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お狐さまのかえる場所  作者: 杉並よしひと
第三章 お狐様と学校
56/109

22

「…………」

 思いのままに言葉を吐き出したから、こいつの前で「アメノヒ」と言ってしまったらしい。でも、これ以上嘘を吐いたって、篠田には解ってしまうんだろう。

「ああ」

「そうか」

 それだけ言うと篠田は腕を組んだ。

「アメノヒ……、やっぱ俺には馴れないな。比奈ちゃんは悲しむのか? 俺がこれをばらしちゃったら」

 想像してみる。アメノヒの霊力は人一人くらいなら思った通りに操る事が出来た。高校へ転入する時に、その力にはお世話になったのだ。

 だから、篠田の記憶を弄くる事だって、もしかしたら、お茶の子さいさいなのかもしれない。

 でも、アメノヒが普段耳を隠している理由を、尻尾を隠している理由を、人の姿でいる理由を考えたら、アメノヒの悲しむ姿はすぐに想像出来た。

 濡れた瞳が、すぐ目の前に見える気がした。

「ああ。悲しむよ」

「そうか」

 また篠田は短く返事をした。

「女の子を悲しませるのは、俺の趣味じゃねえな」

「花園さんに聞かせてあげたいよ」

 さっきまでの空気が消えていた。だから篠田も軽口を叩くし、僕もそれに乗ってやる。

 ただ、空気が軽くなったって、僕のしなければならない事は決まっていた。

 それを忘れたわけじゃないんだ。


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