第三夢
比奈と付き合いだして早、3週間が経とうとしていた
お互いを下の名前で呼び合うような仲にもなった
そして明日は待ちに待った修学旅行だ
教室ではその話題で盛り上がっていた
「なぁ昴〜」
不意に尋が話しかけてきた
「あんた比奈ちゃんとこの自由時間過ごすんだべ?」
「その予定だな」
「飛鳥もまた俺らの知らない女と回るとか言ってるしなぁ〜」
「らしいな〜」
「で、だっ!俺もお前た…」
「拒否」
尋が全て言い終わる前に即答する
すると『昴ちゃんのばかぁ〜!』と叫びながら何処かに走り去って行った
そして修学旅行当日
「やはりスコップは持っていくべきだろ」
「なんでスコップが修学旅行に必要なんだよ!?」
「スコップは使う者によって真の効果を発揮するんだぞ」
「まじか!?ちょっとまだ集合時間まで時間あるよな!?俺買ってくる!」
なぁ〜に話してるのか…
そして尋がスコップを買ってきた時にはバスが発進する寸前だったのはご想像出来ただろう
「す〜ば〜るくんっ!」
「ぬぉ!?」
飛鳥達とトランプしているところ、背後から不意に比奈が抱きついてきた
「飛鳥君と……まぁいいや、昴くん借りてもいい?」
尋…どんまい…
俺は比奈に手を引かれながら後ろを振り返ると尋が頭を抱えていた
そんな落ち込むなって……
俺と比奈が付き合ったことは何故かすぐクラス中に広まっていた
原因は尋だろうけどな
そして俺は比奈の隣の座席に座っているのだが……
「ねぇ春日くん、あなたの番よ?」
「早く引いてくれよぉ〜」
飛鳥達とのトランプから拉致られた俺は、また比奈と愉快な仲間達とトランプする羽目になった
「まぁ待て、焦るんじゃない」
そしてたちが悪いことに、こっちのトランプは罰ゲームが在るという……
負けられないな
そんなこんなで、5戦0勝4敗というもの凄い結果を出してトランプは幕を閉じた…
俺の顔が………
罰ゲームの内容はご想像にお任せします……
そしてふと、外を見るとそこは凄い景色になっていた
簡単に言うと、いろは坂から見た景色に近い
俺は自分の鞄の中にインスタントカメラがあることを思い出し、比奈に了解を得て自分の席に戻った
そして……
俺はカメラのレンズ越しに見たものは……
不適に嘲笑う奇妙なピエロだった……
それに驚いてレンズから目を離すとほぼ同時に、バスが大きく揺れた
俺の耳にはクラスメイト達の悲鳴なんか届いていなかった
それ以前に何故バスがこんなに揺れているのも気にならなかった
俺の思考回路にあるのは、さっき見た奇妙なピエロのことだけだった…
「お前……誰だよ……?」
この言葉が全て言い切れていたのか解らない
そして俺の思考回路は、シャットダウンされた……