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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
4章 テストプレイヤーと分岐点

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第73話 それぞれの仕事

 29日目


 空が白む前に攻略組の「黄金の鷹」と、鬼人族の戦士長のアッシュさんが帰路に着く。


 名残惜しそうにアヤノさん達に「また必ずご飯を食べにくる!」と挨拶をしていた。

 確かにここを出たら……アヤノさんの絶品料理が食べられなくなるんだよなぁ……

 アッシュさんまで何やらウィンディードさんに色々言ってるみたいだし……食事に関して感動しっぱなしだったものな、彼も。


 ナオエさんが真面目な顔をしてこちらを見ていた。

「……ねぇ、まさか……ご飯のためにここを出るのをためらってるの?」

「あ、それも一つの理由かもね……」

「……本気?」

「……魔獣と妖魔とは戦える……殺せる気持ちがあるけど……」

「……やっぱりそっちか……」


 攻略組の「鷹の団」の二人を倒した……遠距離だったとしても……殺した後、食欲無くなったの見られてたもんなぁ……

 死んだら光となって消えるのが分かっていても、死ぬまでは「生きて」いるんだよね……あれは心に来た……もがいているのが遠目でもわかったからな……映画みたいに突然死なないんだよね……


 通称「委員長」シキさんが『浄化』スキルもちのヨウカさんと『発光』スキルもちのライトさんと話をしていた。

「それじゃぁ、ヨウカさん。ライトさん。もしもの時は……考えておいてくれるとありがたいです」

「……はい。前向きに考えます……ゲームクリアしないと駄目ですものね……」

「……俺は……怖いですけど……頑張らないとですよね……終わらないし……人間相手じゃなかったら……」


 シキさんが二人にやさしく微笑んでいた。打算とかない純粋さを感じる目だな。

「ええ、おそらくあなた達の力が必要になるかと思います……割とすぐに……」

「はい。覚悟しておきます」

「……はぁ……」


 どうやら黒い靄に包まれた魔獣の「靄」を取り払える『ライト』と『浄化』が有効と判断されたみたいだな。攻略組も「黒い靄の魔獣」に悩まされて撤退してきたって言ってたものな。

 夜はライトさんいなくなるとトイレ周りが暗くなりすぎて困る時あるし……ヨウカさんがいなくなると水の浄化とか、服の洗濯が大変になるんだよなぁ……ああ、残って欲しいけど……

 でも、クリアのためなら仕方が無いか……ヨウカさんは勇気が割とある方だけど、ライトさんは……性格的に戦いに向いてないな。……後ろからの援護に徹すれば大丈夫だとは思うけど……

【本当に生活用のスキルだと思われていたのですね……】

 え? そうじゃないの?

【……使えないことは無いのですが、お勧めでは……こう、皆さんの好きな小説や漫画のようなことが出来る設定だったのですか……】

 そうなのか……今後はもうちょっと説明書を読むか……

【周知のほどを……よろしくお願いします……】


 朝食を取りながら今後の事を話しあう。

 ライトさんとヨウカさんに関しては「黄金の鷹」のメンバーが話し合った後、作戦が決まり次第迎えに来るそうだ。今は大量プレイヤー脱落事件の調査の方が重要……ってことみたいだな。


 それから拠点メンバーは探索、拠点設営、武器などの道具を制作、海までの道を整備するグループに別れ……? 

 ん? 

 道づくり??


「……え? 海まで道を作っちゃうんですか?」

「そうっす。海まで結構道がガタガタで迂回しないとだめっすから、自分のスキルで整地してきちゃいます!」

「どうやらカイさんのスキルの上限が分からないらしく、出来るところまでやってしまおう……との話になりまして」

「えっと、一人で? 大丈夫ですか?」


 リンカさんが手を上げてぶんぶん振ってアピールしてくる。たまに動きが小学生なんだよなぁ……って、中身は中一だっけか?

「護衛は私に任せて! 全部叩き潰して吹き飛ばしてやるから!」

「心強いっす! 年も近いのでありがたいっす!」

「あれ? カイくん中学生?」

「……中三っす!」

「せ、先輩じゃないですかぁ……カイさんかぁ……」

「関係ないっす! カイくんでいいっす!」

「いいのかなぁ……」


 ……なんだか初々しい反応をする二人だな……見た目は大人っぽいのに。変な感じだ。

「あ~危険と判断したら戦わずに逃げてね……」

「了解っす!」

「っす!」


 ちょっと不安だけど……スキルの力もすごいし、彼らもステータスもかなり上がってるだろうから大丈夫だろうなぁ……あ、気が付いたら作業ごとにメンバーが分かれて話始めてる。

 それじゃ俺は……拠点づくりかな……


「カタシくんはこっち」

「……へ?」


 俺はナオエさんに引っ張られ、サチさんとリキさん、ウィンディードさんがいる探索組の方に引っ張られていく。なんか回りも自然な感じだ……決定事項だったのか?


 サチさんが俺の事を見透かすような目で見てくる。

「……まだ迷っている様ね」

「そりゃ、迷いますよ……」

「まぁ、今日一緒に行動すれば……ちょっとは変わると思うぞ?」


 リキさんは何か自信満々だな……サチさんへの圧倒的な信頼感はどこからくるんだろうか?



 §  §  §  §


 俺たち探索組の5人は森の中をものすごい速度で移動をしていた。

 ナオエさんの『伸びる』を使わずにの移動で……だ。

 傾斜や茂みをよけながら……道なき山を飛ぶように……ってホント飛んでる様に見えるわ……俺、『弾力』のスキル使ってるんだけど?


「すごいのね、やっぱりついてこれるくらいなのね」

「あんたらも物凄い数の妖魔と魔獣やってたんだな」


 サチさんとリキさんがかなりの速度で跳躍するだけに見えるのに飛ぶように移動を……

 さすがにおかしかったので話を聞くと完全にスキルを使ってないそうだ。ステータスアップでかなりの身体能力上昇をしていて気が付いたらこの速さだった……みたいだ。ステータス恐ろしいな……

 俺も軽い『弾力』を足にかけないと付いていけないくらいだ。ウィンディードさんも風の魔法を纏って飛ぶように並走しているし、ナオエさんも……ステータスだけでついていってるのか? SP使ってるの俺だけっぽいな……

 つまり俺だけステータスが低い??


「ナオエさん……SP使ってないよね?」

「そうね。あの人たちの走り方見たら、ステータス上がった走り方分かったから真似してるだけだよ? カタシくんもそうしてるじゃない?」

「俺、足に『弾力』つかってんだけど……」

「え? ……あ」


 ナオエさんの目がどっか行っちゃった……ステータスの差を非難されそうだからか? たまにいなくなる時が多いけど、妖魔や魔獣を狩ってたんだろうな……別に責めないのに……

 あ、危険な事はするなって念押ししてたか……

【あなたは過保護ですからね。母親のように小言を言われると思ったのでしょう】

 ……俺、母親っすか?


「……ここね」

「……ほんとか?」

「ええ、ここなんだけど……おかしいわね……ちょっと待ってね……上??」


 サチさんとリキさんが立ち止まって上を見る。何やらエーテルっぽい何かをサチさんから感じたからスキルを使ったんだろう。上……岩山、というより岸壁だな。よじ登らないとだめっぽいな……

「座標も合致しているから……確定ね。ナオエさん、協力してくださる? 多分あそこの……段差のところだと思うのだけれども」

「わかった。みんな掴まって。ウィンディ、サポートお願い」

「……ワカッタ」


 俺たちの周りに風の魔法が柔らかに包み込む。ウィンディードさんの魔法……それとナオエさんの伸びる槍の先を全員が掴む。そして一気に段差まで伸びていく……! なんか速度上がってるぞ!?? 風の魔法の護りが無かったらなんかすごいことになりそうなんだけど??


 一瞬にして60メートル以上の段差の上にたどり着く。ナオエさん、このメンバーだと手加減なしで大丈夫と判断したみたいだな。本気だとこの速度なのか。高速エレベーターレベル? いや、遊園地にあるあの一気に上がるやつレベルか? 風の魔法が無かったら吹き飛ばされていたかも……


「す、すごいわね」

「……楽だな」

「……そうね。岸壁をこんなに簡単に……ちょっとびっくりしたわ。思ったより早いのね……ちょっとだけなのよ、びっくりしたのは……すごいわね。ほんとに。ちょっとだけなのよ?」

「……わかってるって」


 驚きを隠せないサチさんをリキさんが優しく肩を抱いてなだめている。

 ナオエさんが槍を元に戻しながら崖下を見る。

「……たしかに『伸びる』が無いと、ステータスだけだと落ちた時が大変ね」

「ああ、だからルート取り考えて落ちても死なない道探したり、ロープで固定したりで大変だったんだ」

「私が受け止めるって言ってるのだけれども……」

「……ステータス上がっても厳しいだろ。その細腕じゃ」

「あら? こっち来てからかなり筋肉がついたわ?」

「……ああ、そうだな……」


 なんだか二人はものすごく仲が良い……こちらの世界で出会っただけには見えないな。……と言うか……熟年夫婦みたいだな。あっちの世界で夫婦だったとか……か? 


「あ、光ってる……本当にあった……すごいね……」

「……割と目立つ場所だったな」

「……ログを見ても落下死……と出てたからそうね。地表からは見づらかったからスルーされたのかしら?」


 ナオエさんの視線の先にはスキルオーブが地面すれすれに浮かんで、ほのかに光っていた。ずいぶんと小さく……儚い感じだな。場所が分かっても見つけられないかもな……こんな場所に落ちてるんじゃ……

 サチさんが「これから見せる私の「スキル」で、私たちと一緒に行動する気になると思うわ」……と言っていたんだけど、探知系のスキルを持ってたんだなぁ……


「……探知系のスキル……持ってたんですね。しかもかなり正確だ」

「ええ、なんとなくしかわからないのが欠点だけど、この世界ではチートね。スマホも無いし。検索できないでしょう?」

「まぁ、これで色々と助けられてるからな。ヤバい敵からも逃げやすいしな」

「……あ、それで最初に美味しいごはんの場所って言ってたのか……」

「ええ、あれは漠然とした感覚を探知できるかってテストだったのだけれども……当たっていたわね」

「探知するプログラムかなんかがこの世界の事を把握しているのはわかったからな」

「そうね。もしかしたら「ナビ」達の見ている情報も共有しているのかもしれないわね」


「……あ、そうか、料理して美味しいって姿を見せてるから……ってそうなの? アーゼさん?」

【否定はしません。私たちの目から見たものは情報としてしっかりと蓄積されているかと思いますので】

 ……なるほど……だとするとサチさんの探知を使って色々とできそうだな……

【スキルレベルなどもありますので説明の範囲内なら何とかなるのではないでしょうか?】

 うーん、無茶な探知は出来ないって事か。


 三人の目が俺を向いていた。あれ? あ、そうか、ナビの声は聞こえないんだっけ……

「えっと、スキルの説明の範囲内なら探知できる……スキルレベル上げろって言ってるくらいかな? 情報はストックされてるとか?」


「……凄い情報ね。こちらのナビはそんなに答えてくれないのだけれども……」

「そもそも俺ら「ナビ」を使ってないじゃないか? 合流も早かったし」

「そうね。リキを早めに見つけられたから……使う頻度が低かったかもしれないわ」


 ……なるほど、降り立ったら「リキ」さんを探知してみたのか……って、探知だけでこの世界を移動したのか? 初期能力と探知だけで?? すごい行動力だな。


 ナオエさんがスキルオーブに手をかざす。もしかしてステータスが低いと……オーブも小さいのか?

「……音波? 波長?……変なスキルね……」

「……そういえば……なんかこの前もナオエさんの言ってたやつと違ったんだよな……」

「……そうなのか?」

「そうなの?」


 二人がまじまじと俺の方を見てくる。 あれ? 二人ともスキルオーブを結構な数を回収しているんじゃなかったっけ?

「たしかナオエさんが「バネ」って言ってたやつを俺がとったら……『弾力』だったんだよね」

「……そうだったわね……」


 リキさんが前に進み出てスキルオーブに手を伸ばす。

「ちょっと失礼……「エコー?」……」

「え、人によって違う??「反響」……ね」

「やっぱり違うのか……「ソナー?」……あれ?」


 全員が全部違うって……

【なるほど、もともとは違う言語ですから、翻訳した際のイメージが違うのですね。興味深い】

 ……まじっすか?


「要するにこのスキルは……音を使って探知する何かってことね」

「……どうしましょう。約束通りにあなたに取得してもらおうとしていたのだけれども……」

「……私、探知できるからなぁ……敵」

「だよなぁ……」

「ここに来るまで、明らかに敵性生物を避けていたモノね」


 俺は敵の探知……と言うよりも、病院の超音波で体の内部を見るイメージをしていた。

「……体にソナーを使って悪い場所を診断……なんてのものできるかもな」

「……なるほど……直接見えないものを探れるか……それじゃ、遠慮なくいただくわね」


 ……約束、一緒に攻略するって約束のかわりの報酬……やっぱり迷いなしか……

「治す」をどうしても持って帰りたいんだろうなぁ……


「……ありがとう。『音波操作』に切り替わったわ、名前が……それにしてもこの人……全然ステータスが上がらなかった……なにもしてなかったのかな?」

「ログを見る限りは最近なのだけれども……」

「戦わずにここまで耐えて……食糧不足で落下した感じだろうな」


 リキさんが崖のさらに上の方を見上げる。

 そこには人がいたような形跡のある岩陰があった。あそこから落ちた……んだろうけど、そうか、上り下りが出来るようなステータスじゃなかったとしたら、降りれなかったんだな……誰かがすぐにゲームクリアすると思って耐えてた部類だろうなぁ……


「……あとはこの近くには手軽に取れそうなフリーのスキルオーブはないみたいね。日帰りは出来ない……数日はかかりそうな距離かしらね……」

「助けを求めてそうなプレイヤーは?」

「そちらは……この近くにはいないわね。私のイメージが悪いのかもしれないけれども」

「んじゃ、ステータス上げといきましょうか」

「……え?」

「私のスキルを使えば効率的な妖魔狩りと魔獣狩りが出来るわ。だけど小さな魔獣はやめた方が良さそうね、拠点の皆に迷惑がかかるかも」

「そうだな。主に妖魔を中心に。だな」


「……妖魔を効率的に探せる……なんて便利な……」

「……戦力あれば……こうなるのか」


 俺は移動を開始する4人に慌ててついていった。

 彼についていくとすると……これが今後の日常になるのか……

 ナオエさんは彼らに同行することを決めたみたいだな……俺は……どうすれば……


 §  §  §  §


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