プロローグ
こんにちは、桜桃Ruiです。
今回初めて小説を投稿させていただきました。
面白いかどうか分かりませんが、ぜひ
お楽しみください!
ある秋の日の夕暮れ時、電車の駅のホームに、
一人の少年が立っていた。
大きな瞳に、凛凛しい口元。すらりと伸びた手足。
濃い茶色の髪が風になびいている。
傍を通った女子高生たちが、ちらちらと少年を見ている。
「まだか……?」
少年は小さく呟いた。どうやら電車は遅れているらしい。
ふと、駅の改札口の方を見やった。
一人の少女が、数人の柄の悪い男たちに囲まれている。
少年はため息をついて、そちらの方へ歩いて行った。
「おじょーちゃん、かわいいね~。 今から帰んの?」
「ちょっと俺らと遊んでかなーい?」
少女は、黙って下を向いていた。
紺の制服に身を包み、手には生鞄を持っている。
その愛らしい整った顔は、今にも泣き出しそうな
表情をしていた。
「おいおい、だんまりかよ?あんま無視してっと、
無理矢理連れてっちゃうぜ~?」
一人の男が少女に触れようと手を伸ばした。
が、次の瞬間、その手を誰かが掴んだ。
「ああ?!何だお前」
少年は男の腕を掴んだ手に力を込めた。
さらに、それをぐりっとねじる。
「いだだだだだっ?!」
男が悲鳴を上げた。
「てめぇ、何しやがる‼」
別の男が少年に殴りかかった。
だが少年はそれをひょいとかわして、
男のみぞおちに一発蹴りを入れた。
ぐえっといううめき声を上げて、男が倒れ込む。
少年は男たちを睨み付けながら重い声でいった。
「まだやるか?」
男たちの顔から血の気が引いた。あわてて
倒れた仲間を助け起こし、覚えてろだの何だのと
喚きながら走り去った。
「何やってんだ、お前は」
少年は少女の方を振り向きながら無愛想に言った。
少女は少年を見上げて、安堵したように笑った。
「ごめん。でもありがと」
ちょうどその時、ホームに電車が入ってきた。
二人は肩を並べて乗車口の方へ歩いて行く。
乗り込もうとすると、やはり混んでいた。無理矢理
体を中へ押し込む。ドアが閉まった。
電車が動き出す。
家に帰ったら、夕食を食べて、風呂に入り、
宿題をして寝る。何の変哲もない、普通の生活。
ずっと続くものと思っていた。
だが、彼らはまだ知らなかった。
この平和な生活が、もうすぐ
崩れ去ろうとしていることをー。




