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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
4章 テストプレイヤーと分岐点

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第79話 やり直しの世界?

 ショウコさんの提案で、リョウコがテストプレイヤーの格好だと……物資を運んでくれる鬼人族たちや仲間達にも影響がありそうなので鬼人族の衣装に着替えてもらっていた。

 ただし、拠点に案内する条件の中に「俺が必ず常時監視に付く」事が……ずっと一緒にいろって事か?

【そうなりますが……本当にあなたは彼女に対しての警戒心がありませんね】

 無いんだよね……むしろ助けてもらう時の方が多いし。

【なるほど……頼りになる後輩……あなたは付き合うべき人間を間違えていた気がします】

 ん? え? 年下に頼っちゃダメなのか?

【……そういうわけではないのですが……困りましたね】


「この服、かなりすーすーする感じですね。やっぱりそのリワード装備には温度調節機能みたいのついていたみたいですね」

「そうなのか。ゴムの様な……それでいて布の様な不思議な繊維だな」

「ほんとねぇ、未来の布の素材なのかしらね」

「これがリワード……報酬ってことか」

「良いわね、道具を現地調達しないなんて」


 サチさんの発言にリョウコは驚きの視線を向ける。

「げ、現地調達ですか? ……通りで鎧の見た目が……あ、絶対に無くさないでくださいよ。割と強化してあるんですから」

「おっけ。取り出したい時はいつでも言ってくれ」


 ん? 戦闘服「隠密系」Ⅲ+25 って表記されてるな……なんかいろいろと効果がついてるみたいだけど……+1するのにどれだけの労力が必要なんだろ? 後で聞いてみるか。


「それであれが、拠点なんですよね……城塞じゃないですか? 村みたいな感じかと思ってました」

「ああ、スキルの組み合わせでみんなで頑張った感じだな」

「えっと、こっち来てからひと月ですよね? すごいなぁ……あ、ガイドも表示されませんし……テストプレイヤーからはターゲットにされないかもしれませんね。新規プレイヤーのスキルの方が便利なのかもしれませんね」


 それは新情報、朗報だ。テストプレイヤーの行動パターンだけが気になってたんだ。

 なにかしらの探知や検索に引っかからなければ問題無いな。

「……よかった……」

「って事は妖魔の砦とかは表示されたりするのか?」

「ええ、視認すると鬼のマークみたいのがマップに表示されたり、適正レベルが出たりしますね」


 リョウコの説明に一同は呆然とする。あまりにも違う仕様……と言うより、最近のゲームの仕様そのままじゃないか?

「……なんだそれ……ほんとゲームだな」

「そうなの?」

「ああ、サチは最近のゲームやらないからわからないかもしれないけど……倒せるレベルの目安とかが出てくるんだ。今のゲームって」

「ゲームの世界も便利になっているのね」

「まぁ、便利にしないとお客さんからクレームがくるんだろうなぁ……」


 リョウコを城塞と化した拠点に案内する。すでに拠点には人がおらず、ほとんどの人間がどこかしらに作業に出てしまっていた様だった。とりあえずご飯を食べてジンパチさんを呼ぶか。

 リキさんがキョロキョロとした後、若干わなわなと震えた後、見るからに肩を落としていた。

「やっぱり……朝ごはん……食いそびれたか?」

「大丈夫……良い匂いはするわ」

「……アヤノさんは残ってくれてるみたいね……」

「アサゴハン、アルヨ。カンジル」

「……能力をそっちにも使うのね……」


「探知」スキルを持っているナオエさんが悠然と食堂に入っていく。それに続いて仲間達がぞろぞろと続いていく。リョウコが不思議そうにこちらを見てくる。

「人の気配を察せる? ……朝ごはん? 携帯食じゃないんですか?」

「携帯食? 支給でもされてるの?」

「ええ、支給というより買うんですけどね」

「買うって……商人とかいるのか?」

「いえ、UIにこちらで稼いだ「魔法石」を入れるともらえる感じですねぇ」

「……それはそれで凄いシステムだな」

「ほんとゲーム的で味気ないですよね。現地での商人とやり取りとかしたかったんですけどねぇ」


 厨房にいたアヤノさんが外に出る準備をするところだったようだが、こちらに気が付いて踵を返す。

「あら、お帰りなさい。良かった。残っておいて。ちょっと待っててね」

「あ、私も手伝いますよ」

「俺もやる。腹減った」

「ありがとう。助かるわ」


 パタパタと厨房に帰っていくアヤノさんを見てリョウコがぼそっと呟く。

「……え? あれ? もしかして加地さん? なんか若い??」

「知り合い?」

「取引先の主任さんですよ。かなりやり手なんですよね……あ、でも違うかも、面影はあるんですけど……あんなにやさし気な感じは……あれ?」

「若返ってるから……わからないのかもな」

「それだけですかねぇ……」


 厨房から料理が運ばれてくる。今日は筑前煮的なものと魚の塩焼きと海鮮みそ汁とご飯といった、なんとも和的な料理だな。いつもながらすごいなぁ。海が解放されてから豪華になった。

「先輩、私、今、猛烈に……感動しているんですが……わかります? いただけるんでしょうか?」

「あ、ちょっと待ってて。聞いてくる」


「アヤノさん、一人分追加だけど大丈夫ですか?」

「大丈夫よ? リキさんがお代わりしなければだけど」

「……やっぱりそうっすよね……」

「お握り作っておいたからそっちで我慢してね」

「……あざっす」


 美味しく朝ごはんを頂く。恒例の涙を浮かべながらご飯を食べる……は見られなかった。まぁ、飢えてるようには見えないもんなぁ……ものすごくうれしそうだけど。

「……あの、とんでもなくおいしいんですけど、やっぱり普通のご飯はおいしいですね。食べるのが楽しい。ああ、幸せ……」

「携帯食はうまいのか?」

「美味しいんですけど、味気ないんですよね……吸うだけだったり、かむだけなので……プロテインよりはうまいらしいですよ?」

「プロテイン……食べたこと無いんだけど……」

「私たち美術系ですもんねぇ……」

「だなぁ……」


 厨房で後片付けをしていたアヤノさんが食堂に入ってくる。

「……時坂さん……あなたもこの世界に来てたのね」

「あ、どうも、お世話になってます……やっぱり加地さんなんですね」

「お久しぶり……でもないわね……駄目よあちらの話をしては……」

「え? なんででしょうか?」

「えっと……色々と事情が……」

「……承知しました……しないように努力します……」


 ……そうか、あっちの世界での知り合いに会うとこんな感じなのか……

 リョウコが珍しく大人な対応を……って、仕事の時はこんな感じだったのか。普段遊んでるときの印象の方が強いもんなぁ。


 アヤノさんがご飯を食べているリョウコの話を聞こうと、こちらに来てからの話をし始めるが、話が進むにつれて落ち着きをなくしていく。

「あなた、テストプレイヤー……だったのね」

「はい。なので境遇がかなり違うみたいですね」

「……あの……カタシさん大丈夫なのかしら? 常識的な人だったと思うから……それでも大丈夫なの?」


 まぁ、みんなこういう反応になるよなぁ……鬼人族の砦を襲ってきた二人組の印象があまりに強かったし、仲間達にはその時の出来事とやり取りをそのまま説明をして注意を呼び掛けてたからな。

「今のところは大丈夫です。俺たちを殺そうとか、そういうゲームじゃないみたいなんで」

「……よかったわ……この世界だと現実感が薄いいところがあるから……知り合いに殺されるなんて……トラウマものよね」

「……あの、出会ってから感じてるんですが、テストプレイヤーに対しての評価が、なんというか。「厳しすぎ」じゃないですか? むしろ敵視してるくらいな……」


 俺は思わずナオエさんとウィンディードさんを見てしまう。

「ああ、俺たちが最初に出会ったテストプレイヤーが敵対的だった……のとウィンディードさん達、一般鬼人族を攻撃、殺害しようとしていたからだな」

「……あー、風の鬼姫のミッションやろうとしたんでしょうね……鬼人族の前線の砦を破壊せよ! ってやつだった気がします……」

「……なんだそれ……」

「って一般鬼人族? 一般人?……戦闘民族じゃないんですか?」


 混乱するリョウコを放っておいて、俺はウィンディードさんの方を振り返る。彼女も困惑した微妙な表情をしていた。

 リョウコの言葉はわかるはずだから伝わってるよなぁ……不思議な感じだ。

「ワタシ、ナカマ、エモノ?」

「そうみたい……だね……」


 ナオエさんがウィンディードさんをかばう感じで慌てて話に入ってくる。

「ねぇ、リョウコ達テストプレイヤーって、鬼人族を敵とみなしているの?」

「……そうですね、ミッションだと、妖魔、魔獣、幻獣、鬼人族、森人族、獣人……がターゲットになっている場合が多いですね。敵というより……経験値を稼ぐ相手的な感じですかね」

「……この島の生物が全部……経験値稼ぎのターゲット、敵ってことか?」

「え? そういうわけでは……この島を取り戻すために来ている人間達は仲間で商人ともやり取りできますし……」


 俺だけでなく仲間も全員「なんじゃそりゃ?」って感じの表情になっている……と思う。

【ですよね、こちらも想定外の交流開始でパニックになっています】

 ああ、敵対的な感じで進むと思ってたのか……

【対人戦をけしかけてますからね。管理者は】

 まぁ、そうだよね、奪い合えとかノリノリで言っちゃってたような気がするし。

 協力した方が色々と早いと思うんだけどなぁ……


「……」

「全然違う話をしている気分ね」

「……ミッションが無い俺たちにとっては鬼人族は仲間……なんだよなぁ……」

「この世界の人間達はこの島の侵略者だと思ってた」

「大航海時代の歴史に似ているのかと思っていたわ……欲にまみれに見えたし」

「こちらの世界の人間とは話が通じるからねぇ……」

「やっぱり管理者の意図がありあそうだな」


 リョウコは思ってもみなかった反応だったらしく、考え込んでしまう。

「ミッションが無い? 人間が侵略者? ……鬼人族が仲間……考えてみると……ミッションに従っているだけで……利害関係なんてあんまり考えた事はなかったかも……最終的にはミッションをこなすのが目的になってたような……」

「……ほんとゲームしてるみたいだな」

「そりゃ、ミッションやると経験値も報酬もらえますし、強くならないとゲームオーバーになるわけで」


「ゲームオーバー……か」

「なぜかしらね……私たちは……「死ぬ」ってイメージなのだけれども……」

「食料無くなったら餓死とか……殺されるプレイヤーみてるからじゃないのか?」

「そうね……消えるまでは……実際に生きてるから……リアルなのよね……」


 リョウコが攻略組の二人を見て困惑した表情を向ける。

「餓死……なんてあるんですね……食料は割と安いんですけど……」

「どこでも買えるのがいいわねぇ」

「ほんとに……」


 俺はこの島に降り立っての最初の行動目的が「食料と水の確保」だったので、違いをかなり感じていた。同じ舞台で違う会社が作ったゲームをやってる気分になって来た。マイクラのサバイバルモードとインフレ気味なスマホゲームくらいの差があるな。

【……なるほど、確かに違う部署が作成しているようなものなのでそうなりますね】

 ……なんだそりゃ……異ゲーム乱闘戦みたいなもんか……攻略方法あるのか?

【基本的に生物にスキルやエーテルを付与して強化していますので、根本は同じなのですが……かなりの違いを感じますね】

 ……なるほどね。根本は同じ……か。


 各々が思考に耽る中、ナオエさんが静寂を突き破ってリョウコに質問をする。

「ねぇ、リョウコはこの世界をやり直しているって言ってたけど……この先どうなるの?」

「あ~それなんですが……変わりすぎててあまり信じない方が良いかもしれません……」

「さっき仲間に外れてばっかりって言われてたやつか」


 俺がツッコミを入れるとリョウコが見るからに慌てだす。

「そっ、そうなんですよね……記憶を頼りに行った先々で、いたはずのターゲットが居なくなってたり、ダンジョンがつぶれてたり、お宝が無くなってたり……いい稼ぎスポットがことごとくつぶされてるんですよ……まるで意図したように……」


「……そっちはあれね、私たちとあまり関係ないから……この島がどうなるかとか、そっちの方は? ラスボスみたいのが出てくるって言ってたじゃない?」


「そうですねぇ……先輩達に関係しそうなことですよねぇ……ざっくり説明すると、あと半月くらいで、人間達と鬼人族の戦争になって、人間側が優勢になるんですよ。そのあと中央への進軍が開始されまして、ひと月くらいでしたかね。色々と討伐ミッションをこなしながらだったんで細かくは覚えていないんですが……そのあとかなり激しい戦いがあって、多くのプレイヤーが脱落しちゃって……んで、最後の鬼人族の城での決戦後、山の中腹の大神殿みたいのが開きまして、その中でラスボスの手前で将軍達と戦っている最中に……巻き戻った感じでしたね。正直なところラスボス前の将軍達が強すぎだったので巻き戻って生き残った感がすごいんですよね……」


 ……ちょっと情報量が多いな……要するに鬼人族と人間の争いが凄くなるってことか?


「「「「……」」」」

「ああ、やっぱり信じられない感じですよね……」


「ああ、いや、恐らく俺たちはもうその歴史を変えてしまったかもな……」

「そうねぇ、変わってるわね」

「あ、そうか、鬼人族に鉄砲渡してたわね。研究用にって」

「ついでに塹壕やら、木の盾に鉄板いれたもの……など銃弾を防げそうな知識と対処方法も教えてたような?」

「ジンパチさん達もなんか銃や大砲に対する対処方法を伝えてた気がするわね」


 リョウコは俺たちの話を理解すると若干笑った後、納得いった表情になる。

「はは……それは変わっちゃうかもしれませんねぇ……射程距離の長い鉄砲くらいしか優位なところ無かったんで。魔法も使ってた気がしますが……鬼人族並みの強さの人はあまりいなかったかなぁ……」


 リキさんが腕を組みながら隣に座っていたサチさんに話しかける。

「……どこまで信じられるんだ?」

「そうねぇ、参考程度にしておいた方が良さそうね。……だけど、今後、必ずこの世界の人間達が鬼人族を襲うっていう未来は確定しているようね。リョウコさん、最初の開戦地はわかるかしら?」

「鬼人族の港町……名前は忘れちゃいましたが……そこから入っていく感じでしたかねぇ……地図で言うと東南東とか……だったような……どの辺にある町なんだろ?」


 サチさんがリョウコの割といい加減な記憶に呆れ、不思議そうな表情をしていた。

「未来を見てきているのに……曖昧なのね」

「うーん。ずっと戦場にいるわけではないので。私たちはギルドホームからテレポートしてミッション先に移動して、クリアしたらホームに帰るって仕様なので……」

「なにそれ……その仕様いいわね……便利そう」

「この世界って移動大変だものね……乗り物無いし」

「だから運営が移動系のカード支給したのか?」

「ありうるわね……攻略が進まない……みたいなことを言っていたような?」


 リョウコがテストプレイヤーの仕様をポロっと出すたびに仲間内で議論が起きるなぁ……リョウコの方にもこちらの方の情報がどんどん伝わっている気がするけど、大丈夫なのか?

「ああ、でも地図を新規開拓したり、ダンジョンを発見するには装備や道具を全部持って移動しないと駄目なので……ほら、山岳登山のアタックみたいな感じでして……私から見たらその四次元収納ポーチとやらの方が便利に見えますよ。ミッション終えると強制帰還させられちゃうんで……」


 何か引っかかるんだよなぁ……そもそも「ミッション」って誰が出してんだ? 運営……管理者たちだよな?

【……そのはずですが……】

 テストプレイヤーの管理者に知り合いはいないの? アーゼさん?

【部署が違いますので……なんとも】

 部署……あったんだ……一枚岩感ないのはそれかぁ……大企業みたいだな。


「……最近はミッションって出たりしてるのか?」

「今回は前より少ないんですよね……前回は頻繁に出たんですけど、ダンジョン攻略とか妖魔退治は相変わらずなんですけど……」

「うーん、まぁ、ミッション作ってる人間の裁量次第って感じだなぁ……」

「ミッション作ってる運営ってことですよね? ……あ! ちょっと待ってください! レアモンスター出現? の通知が!」


「え??」


 リョウコが空中に浮いた光るUIを調整し出した。スマホを裏から見ている気分になるな。頑張れば文字も見えなくはない……マップの一部分にビックリマークが付いているなぁ……あそこに行けって事か?

「経験値が凄い貰えるんですよ。弱いんですけど」

「なんだそのメタスラみたいなやつは」


「私もクリア目指してるんで、ちょっと行ってきます! 戻ってきますので必ず! あ、防具は……こいつならアクセだけでも余裕か……」

「あ、俺も行くわ」

「そうね私もついていく」

「ワタシもイク」


「そうだな、俺もついていった方が良さそう……か?」

「地図はどの辺になるのかしら?」


「え、みなさん……ついてくるんですか?」

「監視対象」

「疑いはかなり無くなったけど、違う仲間を連れてこられても困るからね」

「……あ、そうか」


 リキさんが大盛りのご飯をかきこんだ後、すくっと配膳プレートをもって立ち上がる。

「それとテストプレイヤーの動きと戦い方を見ておきたいかな」

「そうね、私たちにとってはあなたは未知なのよね」

「俺たちもエーテル稼げるかもしれないからな」


 そう言いながらリキさんが食べ終えた食器を全員食堂の方に運び始める。それに続いて遅い朝ごはんを食べおえた仲間達が食器を運び始める。

 その様子を見ていたリョウコがぼそっと呟く。

「……なんか、皆さん律儀ですね」

「共同生活だからな。自分で持ってけよ」

「はい……」


 リョウコも残ったみそ汁を急いですすると、配膳プレートを食器返却口に置いていた。


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