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教育の成果は、概ね良好ですわ

ここで、本編は最終話となります。


ここまでの出来事が、どのように収まるのか。


最後まで見届けていただければ幸いです。

 王都は、動き出していた。


 止まっていた物流は再開し、商人たちは安堵の表情を浮かべている。


 城門の外からは、西方公爵家の兵が静かに撤収を始めていた。


 東方の動きも、同様に収束へ向かっている。


 すべてが、元に戻りつつあった。


「……見事なものだな」


 王が、静かに呟く。


「いえ」


 エレノアは首を振る。


「当然の結果でございます」


 その声音に、誇りも驕りもない。


 ただ、事実を述べているだけだった。


「殿下の件も含め、迅速な収束に感謝する」


「責務の範囲でございます」


 短い応答。


 それだけで十分だった。


 王は一つ息を吐く。


「……あれは、遠方の離島へ送った」


 王子の処遇だった。


「外部との接触は制限する」


「再起は」


「あり得ぬ」


 はっきりと断言する。


 それで、終わりだった。


「聖女は?」


「国内に留める」


 わずかに間を置く。


「……監視下でな」


「妥当かと」


 それ以上、言葉は続かなかった。


 必要な話は、すべて終わっている。


 その後。


 王城の廊下。


「終わったなぁ」


 カグラが、伸びをする。


「ええ」


 エレノアは静かに頷く。


「ほな」


 カグラが横目で見る。


「今回の“教育”、何点や?」


「そうですね」


 少しだけ考える。


「及第点、といったところでしょうか」


「厳しっ」


 カグラが笑う。


「国外追放までいってそれ?」


「当然です」


 淡々と返す。


「本来であれば、そこに至る前に是正されるべき案件ですので」


「なるほどなぁ」


 くつくつと笑う。


「じゃあ今回の成果は?」


「最低限」


 一拍。


「“謝罪しなければどうなるか”は理解されたかと」


「まあ、身をもってな」


 肩をすくめる。


 その時。


 廊下の向こうで、数人の貴族が道を譲る。さ


 視線は合わせない。


 だが、明らかに距離を取っていた。


「……避けられてるで?」


「そのようですね」


「寂しない?」


「特には」


 即答だった。


「合理的判断かと」


「せやな」


 カグラは楽しそうに笑う。


「関わったら終わるしな」


 その通りだった。


「……それにしても」


 ふと、カグラが呟く。


「ええ勉強なったやろな、あいつ」


「はい」


 エレノアは頷く。


「今後、同様の誤りは起こさないかと」


「そらそうや」


 カグラが笑う。


「次やったら――」


 一拍。


「ほんまに終わるしな」


 軽い口調。


 だが、誰もそれを冗談とは受け取らない。


 それだけのことを、彼女たちは実際にやってのけたのだから。


「では」


 エレノアが歩き出す。


「帰りましょうか」


「せやな」


 カグラも並ぶ。


 並んで歩く二人の背中を。


 誰も、引き留めることはなかった。


 ただ。


 静かに道を開けるだけだった。


 それで、十分だった。


 ――教育の成果は、概ね良好。


 少なくとも。


 この国においては、二度と同じ過ちは繰り返されないだろう。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。


少しでも楽しんでいただけていれば嬉しいです。


またどこかでお会いできましたら、その時はぜひよろしくお願いいたします。


面白いと思っていただけたら、評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
監視付きとはいえ、国を混乱に陥れて王子を国外追放するまで堕落させた危険思想持ちをそのままにしておくのが納得しづらかった。
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