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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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94話 出迎えが来たので夜会パーティに参加しました

目の前に立ちはだかるのは洋風の屋敷に不釣り合いなSF世界に登場しそうな建物が建てられていた。大きさは前の倉庫より一回り大きい。


倉庫の周りには様々な刻印魔法が施されているのが見えたので鑑定してみたが、ざっと30近くの魔法が設置されているのが分かった。ここまで施す必要あるか?


防犯装置は欲しいとは言ったがこれはやりすぎだろ。いったい数時間の間にどうやってこれを作ったのか謎であり、ゾアに聞くのも怖い。


「あ、あの・・・これは一体なんなのでしょう?」


現状が全く読めていないジェームズたちは目を天にした状態で要塞を見ていた。


「・・・すまない、どうやらゾアたちの仕業だ」


ワイト・・・なんで止めなかったんだ!


俺は心の中でそう叫びモニターを開く。


操作は俺のモニターでできるって言っていたからおそらく大丈夫だろう。


俺はモニターで『OPEN』のボタンを押すと、入り口のシャッターが開き、中に入ると【照明調整】の刻印魔法が自動的に発動し、倉庫の中を照らす。


「あの・・・ここ本当にあの倉庫なのでしょうか?」


コリーの言葉にジェームズとヘレンも無言でうなずく。大型トラック二台分ぐらいがやっと入れるスペースの倉庫は見事に20倍くらいのスペースへと広がっていた。おそらく【空間魔法】を設置して中を広げたのだろう。かなり大きめの【地脈吸収】が施されているから半永久的にこの広さは保持できる。


「はぁ・・・仕方ない。とりあえずいくつかの部屋を使って分けるとするか」


作ったものは仕方ない。それに広いに越したことは無い。

・・・・管理が面倒だが


俺たちは次々とオリジンの品を持ち込み倉庫へしまい込む。


「とりあえずこれで最後だな」

「はい・・・ですがこの倉庫はどう説明しましょう。ここではかなり目立ってしまいます」


ジェームズの言う通り、この倉庫は内部はバカ広いが外の見た目もかなり大きい。しかも屋敷のすぐそばにあるため、通りかかった人達にはすぐばれる。


「・・・まてよ、あいつの性格を考えてきっと・・・あった」


俺はモニターを操作して倉庫のステータス欄に【光学迷彩:OFF】という欄を見つけた。


「皆、一度出てもらえるか?」


皆と一緒に出た後、俺は【光学迷彩】をONに切り替えると、鋼鉄要塞は見事に姿を消した。目には見えないが倉庫があるのは間違いなく、触ると壁の感触を感じた。


「・・・そ、倉庫が消えた」

「何かの魔法なのでしょうか?」


ジェームズたちは開いた口が塞がらない状態で目に見えない倉庫を視ていた。


「あ、大丈夫だ。ただ目に見えなくしただけだから倉庫は消えていないよ・・・ほら、触ってみて」

「・・・確かに、目の見えない何かがあります・・・これがゾア様のお力ですか?素晴らしいです!」


まあ、その通りなんだが。ジェームズはなんか褒めているが、正直俺はゾアの行動に呆れるしかなかった。あいつ一度頑張る方向性を見直した方がいいんじゃないか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「光輝様、似合っているでしょうか?」

「ああ、似合っているよ」


アルラがやや不安そうな顔でプラム作のドレスを着ていた。まさに花の妖精と表現したくなるような姿で頭を撫でたい気分だ。プラムも濃いピンクのかわいらしいドレスに着替え最終チェックに入っていた。


グンナルとランカは軍服に着替え護衛として夜会に参加。一応二人のスーツとドレスも用意してあるのだが『仕事ですので』と言って断られた。


仮眠から起きたゾアとワイトも数十分前に起きて、倉庫のことについて軽く叱っておく。


「お前らやりすぎ!」


ワイトは素直に反省の色を見せるが、ゾアは「面目ありません」と軽く謝罪した後笑って流す・・・まあ、これから夜会なんだし、あまり怒るのもどうかと思ってその辺で切り上げる。


「はいこれ、皆の種族を隠すためのサブアカウントだゾアはエルフ、ワイトとアルラは人間のサブアカウント」


俺は才に言われたとおりにワイト、ゾア、アルラの三人に人間の姿になれるサブアカウントを送る。一瞬三人とも戸惑ったが、才の情報を伝えると納得してくれた。自分たちがいかに目立っているとは想像できないだろう。


「能力値のステータスは弄っていないから身体能力などの影響は出ないはずだ」

「光輝様、ありがとうございます」

「ほな、さっそく・・・おお!」


エルフのサブアカウントに変更したゾアの肌は褐色から真っ白、赤がかった黒髪は見事な金髪に変わった・・・あんた誰?!


「ワイト、見てみ!ワイエルフになったで!」


うん、中身はゾアのままだ。黙っていればイケメンなのになんというか残念エルフという言葉がピッタリな感じだ。


「・・・じゃあ僕も」


ワイトとアルラの外見はそこまで大きく変わらなかった。ワイトは灰色の髪が黒髪に染まったぐらいで、アウラに関してはほぼ変わっていない・・・頭についていた花飾りが消えたぐらいだ。


「コウキ・エドワード・カンザキ様、セレナ・V・テオプア様の命によりお迎えに上がらせていただきました」


城からの出迎えが来ると俺たちは約束の品を彼らに渡し、狼車で後についていくことになった。


一応、俺たちようの馬車を用意してくれていたみたいだが、オウカもいるしせっかくだから狼車で行くことにして、荷物などを兵士たちに持ってもらうことにした。


「いよいよ、夜会ですね・・・すごく楽しみです」

「プラムは夜会とかに憧れていたのか?」

「はい!たくさんのドレスが一度に集結する場所!デザイナーにとって、これほど心躍る場所はありません!」


なんか違うんだが、彼女にとって夜会とはそういう場所なのだろう・・・まあ、彼女のセンスを磨く場所になれればそれでいいか。できれば他の方でも楽しんでもらいたいのだが。


「ワイはあの料理がまた食べられるならそれで満足や」


ゾアはダンスよりも料理か・・・まあ、気持ちは分からなくもない。ワイトもそこまで興味があるわけじゃないみたいだが料理は楽しみにしているみたいだ。


「一応、言っておくがセレナがオリジンのことを公表してもダンジョンの情報は漏らすなよ。特にゾア・・・お前が地下22階層のフロアボスだってこともな」

「御意」


ゾアに念のため釘を刺した後、俺たちはテオの夜景を眺めながら城を目指した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

謁見の間


「コウキさん・・・本日はテオへお越しいただきありがとうございます」

「こちらこそ、素敵な夜会へご招待していただき誠に感謝しています」


すでに昼に挨拶を済ませているが、俺たちは社交行事として挨拶をした。


「サイは厨房で料理をしていますので、おそらく料理が運ばれてくるまで来れないかと思います。ヒュウとヒスイももうじき戻ってくるかと思いますので、来たらコウキさんたちに挨拶しに行くよう伝えます・・・ケイトは研究所に籠ってしまったので私が連絡を入れておきます」

「ははは・・・分かりました。こちらもヒュウとヒスイに会えるのを楽しみにしています」

「ところで、サイからお聞きになったのですが、オリジンから食材以外にも品を用意していただいたと・・・」

「はい・・・夜会の時にお渡しする予定です」

「そうですか・・・フフフ、それは楽しみです。できればその時にコウキさんたちのことを大々的に発表したかったのですが、それでは約束を破ってしまいますからね」


まあ、まだオリジンの存在を公表することはできないからな。それでは約束が異なってします。


「なので、今回の夜会では私とコウキさんたちが親しいということ、そして強い繋がりがあることを見せつけなければならないのです」


セレナが一瞬黒い笑みを見せた気がしたが・・・・見なかったことにしよう。


「こちらも、王族の後ろ盾があれば心強いです。時期が来ればオリジンの存在を公表し正式に発表して構いませんのでそれまで待っていもらえないですか?」

「ええ、神・エイミィのためにも約束は守ります」


そう言い残し俺たちはパーティ会場へ向かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

開場


さすが王族の開くパーティというだけのことはある。会場も広いがそれに比例するかのように豪華な衣装で身に纏った人たちが色々と話しているのが見えた。中にはワイトと同い年くらいの子供たちもいる。


「さすが、王族のパーティだな・・・やっぱり参加者もそれなりの人が来ているな」


服装から見て明らかに上流階級の人間なのが分かる。中にはグンナルたちみたいに専属のボディーガードも近くに配置させている。


「さて、俺たちも楽しむとするか・・・って、聞いていないな」


後ろを振り向くとゾアとワイトはすでに置かれている料理のテーブルへ走り出し、プラムは目を輝かせながらテクテクと歩いていく。


「ったく、あいつらは」

「良いじゃないですか・・・せっかくのパーティですし楽しみましょう」


呆れる俺の隣ではアルラがニッコリと笑っていた。


「・・・それじゃあ、エスコートしましょうか?お嬢さん?」


俺は笑いながらアルラの手を差し伸べて会場の奥へ向かったのだった。

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