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選択したその先へ  作者: 圭作
長い長い準備運動
12/24

 ――――全員の試験が終了し合格者達は訓練場の傍にあり厳重に管理されていた小さな建物の中へと案内される。


 そこは床に魔法陣が描かれた鑑定やリサの転職の時にも来たような部屋だ。

 だがいつもと違うのは、幾つもの魔法陣が床に描かれておりそれがそれぞれの職に対応しているそうだ。



 そして結局訓練を突破出来たのはたったの5名だった。


 吹き飛んだ2名をはじめ最後の試験で一気に絞られたみたい。

 せっかくなのでどんな人が残ったのか観察してみると、訓練開始前に理不尽にイキナリぶん殴られていた青年は無事突破出来たみたいで何だか少しホッとする。


 そしてボスがやって来てこう告げた。


 「お前たちは今日転職したその時から初心者を脱し、初級冒険者となる! これから先はダンジョンなどにも積極的に潜る事になるだろう。だがこの1週間で培った経験を活かし、生き延び、中級上級と更なる高みを目指してほしい! そして最後にお前ら――本当に良くやった! お前らは最高の教え子だったぜ」


 「「うわぁ~んボスぅぅ」」最高の教え子達は泣きじゃくりながらボスに抱きつき、ボスはサングラスの隙間からはツーッと薄っすら涙が垂れていた。




 そんな中俺はその光景を冷めた目で眺めつつ、何故ボスはあんなにも口調が変わったのか?


 7日間最大の謎について考察していた。



 初めて見たときは少し陽気でルーな黒人という印象だったはずだ。

 なのに翌日は鬼教官になり口調もまるで違っていた。

 何か秘密があるはずだ! 試験前日との違いは何だ……?  


 

 ま、まさか……!? だが!? いや……俺はある仮説に辿り着く。



 そして未だに泣きじゃくる最高の生徒達にスッと混ざりボスの涙を拭く振りをし手を伸ばし仮説を検証した。

 


 ……すると、ボスの口調が再び変わったのだ!


 

 「オーケイオーケイ。ボーイ達。ほんとよくやったよ」


 戻った!


 あの日のボスに確かに戻った!

 

 サングラスを外しただけで簡単に戻ったのだ!

 

 正直どうでもよかったがどこかスッキリし最高の教え子達をスルーし魔法陣に乗りサクッと転職する事にした。



 魔法陣に乗るとピカッと眩しく陣が光り確認してみる。


 ウォーリア Lv1


 体力33

 筋力75

 知力15

 敏捷45

 運9


 攻撃スキル

 殺人強振 


 能力スキル

 パワ―アップⅣ ガ―ドアップⅣ


 残P7



 無事転職を完了していた。


 サングラスをボスに返し部屋を後にしようとした時ツヨシに呼び止められる。



 「この後オラの家で妹と2人で転職祝いをやるけどマコトもこないかぁ?」

 


 リサも待ってるだろうし一度戻った方が良さそうだが――妹だと!?

 しかしツヨシは結構大柄だ――という事は妹さんも……。


 だがもし、もし、ツヨシの妹が可愛かったら……。

 くそっツヨシの奴め許せない!

 でもそういえば妹さんは姿を変えられたって言ってたか。

 

 俺が悩んでいると……ツヨシが自慢するように後押しした。

 

 「オラの妹の料理は最高に美味しいぞぉ? それに美人だし、ちょっと素直じゃないけどオラの自慢の妹だぞぉ」

 

 ただのシスコン野郎じゃない事を祈りつつ最終確認をする。


 「妹は可愛いんだろうな?」

 「オラとは似つかないくらい美人だぞぉ」

 「よし行こう、すぐ行こう。是非行こう!」

 「ダハハッ! 妹も喜ぶよぉ」



 ――――そんなこんなで俺達はツヨシの家に向かう事にし、魔法陣の建物から抜け出し、まぁリサには後で言えばいいかと訓練場から出ようとしたその時!



 ――その時だ!




 「うわぁ~ん、まこちゃあぁぁぁぁぁん! 寂しかったよおぉぉぉぉ!」



 いきなりリサが抱きついてき泣き崩れたのだ。

 俺は弱った子犬の頭を撫でる様にリサの頭を撫でながら優しく話を聞く。


 「ど、どうしたんだよ? な、何かあったのか?」

 「ちがうのよおぉ、ぐずんぐすん、ちがうのよぉ」

 「な、なにがだよ? とりあえず落ち着けよ? な、な?」


 人目も気にせずに泣きじゃくるリサを、慰めるように背中をさすり頭も撫でてやると、ようやく少し落ち着いてきた。


 「お、落ち着いたか? 1人で、だ、大丈夫じゃなかったのか?」


 リサは涙を拭いてなんとか理由を話し出す。


 「そ、そうなのよ、ぐすん、教会に行けば大丈夫だと思ってたの! でもそうアレは5日目の事よ。ビーチルちゃんが出張に行っちゃって、私1人になっちゃったのよ! ぐすん、ぐすん、それで、私寂しいと死んじゃうじゃない? だから毎日ここで待ってたのに遅いわよおぉぉぉぉ! うわぁ~ん」

 

 「お前は小動物かッ! よしよしッ」


 

 リサの頭を撫で子供落ち着かせるようにしていると、先ほどまでドン引きしていたツヨシがタイミングを見計らっていたかのように話しかけてくる。


 「あ、あの良かったら、そっちのお姉さんも一緒にどうだぁ?」

 「そうだな! 流石に置いて行けないし、リサどうするか?」




 「ヒィィィィッ! 誰ぇこの人おぉぉぉ! もうやだあぁぁぁ」 




 その後なんとかリサを落ち着かせ俺達はツヨシの家に向かう事になった。





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