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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第98話 海戦準備

 §  §  §  §




 恐らく絶叫マシーンのような離陸? ……から、かれこれ30分くらいは飛行したんだとは思うけど……


 それまでは制御やら、異物である俺たちを威嚇しに来る小型の飛竜やら、信じられないサイズの鳥やらと遭遇していたが「カプサイシン」もどき手投げ袋で撃退しながら進んでいた。自動追尾で頭に当てれば確実に逃げてくれる……本当に便利な道具だ。


 ってか、俺たちははたから見ると空を飛ぶ人間……エサが飛んでる様にしか見えないんだろうなぁ……




 空を飛びながらも島の様子をみると、穀倉地帯があったり、所々にマヤ遺跡みたいなものが森の中にぽつぽつあったり、妖魔の砦っぽいものがあったり随分と濃い地域だったみたいだ。落ち着いたら遺跡を散策に行きたいなぁ……妖魔の砦はいきたくないけどね。




『あれが港町ハコダテーネよ!』


「先輩! 見えました。あれです!」


「あれか! 崖沿いだったんだな! ん? 函館??」




 空を引き裂く音で会話がしにくいので怒鳴り合う様に会話をする。山と崖で直接見えない感じだったんだなぁ……函館? 箱根? まぁ、どっちでもいいや。なんか苗字も日本語っぽかったし、なんかの情報が混ざってたり、昔に俺たちと同じように地球から来た、ご先祖様が日本人とか……そういうパターンか??


 違う、今はそっちじゃない。操作だ。とりあえず着地地点……丘陵と森だらけだな……平原……あれ? これ、どこに着陸すればいいの? 海??




『ヴェネトア王国の船がいるわ!!』




 ウィンディードさんが真面目な表情で叫ぶ。


 ん? あれが……豆粒みたいな距離だ。本当に海賊船みたいだな。大砲みたいなのが脇についてるし。歴史の教科書にのってたペリー来航みたいな感じだな……7隻もいるけど。最後の船だけ豪華だな。あれが旗艦か?




「カタシさん! あそこの砂浜へ!! あそこでしたら迎撃できます!!」


「わかりました!!」




 俺は意識を取り戻したジンパチさんの指さす方向へと舵を切る。ほとんど港町の隣だな。港町の脇に砲台……要塞を作る感じか。




『すごい、町が変わってる!!』


「ん? ああ、本当ですね……城塞化……と言うより塹壕が掘られてますね!」




 ウィンディードさんが何やら言った後、リョウコが納得しているが……町……うーん? 前線基地だな。 なんかいろいろ人がいる? 種族……ってか着ぐるみを着てるような……特殊メイク……じゃない。獣人もいるのか。多種多様な感じなのか?? 


 コッチに気が付いた人が手を振ってたり驚いてるけど……ちょっとした騒ぎになってるな。まぁ、空中に人が浮いてる感じだもんなぁ……そりゃ驚くよね。


 さて、上手に着陸……できるか??




 §  §  §  §




「これで全開だ!! 後は頼む!!」


「『浮け!!!』」


「『風よ!!』」


「ひぃぃぃ!!」


「きゃぁ!!!!!」


「ぶつかるぅ!!!」




 カイトさんの全力プロペラ『回転』だけでなく、ウキヨさんの『浮遊』とフウタさんの『風操作』の援護もあり、着陸の操作の若干の工夫が功を奏し、大きな音を立てずに砂浜に着陸し……それでも衝撃が走り船体は砂にめり込む。まぁ、重いもんな。




「いやったぁ!!!」


「つ、着いた……」


「降りるのは怖くないな……」


「……地面だ!! 大地だ!!」


「面白かった!!」


「生きて帰れた……」


「スターツアーズみたいだったな……」




 心底楽しそうにする人と、安堵の表情を浮かべる人の二極化が……まぁ、俺は面白かったけど……結構寒かったな。風を浴び続けるようなもんだもんなぁ……今度があれば肌の露出は避けた方がいいな。


【想定外のカードの使われ方でこちらは騒然としてますよ】


 え? やっぱり遠くを見るだけの機能だったの?


【そうですね、担当者が呆然としてますからね】


 管理者側も色々とあるのか……カード内容の問い合わせはアーゼさんで大丈夫そうだな。




 各々がベルトを外し、砂浜に降り立つ。屈伸したり伸びをしている。考えてみたらこの世界に来てから乗った乗り物はこれだけだな。車輪がある乗り物が懐かしい。


 皆の視線が町の方に向く。中世ファンタジーの様な江戸時代の様な不思議な街だ。色々な文化が混じった街に見える。




「すげぇな……江戸時代……って感じだな」


「港なんかは石造りだったりして、中世ヨーロッパとのハイブリッドみたいだな」


「明治初期? って感じもするな」


「やっと異世界に来たって感じするね」


「文明が無いとやっぱり異世界感無いよねぇ」


「だよなぁ、大自然じゃあまりわかないわな」


「見た事も無い木やキノコはあったけどねぇ……」




 まぁ、確かに自然ばっかりだったから異世界に来た感じなかったもんなぁ……


 やっと異世界に来た気がしてきた。




「なぁ、見張りをしている人たち、鬼人族だけじゃないみたいだぞ?」


「……なんか獣系の人もいるね」


「巨人みたいのもいるし……」


「ファンタジーだね」


「言葉通じると良いんだけどね」




「さぁ、皆さん、さっそく拠点を作りますよl! こちらに!! 」


「みんな! 思ったより船が近いから急いで!」


「行きますよ! 気合入れていきましょう!」




 ジンパチさんとナオエさんが雑談の始まっていた仲間に発破をかけ、ぞろぞろと港町方向へと軽く走りながら移動を開始する。




 空からは見えた帆船がかなり遠くの水平線に、豆粒のように見える。1時間くらいは猶予があるんだろうか……大丈夫か?


 俺の視線に気が付いたのか、帆船を認識すると、雑談をしながら歩いていた仲間の足が若干早くなった。




 §  §  §  §




 港町の手前の崖に拠点の作成を始める。


 ケイさんの地形操作が……何か早くなってるな。地面がうねうねと動いてる……リンカさんが土にプレスを……あれ?なんかすごい上手になってる??


 すごい勢いで地面が成形されていく……CGの早回し映像を見てるみたいだ。崖が塔みたいになって城塞になってく……岩がうねって動くのって不思議だ……もう凄すぎる。


【ここまでのスキルになるとは盲点でした。まさかワールド座標操作を覚えるとは……】


 ……なるほど。ケイさんもワールド座標で操作をしてたのか。ローカルの方が扱いやすいけど……地形操作だったらワールド座標で良いもんな。





『おーい!! 気を付けて降りるわよ!!』


「すごい!! 地面が動いてる!」




 かなり遠くの上空から声とはばたく音が聞こえると同時に拠点の上に飛竜が降り立つ。


 アスティナさんと……見知らぬ日本人?? 装備を見る限りは新規プレイヤーっぽいな。探検家のベストが懐かしい。




「ツウジさん!!」


「そっちはどうなの??」


「そっちこそ。大丈夫そうだな。良かった……」




 ウキヨさんとフウタさんが飛竜に駆け寄る。鬼人族に保護された有志がいる……って言ってたからそのリーダーか、伝令役かな?


「えーっとリーダーは……」


「あ、一応俺ですけど、作戦担当はあちらに。ジンパチさん!」




 ジンパチさんはちらりとこちらを見るが、手で×マークを作る。


「ちょっと忙しいのでカタシさんお願いします!」




 あれ……来ないのか……まぁ、いろんな人が設計図を見てジンパチさんの指示を受けてるから……無理か。分業で凄い速度で色々と作業が進んでいくなぁ……すごい。


 空爆組と港町に直接援護に行く人間はSP残量を考えて待機……だもんなぁ……俺しかいないのか……ナオエさんが遠くの木の上で見守ってる。ナオエさんは交渉事からはすぐ逃げるな。人見知りか?




「……なんでしょうか? 俺で分かる範囲でしたら……」


「すいません……お忙しい時に。一応通訳としてきましたので作戦概要を共有しようかと思いまして」


「概要だけなら……」


『ここから攻撃が届くのね……本当に動く的に当たるのかしら?』


「ああ、姫様が本当に攻撃が当たるのかって言ってます。……ってかすごいですね。巨大なクロスボウ?」


「ええ、スキル製の……チートな兵器みたいです。大体五百メートルは有効射程範囲とかで」


「……大砲が二百から三百メートルくらいって聞きましたけど……それ以上??」


「確実に当たる範囲って言っていたので、もっと飛ぶんじゃないかな……」




 飛竜も一撃で倒せるくらいだから……とんでもない兵器なのはわかるけど……実際に見ないとわからないよね。


 アスティナさんが微妙な表情をしながら砦の設営を面白そうに見ているツウジさんの肩をたたく。




『ツウジ、こちらの作戦を伝えておかないと』


「ああ、すみません。そうでした。興味深くて……」




 それからは手の空いた人間、町の防衛援護組を集めて港町の防衛プランの概要を聞く。しっかりと製図された町の図面と塹壕の配置図。人の配置などを駒などを使って説明を受ける。


 どうやら塹壕が地面に続いていて、桟橋自体が前線基地になってるみたいだ。上陸地点がスキルの地雷……気配察知とか、スペシャルスキルかなければ気が付かなさそうだな。


 相手にないことを願うしかないな。




「そういう事なら、港と桟橋には近づかない方がいいってことね」


「はい。20人くらいのスキルを裏からバシバシ充てる予定ですので、この辺は危険エリアですね。入らないようにお願いします」


「って事は俺らは城門付近守ればいいのか?」


「ええ、情報だと……そうなりますが……問題はテストプレイヤーの乱入の場所がある程度はわかるのですが……」




 リョウコがUIの地図を出しながら、製図された地図を指さした。


「それだったらスタート地点はこの祠の入り口ですね」


「……祠? 神様を祭る?」


「この石の鳥居みたいのがワープポイントなので、そこから始まる感じですね」


『……あなたが仲間になってくれて良かった……姫様、出現場所はここだそうです』


『助かるわ。罠でも置いておけばよかったかしら……この祠はそこら中にあるのだけれども……困ったわね……』


「今からではすべてに罠をはるのは間に合いませんね……」


『すぐこれそうな場所は……ここと……4か所か……多いわね』


「一番近い場所……ここには見覚えがありますから、ここで張った方が良さそうですね」


『ほかの箇所には斥候を送ることにするわ』




「主だったリーダー達には攻撃しないでって連絡は入れてあるけど、質問が返って来てる感じなんですよね。一日一通の制限が厳しいですね……」


「だとすると来る可能性はあるってことか」


「はい。残念ながら。確認に来るだけの人もいるでしょうし」




 それからは港町救援組を集めて作戦プランを共有する。塹壕、地下道、ゲリラ戦、壁越しのスキル……等間隔に置く障害物で銃の遠距離攻撃を無効化……都市防衛ゲリラ戦ってやつだな。討っては出ないのか。


「討って出たら……ハチの巣ってやつか……」


「ですね。ひきつけて殲滅って感じです。作戦立ててるときも、先に攻撃しないと駄目という話でしたけど、スキルが届く範囲だと銃撃にあいますし、その他の安全な手段が空爆しかないので……」


「なるほど、無理に全部追っ払おうとせずに、入り込んだところを迎撃って感じか」


「鳥人族が爆晶石と言う爆発する石を落とす予定ですけど、当たらない可能性もあるんですよね」


「……なるほど」




 手りゅう弾を投げる感じだろうか? その石を俺が貰って自動追尾すれば……とは思うけど実験してる時間はないだろうな。


 時間も押しているのでこちらの作戦プランを説明する。


 説明を始めてしばらくすると、段々相手の表情がマジかよ?といった感じになっていく。まぁ、スキルのおかげなんだけど……




「……さすが現代人のスキル持ち……って感じですね……」


「スキルがバラバラで生産系が多いから……って感じだけどね」


『私には荒唐無稽な夢物語を聞いている様にしか思えないわ……』


「姫様、後ろ見てくださいよ……」


『夢を見てる気分になるわね……いつの間に「ばりすた」が……一つだと思ってた……』




 アスティナさんの視線の先には巨大なバリスタが5門ほど設置されていた。すでに組み立てられ、弾なども脇に置かれている状態だった。相手からすると連射され続けるようなもんだからたまったもんじゃないだろうな。




「あ! 言い忘れてました。市街地では銃などの火薬は使わないでくれとのことです」


『それは大事な事だったわね。忘れてたわ……よくわからないけどそうなのよね』


「? なんでですか?」


「なんでも暴発させることが出来るらしいので。火薬を」


「なるほど、スキルですね」


「ええ、金属がビリビリするとか?? 無差別に塹壕の中からやるっていってましたね」


「なるほど?」




『放電』なんてスキルがあるんだろうか? ってかそれだろうな。もしくは『静電気』?




 気が付くとジンパチさんが俺の隣にいた。


「カタシさん!! あと20分で接敵だそうです!!」


「もうそんな距離に……時間が……」


『ツウジ、訳して!』


「二十分で敵が来るとのことです」


『戻らないと!! それじゃみんなよろしくね!! 私も迎撃するから!』


「それでは皆さんよろしくお願いします! 街を、この世界の人たちを守りましょう!」




 アスティナさんはツウジさんを連れて飛竜にまたがり全力で戻っていく。


 さてっと俺たちも移動開始って感じか……とりあえず緊張で顔面蒼白のショウコさんをリラックスさせないとか。




【あなたは緊張しないのですね……】


 ……慣れてきてる自分が怖いけど、言われるとあまり緊張しなくなったな……

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