ドッペルゲンガーの真実?
ドッペルゲンガーとは自分の姿を第三者が違う所で見る、または自分で違う自分を見る現象である。自ら自分のドッペルゲンガー現象を体験した場合には、「その者の寿命が尽きる寸前の証」と言う伝承があり、未確認ではあるがそのような例は数多くあり、過去には恐れられていた現象である。
立花はまずドッペルゲンガーについての簡単な説明を始めた。
これについては太陽が知っているドッペルゲンガーと同じだった。
「ただ、これはあくまで過去の話よ」
「過去の話?なんだ?今では違うのか?」
「正確には新しくなったの」
「新しく?じゃあ、なんだ、ドッペルゲンガーに会うとどうなるんだ?死ぬより嫌なこととかあるのか?」
それはごく当たり前の質問だった。
立花はとても冗談を言っているようには見えない。とても深刻そうに、真剣に話をしている。
そんな様子で言われたら、「死」よりも深刻な何かが起こると思うのは当然だ。
「日向君は異能って分かる?」
「は?」
思いもしなかった立花の言葉に太陽は変な声を上げてしまった。
しかし、立花の表情は真剣そのものだ。そんな様子を見て太陽もちゃんと答える。
「アニメとか漫画でよくある、超能力みたいなやつだろ?」
「そうね・・・それよ」
ピシッと指を太陽の方に差して言った。
「・・・は?」
再び太陽は素っとん狂な声を上げてしまった。
「最初に私は日向君がこの場所に来るのが分かってたと言ったでしょ?」
「ああ」
「私には『予知能力』があるの」
「はぁ?」
これまた太陽は声を上げてしまった。この数分の間に何度驚かされているのか、数えるのも面倒なくらいだ。
「正確に言うと与えられたと言うべきかしら?つい数日前にね」
「・・・まさか?」
「気付いた?」
「ああ」
今までのドッペルゲンガーについての説明。
信じきることは出来ないが、立花の『予知能力』
そして、「与えられた」という言葉。
太陽の中で全てがつながった。
「ドッペルゲンガーに会うと、超能力者になるってことか?」
自分でも馬鹿らしいと思いながらも太陽は言った。
「そういうことよ」
少し口元を緩ませて立花は言った。
「いやいや。それで「はいそうですか」って納得するわけないだろ!」
「あら?そうなの?」
キョトン顔をする立花はあごに手を当てて首を傾げている。
「『予知能力』だって分からないし、ドッペルゲンガーだって分からないのに、そのドッペルゲンガーが異能を与える。なんて簡単に理解できるわけないだろ!「分からない」に「分からない」を足して、「分かる」になるわけないだろーーーー!!」
太陽は今まで我慢してきたもの、何と無くツッコミを入れることなくスルーしてきたものを一気に解放した。
太陽の叫びを呆気にとられた様子で聞いていた立花は、それを聞き終えると笑みを浮かべて言った。
「じゃあ、証明できればいいのかな?」