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多数よりも相思相愛

作者: 秋紅あまね

 

「モテる女は辛いよね」


ある時友達から半分冗談、半分皮肉で言われた言葉。

はっきり言えば私はモテたくてモテたわけではない。モテない方法があるのなら是非教えて欲しいぐらいだ。

……まぁ、そんなことを言い返したらまた何を言われるか分からないのでその際は黙っておくことにした。


私の名は城島志穂じょうしましほ十九歳。

特にこれといった趣味や優れたところはなく、自分では生まれながら面白みにかけた性格の持ち主であると認識している私は今年の春に高校を卒業して、実家でやっている自営業の軽食喫茶を手伝いながら生活している。


木曜日の午前九時。開店した我が喫茶店、ラビリンスの店内には簡易厨房に父、ホールカウンターに母、ホールには私と二歳下の弟に数名のお客がいた。

この時間帯のお客は大抵常連客である。


「しほりん明日ヒマ? ヒマなら俺と遊園地デートしよう!」 

「志穂ちゃん、映画のペアチケット貰ったんだけど良かったら一緒に見に行かない?」

「おい、おっさん。俺がしほりんをデートに誘ってるんだから邪魔すんじゃねぇよ」

「おっさんとは何だ、僕はまだ二十歳前半だよ。君こそ目上の人との会話に気をつけろ」


二人はちょっとやんちゃで、学校をよくサボっちゃうたりする弟の同級生、遠島和也とうしまかずや君に、最近お店の常連となってきた女性には優しく男性には冷たい……いわゆるフェミニストと言われる桜井優太さくらいゆうたさん。

二人は毎日私目当てで店に来てるみたい(この前弟のしゅんがそう言っていた)

私は違うと思っていたのだけどとある出来事があり、友達までもがそう言うんだからきっとそうなのであろう。だってこの二人は友達に、

モテる女は辛いよね。

と、言わした原因を作ったのだから。 


「なんでおっさんに丁寧語使わなきゃだめなんだよっ、なぁしほりんおっさんのことより明日どう?」

「だからそうおっさんおっさん言うと僕も怒る――」

「二人共ごめんなさい」


優太さんが話してる途中私は頭を軽く下げて、二人に謝った。こうしないと会話が進んだらきっと喧嘩になるだろうから。


前に同じぐらいの時間帯。友達が来た日にも同じような会話があり、ほっておいたら言い争いの喧嘩になってしまったのだ。

私は急いで弟と共に喧嘩を止め、その場にいたお客全員に謝罪すると、お客は常連のみであったからか、皆笑って許してくれた。

しかし居合わせた友達は違う。同じ笑いでも苦笑いで私にモテる女は辛いねと言ったのだ。


つまり二人の喧嘩は友達にモテる女は辛いよねのと言わせることになった出来事なのだ……

別にそんなことを友達に言われたから二人を恨んでるとかはないけど、やはり好きでモテたいわけでもないから少しショックであった。


「やっぱりお仕事?」

「はい、せっかくのお誘いで嬉しいけど明日もお店の手伝いが入ってるから無理なんです」

「そっか……それじゃあ仕方ないね」 

「え〜、しほりんまたお仕事? マジメで偉いけどたまにはデートとかしたいよー」

「お前学生だろ、平日なのに無理だろう」

「しほりんのためなら学校なんて休校みたいなもんだからいいのっ」

「ごめんね和也君。でも、私がお休みだったとしても和也君が学校おサボりして遊園地に行くのは私嫌だな」

「うっそ〜、マジなわけ?」

「お互いの休日が重なったら一緒に遊園地に行こうよ、ね?」

「しほりんがそう言うなら……」


残念そうにしながらも和也君は分かってくれたみたいだ。

私は二人を好きでも嫌いでもない。もしどちらか選ぶのならあえて、友人とか兄や弟みたいな感じで好きである。


何で私はこの二人に好かれ、モテるのか分からない。二人に限らずモテたいわけでもないし寧ろモテたくはない。

私はモテるよりもたった一人の男性と、たった一人の相手として、相思相愛。熱い恋がしたいのです。


「(だからモテるとかあんまり好きな言葉じゃないんだよね……)」


いつかは分からないけど私は他の誰もいない、相思相愛になれるそんな相手ができることを今日も願い続けます。




[END]



初めまして、秋紅あいねです。初投稿こと今回の短編[多数よりも相思相愛]は如何でしたでしょうか?

作者紹介で書いてるとおり普段はファンタジー系ばかりで書いており、この手のジャンル恥ずかしくて投稿とか人に見せることがなく、今回の投稿には凄いドキドキしてます……

 

[多数よりも相思相愛]についてですが、この作品はモテるのは嫌、相思相愛になりたい女の子の話をイメージして短編向けから始まり執筆致しました。

……しかし何だか書いてる内にキャラに愛情がわいてしまいまして短編よりは長編にした方が良かったかなと未だに少々考えてます(笑)

 

 

それでは小説、あとがきともに最後までお読み頂き有難う御座いました!

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 ほのぼのとした感じでした。またすらっと読めたので、自分的には好きだなって思いました。
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