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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第70話 妖魔の砦での戦闘後

 俺たちは安全になった妖魔の砦で倒した妖魔を処理していく。

 使えそうな武器や素材、鉄製の鎧を剥いで、死体はそのまま掘った……いや、へこました堀の方へ投げ込んでいく。スキル『地形操作』がすごすぎだな……

【本当に……バランス調整を失敗している様に見えますね】

 ……やっぱりバランス調整とかやってたんだ……

【ええ、面白がってやっていましたよ。あの存在は】

 ……なるほどね……


 それにしても……死んだばかりでも当たり所が悪いと……なんというか……中のものが出て凄い臭いな……

 たまに生き残っている妖魔もいたが止めを刺し、装備を剥いで堀の中へと放り込む。

 最初は哀れんでいたが……途中から何も感じられなくなってきた……

 洞窟組も最初は気持ち悪がったり、実際に吐いたりしていたが、時間が経つにつれて黙々と作業をしていた。慣れとは恐ろしい……


 砦の中に入り、残敵を掃討しにいった攻略組が城門から出てくる。

「討伐が終わりました。もう安全ですよ~」


 仲間達からも歓声があがるが、目の前にある死体の山と資源の山を見てすぐに現実に引き戻される。

 たまにログに討伐……とのメッセージが流れていたので結構な数が中に逃げ込んでいたんだろうな。『感知』をもっているナオエさんがいるから一人も逃げられなかっただろうけど。


 ナオエさんが俺の方に向けてこっちに来てのハンドサインを送ってくる。

「カタシくん、謎の大きな穴があったんだけど……ちょっと来て」

「……え? わかった」


 まだ処理をし切れていない死体を乗り越えて妖魔の砦の中に入る。独特な生活臭がする。中は随分と閑散としていた。妖魔の将軍の号令で本当に全員突撃してたんだなぁ……そりゃ城門あたりが満員電車みたいになるわけだ……


 ナオエさんの後をついていくと、木の丸太の塀に囲まれた場所に、文明とそぐわないレベルの石造りの遺跡があった。かなり古代からある遺跡……に見えるな。石の角が丸まって見える。風化ってやつか?

 どうやらこの砦はこの違う文明の遺跡を守るようにして作られていたみたいだ。


「これは?」

「コレ、ヨウマ、クル、イリグチ」


 ウィンディードさんとアッシュさんが石造りの入り口から出てくる。

 こっち来て……と言うジェスチャーをしていたので中に入ってみる……って大丈夫なのか?


 ウィンディードさんの魔法の光に照らされた遺跡の中を進み、降りていくと、部屋の真ん中にぽっかりと直径10メートルはある大きな穴が開いていた。

 穴の淵には木や縄で足場が作られ、地中深くへと続いているようだった。魔法の光が届かないレベルだ……

「まさか、ここから地下帝国に行けるとか……そういうやつ?」

「……冗談みたいだけど、そうみたい」


 ……え?

 地下帝国……あるの? 

 まるでアリみたいだな……

 ここから妖魔がはい出て増えてたの?


 しばらく鬼人族の二人と片言の言葉を使って話し合った。

 彼らもこんなところに穴が開いているとは知らなかったらしい。今は攻め込む戦力が無いから封じた方が良いんじゃないか? という話になった。


「……妖魔が増えた原因はこれ……ってわけか」

「そうみたいね。ここが彼らにとってのスタート地点だったわけね」

「……俺たち妖魔の初期村の近くにいた感じだったのか……」

「……変な事言うのね……でも、たしかにそうなるかぁ……」

「ごめん、ゲーム的な考え方で……」

「……封じるでいいのよね?」

「うん、今の俺たちじゃ攻め込めないしね。ステータス上がったらいけるかもしれないけど」

「わかった」


 ナオエさんがそうと決まると、『地形操作』のカイさんをすぐに連れてくる。

 気が付いたらいなくなってたと思ったら……ほんと行動が早い。

「え? どうしたっすか? うお、穴が開いてる!!」

「これ、塞げる?」

「もちろんできるっスよ。……あ、地面の土を押し出す感じなんで、この遺跡もくずれちゃうかも……地盤が減るんで……」

「やっちゃって」

「え? まじっすか??」 

「妖魔が出てこなくなるよ?」

「了解っす! 見ててくださいよ!」


 カイさんは張り切って『地形操作』のスキルを発動させる。

 穴が徐々に狭まっていく……ほんと見ていて不思議だ……CGみたいだな……

 穴が徐々に狭まるにつれ、木で組まれた足場が穴の底に落ちていき、石の遺跡が歪んでゆく。穴がぴっちりと塞がる。

 カイさんが地面にあてていた手を離し、俺たちの方を振り返る。

「……あ、やばいっす。崩れるっス」

「え?」

「スキルレベルがあがったせいか……地面がどうなってるのかわるようになったっス」

「……逃げるよ! ウィンディ! 逃げる!」

「おう!」

「ワカタ!」


 全員で慌てて逃げ出す。穴自体は塞がったようだが、轟音がして遺跡が崩れていく。

 穴が広がる事も無かった様で、遺跡部分が岩の残骸の平面に覆われ、砦の木の柱が倒れて崩落は免れていた。


「……大丈夫っすかね? 床、ってか、地面が抜けないですかね?」

「抜けるとしたら……下から掘ったら岩の雨が降るだろうね……」

「……それ怖いっすね……一番上も土で覆っておきますね」


 カイさんが『地形操作』で出来るだけ遺跡のあった地面を頑丈にしていく。最後には古墳みたいになっていた。既に丸太でできた砦も倒壊しかかっていた………って言うより、地震の後みたいになってるな……



 それから妖魔の装備をできるだけ剥いで、なるべくカイさんに土をかぶせて埋めて掘った堀を平らにして砦を後にした。

 気が付くと日も大分落ち、結構な時間が経っていた。日の出前からの戦いだったのでかなりの疲労感だった。


 普段戦闘をしないメンバーもステータスがかなり上がり、妖魔くらいなら軽く持てる様になっていたが、それでも数をこなすと疲労がたまっていたようだ。全員で休息のために川の拠点へと一旦移動することになった。



 §  §  §  §


 拠点に戻ると、疲れた身体で休みたいところだったが、アヤノさんを中心に料理を作る。作っている間にも攻略組の目があり得ないくらい輝いていた。やっぱり前線ではこんな料理……作れないんだろうなぁ……肉も今のところかなり余ってるから、疲れた身体にはかなり重い感じだけど。食べられるかな? あれだけ死体を見た後で……


 グゥ~~~~


 うん、腹が鳴った。いけるな。


「それでは勝利を祝して……乾杯!」

「「「カンパイ!!」」」


 鬼人族からもらった「米酒」を全員に一杯ずつ振舞う。

 ただ、現実で中学生のリンカさんとカイさんは止められていた。本人達も……「お酒は駄目な気がします……」「親から酒は飲まない方が良い家系といわれてるっす」と言って辞退をしていたけど。良い教育をされてるんだな……中学でお酒はやっぱりだめか? 高校生っぽい人は……まぁ、この世界は法が違うから良い……のか? 俺だったら飲んじゃうけどなぁ……


 リンカさんとアヤノさんが攻略組の盾を持っていた前衛の女性に話しかけていた。面識があるみたいだな。


「「委員長」さんは「鷹の団」から移籍してたの?」

「ええ、さすがに野盗みたいになっていく仲間とは一緒にやりたくないから。シマと一緒に抜けたの。……あの時はごめんね……まさか狩りに出ている時にひと悶着あると思わなくて」

「うーん、あれは「委員長」のせいじゃないからなぁ……おかげでこんないいところ来れたんだし」

「そうね。リンカちゃんのおかげで逃げれたから問題ありません。あの人たちにはここの男性を見習ってほしいですよ」

「……そう言ってもらえると……ありがたいかな。それにしてもすごいのね……これ全部作ったんだよね……」

「そう。みんなでね」

「色々な人のスキルを組み合わせて作っていったんですよ」


 皆今日会った事で話が盛り上がっているみたいだな。俺は攻略組のカエデさんとコウタさんのところに移動をする。

「今日はありがとうございました。助かりましたよ」

「いえいえ、そこまで役に立たずって感じで……」

「まさか、あそこまで遠距離攻撃で何とかなるとは思ってませんでしたよ」


 カエデさんが一瞬周囲を見回した後、俺に質問をしてくる。

「ねぇ、気になってたんだけど、その鎧、なんでそんなにフィットしてるの? この砦の人達の鎧ぜんぶそうだよね?」

「……ああ、これはジンパチさんの『柔化』を利用して、細かい金具はカンジさんが作ったのを組み合わせてるからですね」


「……なるほど……素材を支払うので、メンバー分お願いした方が良さそうね……」

「そうだな。ローテーションでこの拠点に来て調整してもらうか……」

「中央の方に来てもらうと……さすがに危険よね……」

「今回のでステータス上がったと思うけど……人数が多かったし、頭割りが多すぎてそこまでは上がってないだろうしね……」

「……このログを全部計算する気にはならないわね……」

「結構上がってる感はあるだんけど……下手すると千匹くらいはいたのかもなぁ……」

「500にしては多かったよね……」

「地面から這い出てくる場所っていってたから、見えないところに……砦とか祠の中に沢山いたのかもなぁ」


 たしかに妖魔討伐のログは見る気が起きない……+0.001 とかその辺の数字を全部足さないと駄目だし。あれだけやっても妖魔の将軍がいなかったら1.000上がるかどうかなのか……これだとサチさんとリキさんみたいに少人数で戦ってステータスを上げる人達もかなりいそうだな。


「黄金の鷲」の他のメンバーもこちらの話に耳を傾けているようですぐに話に入ってきた。

 それからはジンパチさんの鎧調整披露会となっていた。攻略組は防具の調整に大分苦労しているらしく、当て布や、当て綿花?などをして鎧と体の隙間を埋めたりしていたらしい。

 中にはかなり豪華そうな金属製の鎧を出す人もいた。妖魔の武将から回収したものらしい……どんだけ戦ってたんだろう……ってか、なんか変な感じがする……魔法の鎧か?

 気が付くとジンパチさんの横には金属鎧や魔獣の皮、石炭らしきものや魔法鉱石の原石? などが積まれていった。報酬……なんだろうな。お金が無い世界だし。

 魔獣も手軽……ではないだろうけど相当量を狩ってたんだろうな。


 あ……

 これだけ戦力があれば……いけるか? 雰囲気的に手を貸してくれそうな気もするし……


「ジンパチさん……今なら、巨大イカ……やれませんかね?」

「……やれ……そうですね。安全に魚と塩を取り放題ですね……」

「やれるならやっておきましょう」


 そこまで大きな声で話をしてい無かったのに周りがすぐに反応をする。


「魚食べ放題?」

「巨大イカ?」

「海の魔獣か?」

「海が近いんだよな、ここ?」

「……あのバリスタあれば余裕じゃないの?」

「明日やるんだったら協力……させてくれ。うまい飯あればやるぞ?」


 攻略組から援軍の申し出があり、なんだか知らないが一瞬にして明日の予定が決まってしまっていた。

 アッシュさんもいつの間にか溶け込んでいて参加してもらえる事になった。

 カタコトでも言葉が分かるようになると色々違うみたいだな。ウィンディードさんに感謝だな。

【鬼人族語の辞書が大分役に立っている様ですよ?】

 ……それはよかった……ってか俺、あんまり使えて無いんだけど……

【今はウィンディードが管理している感じですね】

 確かに勉強家なんだよなぁ……片時も離さないし。



 §  §  §  §


 その夜は、ほとんどの者が疲れ果ててすぐに寝入ってしまったようだ。

 最初の見張りを志願したとはいえ……やっぱり疲れて眠いな。ステータス上がってもこの辺は変わらないのか。



 複数の月明りに照らされ、木が切り倒されて大分見晴らしがよくなった砦の周辺を見ながらログを確認する。

 今日もだいぶ脱落したみたいだな……

 自死、プレイヤー、魔獣……

 そろそろ二百人を超えそうな勢いだな……残り百人からカウントを始めるって言ってたし……まだまだ先の話になるのかなぁ……あ、スキルレベルの確認をしないとか……


 人の気配がするので振り返ると、サチさんが見張り台の方に登って来ていた。

 ……なんか色々と妖艶な雰囲気が出てるなぁ……不思議な人だ。

「あら? 今日は恋人さんと一緒じゃないのね。いつも一緒なのに」

「あ、どうも。恋人……はいませんよ?」

「……え? 恋人じゃなかったら……」

「……付き合っているわけじゃないので……」

「……そう、あちらの世界で別の方と結婚されてたりするのね」

「あ……あちらの世界ではふられたばっかりなんでフリーですね……」

「……そ、そう。ごめんなさい。色々とデリカシーが無かったわね……てっきり……」


 凛とした感じの人だが……さすがに申し訳なさそうにしているな……

 ……何の用事だろう? 


「ねぇ、あなたとナオエさん……私たちと一緒に行動しない?」

「……え?」

「この拠点、おそらく当面は大きな脅威は無くなっていくと思うの。だとするとあとは……誰かに攻略されるのを待つんじゃなくて……私たちと一緒に黒結晶の破壊をしてゲームをクリアしてみない?」

「……あ」


 そうか……逃げ回って攻略されるのを待つつもりだったけど……そういう手もあるんだなぁ……


「あまり考えていませんでした……」

「……意外ね、あそこまで強力なスキルを複数持ってるのに……」

「……棚ぼた的に拾ってしまった感じで……増やそうと思ってはいなかったんです」


 俺は視界に入った小妖魔の三人組に向けて『自動追尾』で妖魔の槍を放つ。スキルが上がったおかげで、妖魔が何かに気が付いた瞬間に突き刺さるようになっていた。


「……本当に便利なスキルね……」

「ですよね、これ拾ったら劇的に楽になりましたからね。大型には効き目薄いですけど……」

「倒して奪った訳ではなかったのね」

「このスキル持ってた人が目の前で巨大ワニに食べられてましたね」

「……ああ、噂の破裂した魔獣ね……自爆攻撃って話になってたわね」

「……自爆……」


 自爆? ……そうか、四次元収納ポーチに大量に物資を入れた状態で相手に食べられて死ねば……全部出てくるから……確かに自爆テロ状態だな……


「……俺とナオエさんだけなんですか?」

「そうね。ほかの仲間は誘わないで頂戴。討伐したエーテルを頭割りして分けられるから……どうしても成長が遅くなってしまうから」

「……考えさせてください」


 ……どうしよう……確かに……この人たちと行動をすれば……攻略が出来るかもしれない。

 妖魔の将軍を倒せたのだってこの人のアドバイスが無ければ……どうなっていたかわからない。


 攻略を目指した方がいいのかなぁ……


「何日かはこの周辺を探索するつもりよ、数日は返答を待つわ……それじゃ、私は寝るわ。おやすみなさい」


 サチさんの後ろ姿を四つの月が照らしていた。この返答で俺のこの世界での将来が決まる気がしていた。


 本気で今後どうすればいいんだろう……

【……攻略してみてはどうでしょうか? カタシはこの世界にずっといたいのですか?】

 ……早く帰りたい……気もするけど……楽しんできているのも事実なんだよなぁ……

【やはり楽しみ始めてましたね……】

 ……あちらの世界じゃこんな拠点とか……簡単に作ることはできないからなぁ……


 今更ながらスキルの力がチートすぎて面白くなってきている自分に気が付いていた。

 あちらの世界じゃ得られなかった達成感がすごいんだよなぁ……


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