ロマンの代償
宝石店で強盗を働こうとした。所持金、貯金共にゼロ。犯行理由としては過不足ないものだった。三村は拳を握り締めカウンターの店員に拳固を突き出した。
「動くな! 金を出せ!」
カウンターの店員は肩を震わせていた。怯えからではなかった。あまりにもバカバカしかったからだ。三村の強盗は、児戯のそれと判断されたのだ。
「何が可笑しい!? 俺は本気だぞ! さっさと金を出せ!」
カウンターの店員が堰を切ったように笑い声をあげた。
「ぎゃはははははは!」
三村は怒りに燃えていた。カウンターの店員は女だったが、関係ないと腹を括った。
「ロケットパンチ」
突き出された三村の拳固は肘関節から切り離され火炎を吐きながら女店員の顔面を撃ち抜いた。初速、100km/秒。女店員は何が起きたか解することなく昇天したはずだ。
反動に耐えきれなかった三村はその場に膝を着き、残された腕の切れ端から鮮血を吹き出した。
(そもそも、改造手術なんてしなけりゃ、こんなことにはならなかったのかな?)
全財産を注ぎ込み手にしたロケットパンチ。三村の前腕は燃料が尽きるその時まで、どこまででも飛び続ける。




