迷った様子で店を見回る。すでに昼は少し過ぎているはずなのにまだ人が大勢並んでいる。


ちなみに俺は定食屋を見つけたので、エンペラーサーモンのムニエル定食にした。


「うん、美味い」


テオの料理最高!


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