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次の日から、学校から帰るとすぐに公園に行った。
女性はいつもベンチで待っていて、ぼくを見つけると笑顔で手を振ってくれて、
日が暮れるまで一緒に楽しく遊んだ。
砂あそびとか、かくれんぼとか鬼ごっことか・・・
二人なのに、たくさんの友達と遊んでるのと同じくらい、時間がたつのがとっても早く感じるくらい楽しかった。
いつも抱いていたぬいぐるみはベンチで二人が遊ぶ姿を見守っていた。
お母さんと遊んでいる?
ううん、そんな感じじゃなかった。
不思議だったのは、その女性が死んだ娘さんに見えるときがあったんだ。
もちろん、どんな子か知らないよ。
でも、その顔は女性によく似てて、娘さんってすぐにわかった。
だから、いつも同じくらいの子と遊んでるような感じだった。
ある日、遊び終わって帰ろうとベンチに戻ると
置いてあったぬぐるみが消えていた。
ぼくはあわててベンチの周りを探した。
女性も一緒になって探した。
公園中をかけまわって探したけど
結局、見つからなかった。
ぼくのせい、ぼくのせいでなくしてしまった。
「ほんとに、ほんとにごめんなさいっ」
涙を流して謝った。
娘さんの形見、大切なものをなくしてしまった。
ぼくが声をかけたから、
ぼくが遊んでもらったから。
楽しくて、ぬいぐるみのことをすっかり忘れてた。
女性の一番、大事なものだったのに。
でも、女性はぼくの体を抱きしめて言った。
「あのね、きっとぬいぐるみも人間と一緒でいつかなくなるの。わたしが、それを認めたくなかっただけ。だから、心配しないでね」
ぼくは抱きしめられながら考えていた。
じゃあ、この楽しい時間もいつかなくなるの?
彼女もいつかいなくなるの?
そんなの嫌だっ!
余計に涙があふれてくる。
「でもね、きみに出会えて毎日、一緒に遊んで少しずつわかったの。いつかなくなるから、こうやって一緒にいる時間が幸せなんだって」
女性は、そう言ったあと・・・
「ありがとう」と手をさし出した。
ぼくは、手を出したくなかった。
女性がいなくなってしまうような気がしたから。
別れのあいさつのように思ったんだ。
「お父さん、お母さんもきみのためにがんばってるんだから。大切にするんだよ」
彼女は、ぼくの頭をなでながら
「じゃあ、また明日ね」
と言い残して、帰っていった。




