後日談 2人の末路ーー正しさは、まだ遠い
本編の後日談となります。
二人の、その後です。
正しさは、まだ遠い
海に囲まれた小さな島。
風は強く、空はどこまでも広い。
「……納得がいかない」
王子は、苛立ちを隠さずに言う。
「私は、間違っていない」
繰り返す。
何度でも。
「古い契約を見直し」
「新しい時代を目指す」
「それの何が悪い」
返事はない。
あるのは、波の音だけだった。
「……いつか」
王子は、遠くを見る。
「理解される日が来る」
風が吹く。
その言葉を、さらっていく。
誰にも届かないまま。
――そして。
王都。
静かな一室。
「……変わるべきなのです」
聖女セレスティアは、穏やかに語る。
その前には、書類。
監視付きの生活。
自由はない。
だが。
「この国は、まだ古い価値観に囚われています」
迷いはなかった。
「だからこそ」
「正しい方向へ導く必要があるのです」
一拍。
「……必ず」
小さく、だが確かな声だった。
誰に向けるでもなく。
それでも、語り続ける。
その言葉は、整っている。
だが。
現実には、届かない。
遠く。
窓の外で、王都は静かに動いている。
止まることなく。
変わることなく。
彼女の知らぬままに。
そして。
その事実に、二人はまだ気づいていなかった。
――これからも、気づくことはない。
だが、その言葉を聞く者は、もう誰もいなかった。
――それが、彼らの結末だった。
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