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振り切ったと思ったら、居た

「なぁなぁどんな話をしたんだよ?」

 授業終了後、日野ひのがニヤニヤしながら太陽たいようの脇腹にひじをちょんちょんと当てながら訊いてきた。

「だからなんでもねぇよ」

 授業中からからかわれて、うっとおしく感じていた太陽は本当に嫌そうに言った。

「いやいや!二人ともギリギリに入ってきて何も無いはないだろぉ」

「ホントうっとおしいなお前!」

「ははは~待てよう」

 早足で逃げるように教室に戻る太陽を笑いながら日野は追いかけてきた。


「行ったか?」

 太陽は逃げて教室に戻ると見せかけて、トイレに入り、日野の追跡を振り切っていた。

 しかもここのトイレはあまり生徒が立ち寄らない教室から遠いトイレだ。今まで一ヶ月高校生活を送っているが、使うどころかこの辺まで立ち寄ったことすらない場所だ。

 完全に振り切っただろう。

 そう思って太陽はトイレから出てきた。後は日野に気付かれないように授業ギリギリまでにゆっくり教室に戻ればいい。

「日向君」

 しかし、誰にも見つかるはずのない場所で不意に声を掛けられ太陽はビクッと体を震わせた。

「立花?なんでこんなところに?」

 声の主はまたまた立花楓たちばなかえでであった。まるで太陽のことを待っていたかのように壁にもたれかかっていた。

「さっき後で話すって言ったでしょ?ドッペルゲンガーのこと」

「確かに言ったが、まさかこんな早いとは思わなかった・・・もっと放課後とかあっただろう」

「早くて損はないと思って」

「そうかもしれないが」

 確かにあまりにも間を持たれてもじれったいだけだが、さすがに放課後までは待てないほど太陽は気の短い男ではない。

 もっと落ち着いた時に落ち着いた空間で話したかったのが率直な太陽の意見だった。

「・・・と言うか、なんで俺の居場所が分かったんだ?」

 太陽はほとんど人の寄り付かないトイレに逃げ込んでいたのだ。

 太陽のことを本気で追跡していた日野を振り切ったはずなのに、なぜ立花には居場所が分かったのか。これは疑問に思っても当然だろう。

「これのことは本題にも関わってくるのだけど・・・簡単に言うと分かったんじゃなくて、分かってたと言った方が正しいわ」

「分かってた?俺がここに来ることが、か?」

「そうよ」

 当然だ。とでも言いたそうに立花は言った。

 なんとなく思っていたが、この立花楓という少女は人を少々見下している感じがある。これも、少女が特別だから、いや特別すぎるからかもしれないが。

 太陽も立花と同じくらいのスペックを持っていれば、彼女と同じくらい、いやもっと大袈裟に人のことを見下し調子に乗っていただろう。

 見下してるのかもしれないが、今までそう感じなかったのは、それくらい立花は人が出来てる大人なのだろう。

「このことも本題に入ってくるから聞いていれば分かると思うわ」

「あ、ああ、分かった」

 とりあえず、大人しく聞け。と言いたいのだろう。

 それを察した太陽は素直に従うことにした。


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