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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第71話 巨大イカを倒そう! リベンジマッチ!

 28日目 


 午前中に拠点での準備も終え、日も真上に登る頃に俺たちは漁師小屋のある浜辺に来ていた。

 拠点メンバー全員と、半ば休日気分の攻略組が朝から討伐の準備をして妖魔の砦に殴りこむような雰囲気になってい……なかった。

 20人以上いる安心感……心強いんだけど……

 一部の人間からは「巨大イカってイカ焼きにできますよね? やっぱり醤油ですかね?」 「巨大生物は大体不味いはずだが……」と「魚って四次元収納ポーチでどれくらい持つんですか?」とか狩った後の事の話が出るくらい、若干たるんだ空気がその場を包んでいた。


「……ナオエさん……こんなんで大丈夫かね?」

「……もしもの時はみんなで練習通りに「ワールド座標」でスキル打ち込めばなんとかなるでしょ」

「一匹だったら良いんだけど……」

「それも縄張りがあるからおそらく大丈夫、って話になったじゃない? 本当に心配性ね」


 あれから「ワールド座標」でのスキル発動などを検証してみたのだが……確かに「ローカル座標」で発動させるよりもSP消費が少なく威力が強いうえに「動かない」ことが分かった。

 しかも何人かは、なにも無い「空間」でも発動させてスキルを発動できたので、目では見えない危ないスキルと化していた。

『切断』を空間に固定して出し続けるのはかなり危険だと思えたが、見えなくてもエーテルを察知することが出来ればよけられるんだよね……これからはエーテル反応に気を付けないとな。何かを察知したらすぐに逃げないとなぁ……


「……困ったらみんなを守るように『固定』のブロックを沢山配置したらいいじゃない? ほら、牢屋みたいに等間隔で相手が入れない大きさのものを配置すれば……」

「そうなんだけど……どれくらいの力に耐えられるかはまだわからないじゃない? 巨大イカってすごい質量だし、パワーがものすごいと思うんだけど」

「リキさんのパワーでも耐えられたんだから大丈夫だと思うんだけどなぁ……」


 一応、テストとして『固定』した空間をリキさんのフルパワー「未加工鉄棒」でぶん殴ってみたところ、見事に「未加工鉄棒」がぐにゃりと曲がっていた。殴られた瞬間、若干SPが減った印象だったがよくわからないくらいだった。

 リキさんの話によると、固い物質を殴ってる感じが一切なく、絶対に壊せないナニカを殴ってる感じだった……との事だった。彼の発言の意味は理解できないが……相当固いって事なんだろうなぁ……


【カタシは最初から「ワールド座標」をテストしていたと思うのですが……】

 ……ごめんなさい……空間を『固定』出来るのに気が付かなかったんだよ……接着剤ってイメージだったから。動かないものを固定するイメージしかなかった。

【この地に降り立った時も、狼の心臓をワールド座標で『固定』すればすぐに切り抜けられたのですけれどもね】

 ……え? ……あの時教えてよアーゼさん……物凄く苦労した記憶しかないんだけど……

【攻略方法は基本的に教えてはならないことになっています。管理者も見てて面白そうにしていたから良かったかもしれません】

 ……え? 見てたのか……あれ……なんか恥ずかしいな……


「カタシさん? やらないのかしら? 皆さん準備できている様に見えるけど」


 サチさんがいつの間にか隣に来ていた。

 昨晩のパーティ仲間への勧誘のせいか、今日は朝から妙に距離感が近い。

 なんかナオエさんの目がジトっとしてきてる……何にもないんだけどなぁ……あ、まだナオエさんには仲間になるように勧誘してないのか?


「カタシさん! 準備オッケーです!」

「例の木を利用した岩投げお願いします!!」

「あ、わかった! ちょっと待っててください!」


 ああ、そうだった……木を利用した岩を海に投げると寄ってくる……って話だったんだな。

 すでに巨大バリスタや投石機が設置され、いつでも発射準備OKな状態になっていた。

 試作型のスキル無しで発射できるバリスタも設置されていた。なんでも俺がいなくても運用できるように……って話だったな。二回りくらい小さくなるんだな……

 俺がいない前提で色々計画を立てられて……少し悲しい気分になるんだけど……


 ナオエさんと協力して『伸びる』と『固定』を利用した大木投石……というより岩の射出を行う。スキルレベルがあがったのと、操作に慣れて来ているのですごい簡単だな……


 ヒューーーー ドボーーン!!


 さすがにお互いがスキルコントロールに慣れた様で、初弾からタイミングはばっちりで岩が放物線を描いて沖に派手な水柱を立てて着水する。なんかこの前より距離が出てるな……二倍くらい……

【二人のスキルがそれだけレベルアップしていると言う事ですね。主にナオエのものになりますが】

 ……やっぱり『伸びる』のパワーのおかげか……縮むのが早くなってるとは思ってた。


「すごいなぁ……」

「スキルの組み合わせで、天然カタパルトになってるのか」

「動的なスキルって……当たりスキルなのかもな」

「戦闘系スキルよりも使い勝手良さそうね……」

「『盾術』なんて、ほんと……技能だもんねぇ……」

「いやいや、それで俺ら護られてますから」


 攻略組は本気で感心しているようだった。「盾術」なんてスキルもあるのか……委員長さんのやつか? いつも盾持ってるし。

 アッシュさんはウィンディードさんに驚きながらまくしたてる様に質問をしている。恐らく物理的にいろいろおかしいからツッコミを入れまくっているんだろうな。

 しばらく静寂が続くが、何も起きないのでメンバー達の警戒心が薄れてきていた。


「来るわよ!! 一匹!! 大きい!」


 ナオエさんの声で全員が一気に臨戦態勢に入る。

 海辺のギリギリに立っていた「委員長」さんとリキさんとアッシュさんが盾を打ち鳴らし始める。

 巨大イカの魚影が見えるとひきつけるようにこちらへと走って戻ってくる。


「でかい!!」

「まじか!!」

「像よりでかいよ!!」

「貝殻あるじゃん!!」

「オウムガイじゃないか!!!?」

「イカじゃないよ!!!?」


 海面から姿を現した巨大イカは砂浜までくるとこちらの方に向けて突進をしてくる。

 どうやらかなりお怒りの様だった。って、イカだよな? 俺の認識違い?


 ……あれ?

 かなりの迫力だけど、昨日の妖魔の将軍と比べると大分「圧」が少ない気がする。


「ま、まだですか!?」

「撃ちましょう!!」

「ダメです!! もっと引き付けてから! 今だと海に逃げられます!!」


 ジンパチさんが前面に立ち、腕で待てのハンドサインをしていた。ほんと肝が据わってる人だよなぁ……あっちの世界だとリーダーとか部長とかだったんだろうか?

 巨大イカが触手を伸ばしてくるが空振りをする。あちらも目測をし切れていないみたいだ。


「今です!! 撃てー!!!!」


 ドン!! ドン!! ドン!!!


 巨大バリスタ3機と、中型バリスタ2機による丸太槍と巨大矢の射出が行われる。

 巨大イカは直撃を食らい叫び声をあげる。


 プヒュアー!!!! グェエエエ!!!


 丸太槍は綺麗に巨大イカの胴体を貫き串刺しに、巨大矢は半ばまで矢が突き刺さり相手の突進の速度をかなり軽減させていた。止めと言わんばかりにアヤノさんの投岩が巨大イカの足を押しつぶす。

 もうすでに……息も絶え絶えな感じだな……


「スキル照射!!」


 ジンパチさんの号令に合わせて、色々な動的なスキル、遠距離攻撃が飛び交う。

 巨大イカが地面に叩き潰され、触手が切断されて吹き飛び、捻じれ、触手や殻がねじ曲がり、身体がぐにゃりと回ったりして……なんか可哀想だな……と思っていたらウィンディードさんの風魔法が飛んで触手が殆ど吹き飛ばされてしまう。

 ……集団リンチ状態だなこれ……


「スキル照射止め!! ……あれ? 動いてませんね……」


 前衛組がいざ出ようと思って前に出かかるが歩みを緩めて、既に死体と化していた巨大イカへとゆっくりと歩み寄る。

「……すげぇな、エーテルはほとんど感じないな……死んでる……のか?」

「……まだ……生きてるわね。止め、刺してあげましょう」

「分かった」


 リキさんが槍を取り出し、物凄いパワーで胴体の心臓を目掛けて突き刺す。

 槍を突き刺した後、ひねりを加える。


【魔獣クラーケン・ハボロテウティスシェルを討伐 HP+0.42 MP+0.35  STR +0.23 DEX +0.24 AGI +0.11 INT +0.03 MND +0.26  SP+0.22 ……】


 いつものように討伐ログが流れる。

 二十人近い人間でこの数字か……大ボスレベルだよねやっぱり。逃げて正解だった……


「よっしゃ!!」

「すげぇ!」

「すごい、かなりステータス上がってる!」

「これで塩の確保が簡単だ!」

「……こいつ食べられるのか??」


 そこにいたメンバーの視線が一斉にアヤノさんの方に向く。

「……食べられるみたいですね……非常に美味……と出てます」


 アヤノさんの『家事』スキルの鑑定でゴーサインが出た様だ。

「よっし! 解体だ!!」

「タチキ! 切り分けよろしく!!」

「おう、まかせろ! バラバラにしてやる!」

「内臓は俺に任せてくれ! 『解体』でばらせるか試してみてぇ!」

「確かに解体作業だ!」


『切断』して持ち運べるサイズに、本体はスキルの『解体』が作用し、臓物が綺麗に別れていく……なんて非現実な光景なんだ……鬼人族だけじゃなくて俺たちも呆気に取られていた。やってる本人もあきれ顔をした後、楽しそうにやってるし……

 そこからは全員が巨大イカに群がるように運搬作業になり、海で一旦砂などを洗い流し、持ち運べるサイズにしてサチさんがサービスといった感じで冷凍し、四次元収納ポーチに入れていく。

 ジンパチさんが手早く巨大なカマドを作り、あっという間に昼ご飯の準備が整っていく。

 しばらくすると香ばしいイカの焼けた匂い……醤油だな……この匂いは。鬼人族からの差し入れのやつか……よだれが思わず出てくるな……


 そこからはまるで体育会系のバーベキュー大会のような雰囲気になって来ていた。

 俺はどうも仲間のノリについていけず、輪の外で岩に腰かけて座っていた。

 俺は最初に遭遇した時の事を思い出していた。もう一月前……いや、3週間前か、こいつに初めて襲われたのは。隣にいたナオエさんの事を見る。

「すごいよね……逃げるしかなかった相手に……」

「そうね。皆のおかげだね。おいしいわねこれ」

「ほんとに」


 肉ばっかりのジューシーな味わいが多かったせいか、さっぱりした醤油味のイカは非常においしく感じた。巨大イカだけでお腹が膨れていた……一週間ほどは巨大イカ祭りだな……

 イカってたしか腹持ちいいんだよな? 食糧余り気味だな……サチさんの冷凍スキルがあってよかった……


 それからは塩の生成をしながら、海岸の探索をしてみた。殆ど旅行気分だ。

 海もきれいで魚も豊富、よく見ると貝やナマコ、エビ、カニなどもいる。巨大イカさえいなければ絶好の狩場のようだった。

 拠点組だけではなく攻略組もしばしの休息と息抜きになっていたようだ。

 攻略組に関しては、魚をできるだけ取って仲間に届けようという意識が働いたのか、わりと頑張って漁をしている感じだった。


「……ねぇ! カタシ君! ログを見て!!」

「へ?」


 かなり慌てた感じのナオエさんの様子からただならぬ気配を感じ、慌ててログを見る。


 そこにはかなりの人数のプレイヤーが、プレイヤーに殺されるログが大量に流れていた。


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