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で、話の矛先はこっちを向いてくるわけで。
「まあねえ。伏見君の交友関係に口を挟むつもりは毛頭ないけど」
花園さんは品定めする様な目で二人を見やった。ホクトはハンガーにかかった何着かの服を、何度も何度も手に取ったり戻したりしては、ずっと見比べている。
「怪しすぎやしない?」
「……やっぱりそう思う?」
「普通に思うだろ」
篠田と花園さんの挟撃に会い、今度は僕が脂汗をかく番だった。確かに「可愛い」「美しい」と言うことと、「怪しい」と言うことは相反することでもない。でもさあ、僕だってあっさりと彼女達の正体をばらすわけにはいかないんだよなあ。
だって狐だし。
「あれでしょ? どうせあの二人と休日に出掛けて、行く当てに困って『服を買いに行こう』って話にしたんでしょ?」
篠田の追究に遭うが、残念。
「半分当たりで、半分外れだ」
「どこまで当たってるんだ?」
「『出掛けて』って所まで」
「見れば解ることね」
花園さんが鼻息まじりに言い捨てる。 その通りです。
「じゃあ、あの子達はお前のなんなんだよ!」
「だから、単なる友達だって」
「嘘吐け」
うーん、埒が明かないなあ。向こうが「何か怪しい」と思った時点で、めんどくさくなるのは決まってたけど。
と、僕が悩んでいると。
「ああもう。いいわ、伏見君。君はそこで待ってて。私が直接話してくるわ」
「おっ、俺も行く」
「え?! ちょっと待って!」
「お前はそこにいろって!」
篠田の手にしがみついたけど、いとも簡単に振り払われた。そう言えばあいつはバスケ部だっけ? 鍛えてるだけあるなあ。
違う、そこじゃない。
「あ、ちょ、待ち!」
「ねえ、あなた達?」
花園さんはさっさと二人の元へ歩いて行くと、髪の毛をいじいじと弄くりながら、貫禄たっぷりに尋ねた。間に合わなかった……。
それにしても、貫禄たっぷりですね、花園さん。不機嫌そうな顔とか、口調とか。




