69/109
5
花園さんは「だめだこりゃ」とでも言いたげな表情で肩をすくめた。そんな花園さんをみて、僕は何となく篠田をいじめてやりたい気になった。
「まあね、篠田が花園さんを怖い怖い言うから、何されたのか訊いてみたんだよ。そしたらあいつ、花園さんの事をまるで人間じゃないみたいに言うから」
「っ、巧一のバカっ!」
花園さんは華やかな見た目に合わない舌打ちをすると、急に僕達の前から駆け出した。教室の扉の所で、急に振り返る。
「じゃ、伏見君、天野さん、またね」
「またね」
「はい、また明日」
僕とアメノヒは笑顔で彼女を送り出す。引き止める理由も無いよね。
口は災いのもとってこと、そろそろ篠田も学ぶべきだよなあ。
あ、あと、豊川さんには是非とも学んで欲しい。




