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翌日、押し入れで迎えた朝は、じめじめとしていて暗く、ちょっと材木の匂いがした。
「私が押し入れで寝ます」と譲らないアメノヒと、「いいや、君はちゃんと寝なきゃ」と言い張る僕はいつまでたっても妥協点を見つけられなかった。
そこに来てホクトがいきなり、
「アメ様、私もアメ様には押し入れで寝て欲しくありません。ほら! 二対一でアメ様はちゃんと部屋の中で眠る事になりました!」
と言い始めるもんだから、案外簡単に片付いてしまった。……そんな上手くいかなかったんだなあ。
「私の票は一人で三票分ですから、私の勝ちです。私は押し入れに寝ます」
アメノヒは強情なまでにそこを譲らなかった。
まあ、アメノヒがそうまでして肩身の狭い思いをしたがる理由も、何となく解ったんだけどね。さっきの話から簡単に想像ができたけど、当の本人はそこに気付いてないみたい。
「ずるい! 一票の格差だ!」
とか喚くホクトを黙らせて、アメノヒの耳元で一言。
「なら、一緒に寝ようよ」
その言葉で、アメノヒは真っ赤に茹だってしまった。ぺたんこ、と寝てしまった耳をしきりにぐしぐしと撫でながら、
「ありがたく、『私は』、部屋で、眠らせて頂きます」
と言ったのだった。その後布団を敷いてあげたけど、アメノヒは俯きっぱなしで、ホクトは「お前! アメ様に何を言った!」と喚き通しだった。
狭い押し入れの中でどうにかこうにか布団を畳む。
僕は布団派だから、押し入れに幾つか布団が入っていたのが幸いだった。さすがに押し入れだとしても、布団は敷きたいでしょ? ベッド派だとこうは行かないでしょ。
押し入れの扉へ手を掛ける。一気に横へ曵こうとしても、なかなか開かない。あれ? この押し入れって鍵付いてたっけ?
「おいお前! まだアメ様がご就寝中だ! 寝顔を見ようったってそうはいかないぞ!」
朝から騒がしいホクトの声だ。
「いや、そりゃ是非寝顔も拝見したいとは思うけどさ。この扉、なんで開かないの?」
「霊力を使えば扉に鍵をかける事位はちょちょいのちょいだ」
……とりあえず僕をここから出してください。そんな意地悪されたら、僕泣いちゃうよ?




