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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第72話 迷い


 ナオエさんだけでなく、何か不穏な空気を察知した仲間がログを見始める。人によってさまざまな表情を見せる。驚くもの、悲しむもの、諦めた表情になるもの……観光ムードだったが一気に雰囲気が変わっていく。


「これって……」

【どうやらプレイヤー同士の大規模な戦いが起きたようですね。こちらの方でもお祭りのような騒ぎになっていますよ】

 ……ありがとう、アーゼさん……確定か……

【ええ、あなたの選択に大きな影響を与えると思えましたので特別です】

 ……なるほどね。最近誘導しすぎじゃないですか?

【私もこの世界があるべき姿に戻るのを願っていますので】

 ……どういうことだ??

【……】


 ……あるべき世界……ぱっと見は異世界の普通の世界に見えるんだけど……何かあるのか?

 やっぱり黒結晶とやらのせいでおかしくなっている世界……とかなのか? 破壊してほしいみたいだし。


 考えに耽っていると、ナオエさんが俺の肩をトントンと叩く。

「……座標を見る限りは……山の向こう……反対側になるのかな……私の地図にも表示しきれてない」

「……そんなに遠くで?」

「やっぱり島全体にプレイヤーがいるみたいね」


 ナオエさんでもだめってことは……攻略組……彼らなら遠くまで遠征しているはずだし、わかるかも?

「カエデさん! そっちで場所分かる?」

「ごめんなさい。流石に私たちのエリアからだと……山をはさんで向こう側の事件になるわ!」

「攻略組でも山の向こう側の方に入っているメンバーは殆どいないから、大きく迂回しないとそっちに行けない感じだ!」

「……戻って探索組の話を聞かないと駄目かもね……」

「さすがに山の向こうまでマッピングしてるとは思えないけど……」

「両隣のエリアもえぐいからなぁ……」


「黄金の鷲」のメンバーが集まって話し合いを始めていた。

「両隣のエリア」って……敵性生物とか種族とかいるのか?


 ただならぬ気配を感じたウィンディードさんがこちらの方に寄ってきて事情を聞いてくる。大分言葉に慣れてきた様で、コンビニの外国人店員のようになっていた。声が綺麗なせいか、発音は大分綺麗に聞こえるけど。


 俺は説明のためにいつだか拾ったこの島の観光地図を広げ、ガイドマップを元に地面に描く。

 恐らく争いの起きたであろう場所に印をつけてみる。座標を見る限り100キロメートル以上向こうで、半径数百メートルの中にほとんどのプレイヤーの座標が入っているから……やっぱりチーム同士の抗争が起きたんだろうなぁ……殺した方のプレイヤー名も表示されると嬉しかった……いや、そうすると俺が他のプレイヤーを殺したって事が皆にばれるのか……


「ソコ、ワタシタチ。イケナイ。モリヒト族ノ場所ネ」

 ウィンディードさんが地図に線を入れ始める。恐らく勢力圏? なんだろうけど、島を四分割する感じで違う種族がいるのか……俺たちが南部……モリヒト族の場所が北部、西部が獣人系、東側が猿系の人種? 情報量が多い。……うん。今は関係ないな。

 いつの間にか攻略組と拠点組が後ろにいて色々とメモってるな……この感じだと初情報か?


((……アスティナ様の言っていた通りに事が運んでいるようだな……))

((そうね、あなた達がモリヒト族との会談に向かうと死ぬ……本当だったかもしれないね))


 ウィンディードさんとアッシュさんが何やら話をしているが、表情から見るにかなり重要なことを話してるみたいだけど……って、そんな場合じゃないなぁ、これからどうするか考えないと……


「皆、いったん拠点に戻ろう」


 雰囲気がかなり微妙な感じになっていた。

 まだ塩作りは終わっていなかったので、塩づくりのメンバーを数人残して拠点へと戻っていった。不安そうにしていたが、山の向こうでの出来事だと知って安心はしてくれたようだ。


 §  §  §  §


 俺たちは拠点に戻って来ていた。

 帰りの道中だけでなく、戻ってからも各グループごとに話し合いが行われ、かなり緊張した雰囲気に包まれていた。

 連絡用のフクロウや「黄金の鷹」らしき、連絡用の鳥たちが飛び立っていく。

 この世界にはネットを使ったメールが無いから実際に書簡を運ばないと連絡取れないんだよねぇ……当たり前だけど配達員……郵便もないし。

 メール機能とかプレイヤー間では実装しないんですか? アーゼさん?

【便利すぎるという意見が多かったので実装しないそうです。連絡用のスキルはあるみたいなので探してください】

 ………そこもスキルなのか……


「せっかくのパーティ気分が台無しだよねぇ」

「そうねぇ……このメンバーでご飯を食べるのは最後になりそうだから、腕を振るわないとね」


 厨房と化したエリアでリンカさんとアヤノさんを中心に料理が始まる。

 俺も傍らで何か手伝えないかと思うけど……一人暮らしが長いから簡単な調理はできるぞ?


「あんなに食べたのに、もうお腹減ったの? カタシ君はこっちよ」

 ナオエさんに引っ張られて重苦しい雰囲気の中に連れられて行く……

 俺も料理に参加したかった……気楽にやりたいんだ……どう考えても重い話になるじゃん?


 天幕の下には攻略組が集まっていた。

「カタシさんどこ行ってたんですか?」

「代表なんだからしっかりしてくださいよ」

「……え? 代表?」

「? 違うんですか?」


 委員長さんがきょとんした表情をしていた。


「あ、俺は代表はどちらかというとジンパチさんだと思うんですけど……」


 ジンパチさんが真剣なまなざしを俺に向けてくる。

「……やはりそうですか……旅立たれてしまうんですね……」

「……え? ちょっと待ってください? いつの間に旅立つことに?」

「ちがうのですか? てっきり攻略組についていくのかと」


 ジンパチさんがちらりとサチさんの方を見る。

 視線を感じたサチさんが俺に向かって謝ってくる。

「……ごめんなさい。先に少しだけ相談してしまったの」

「あんたたちが一緒に来てくれれば心強いんだけどな」


 リキさんも同意済みみたいだな……ってことは……ナオエさんの方を振り返ってみると彼女も平然としていた。彼女にも相談済みって感じなのか……


「ええっと……まだ迷っているので……それに俺たちが抜けたら他のプレイヤーに対しての対抗手段が減ってしまう気がして……」

「ええ、それも考えていたのですが、ここでずっと耐えきる事を考えるよりも、攻略をしてしまって解放される……と言うのも手なのではないでしょうか?」

「……なるほど……」


 ナオエさんが真面目な目でこちらを見てくる。やる気な感じだな……

「それに北東部のプレイヤーが24人も殺されてるんだから……24個のスキルが誰かの手に渡ったって考えると……」


 カエデさんが頭をかきながら投げやりな感じになってるな……

「そうねぇ、転生の神が言っていた「インフレバトル」ってやつになっているんだよね」

「……まさか、ほかのプレイヤーを本格的に襲う集団が出てくるとは思わなかったよ」

「こっちのエリアにはほかのプレイヤーを襲わないって不文律が出来ていたものね」

「一部の柄の悪いやつは無視してたけどな……」


 ……知らなかったけど……攻略組だとそんな感じだったのか……だからカエデさんとコウタさんは最初から友好的だったのか。あの「鷹の団」の二人だけが異質だったのか?


 ジンパチさんが地面に書いた地図を指し示しながら解説をしてくれる。

「現状ですと、我々の位置はここ、攻略組の「黄金の鷹」のテリトリーがこのあたり。「鷹の団」がここ、「クリアを目指そうの会」のエリアがここ……というわけで、攻略組に囲まれている状態なんですよね」

「……なるほど、プレイヤーから襲われるとしたら……先に攻略組が……ってことになるのか……」

「ええ、ですので、我々としては塩や食料や武器防具などを調達する代わりに守ってもらう形になりますね。それに、戦い慣れていなくてもスキルの工夫で少数だったら何とかなると思いますし」


 確かに拠点組の防衛練習もかなり板についてきたし……この間の将軍に放ったワールド座標スキル配置もかなり効果的……皆がまとまったらうまく行くかもしれないな……


 俺は答えを出せずにいた。確かにここの場所にとどまったら……時間が経てばたつほど強いプレイヤーが出てきて狩られてしまう場合があるだろう……

 だけど、攻略に回るとしたら……妖魔や魔獣だけでなく、ほかのプレイヤーを相手どらないと駄目なんだよな……


 しばらくジンパチさんと攻略組の相談などが続く。前向きで建設的な意見が飛び交っていく。鬼人族も色々とアドバイスをくれ、現地の勢力図の情報も補足して俺たちのいる南エリアの地盤強化へと話が続いていった。

 話を聞きながらも今後どうするか……本当に迷うな……ここで拠点づくりも面白くてやりがいあるけど……それだけをしてたらやられちゃうし、誰かにゲームクリアしてもらわないと終わらない……困ったな……


 サチさんがいつの間にか隣に来ていて俺に囁く。

「カタシさん、あと二日はこの辺にとどまる予定。それまでに返事を考えておいて」


 いつの間にか会議は終わっていた様だ。

 日も傾き、夕ご飯のよい匂いが漂い始めていた。


 §  §  §  §




 *********************************

 三章はここまでになります。


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