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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第69話 黒いナニカ

 ウィンディードさんがアッシュさんの元に駆け寄る。


「アッシュ! ###! ##########!」

((アッシュ! 遅い! 魔人化して危険だった!))


「###、##################。######!」

((すまん。飛竜が恐怖で言うことを聞かなかった。奴らが来るぞ!))



 何が起きてる?

 言葉がわからなくてもどかしい……

 ウィンディードさんが話している表情からすると、大丈夫……には見えないな。

 緊迫した何かを感じる。


 仲間達も空気を感じたようで、周囲を見まわし不安、恐れ、敵視……色々な感情が渦巻いていた。


 サチさんとリキさんの雰囲気が変わる……

 あ、アッシュさんの事は砦の仲間には伝えていたが、他には伝え忘れてた……

「サチさん、リキさん、彼は仲間!!」

「そうだよ! 彼は鬼人族の戦士長なの!」


 リンカさんがフォローを入れてくれる……え? 戦士長だったのやっぱり?

 どおりで彼からは強い力を感じていたわけだ……槍投げ君の槍も軽々とキャッチしてたもんなぁ……

 俺たちの発言で強い敵対心は解けるが、警戒の色は変わらなかった。

 俺も……何かおかしい感じがするんだよなぁ……


 ナオエさんがいつの間にか近くに戻って来ていた。

「ウィンディ、どうなってるの?」

「テキ、クル、ツチカラ」


 ウィンディードさんが地面を指し示す。

「土……地面ね……」

「……嫌な感じはするけど……見えないな……」


 アッシュさんが振り返り、剣をかざして方向を刺し示す。

 すると、城門のあたりの地面に黒く歪んた空間が出現し、黒い靄をまとった巨大な人型の蜘蛛のような生物が這い出てくる。

 突然、地面に黒い穴が開いたかのような錯覚を受ける。地獄からの使者の様だな……

 それにしても大きい……立ち上がると十メートルはありそうだ……身体の変な場所から手が生えている様に見える……気持ち悪い……手足が妙に長い……本当の蜘蛛人間か……


 ジンパチさんが前衛の攻略組に質問をする。

「……あれが中央の山に出て来るやつですか?」

「そうです。こんな所に……」

「厄介なんです……武器で殴りつけても弾かれたりして……」

「姿は違うが……同じだな……あの黒い煙みたいのを纏ってるし……」

「確か前も魔獣の群れを倒した後にできたな……もしかして、大量に魔獣とか妖魔を殺すと出て来るのかもな……」


 確かにあり得そうなシチュエーションだ。手で空中にある何かをつかんでは口に運んでいるが……何を食べている? 俺たちには見えない何かを食べている感じもするが……

 開けている口を見る限りは人間ではない、悪魔のような歯をしている。サメみたいな歯だ……


「でかいな……」

「今まで見たやつで……一番でかいです……」

「強い力も感じるな……くそっ……」

「どうするの?」


 ウィンディードさんが、困った表情を浮かべながら頑張って伝えてくれる。

「カタシ、マホウ、エーテル……ツカウ。アレ、コロセル」

「……あ、ありがとう……魔法か……出来るなら戦わずに穏便に……」

「……気が付かれているわね……」

「そうみたいですね……」


「####……################……」

((一匹か……はぐれている今がチャンスなのだが……))


「################?」

((あれが襲ってくる可能性はあるの?))


「################……」

((すでにこちらを獲物として認識しているようだ……))


「#####……###########……」

((そんな……ここにいる人達の速度じゃ逃げられない……))



「黄金の鷲」のメンバーが前に進み出て戦闘態勢を取る。

 大きな盾を持った女性が俺たちの方を振り返る。その表情は緊張に包まれ絶望に包まれていた。

「……あなた達は逃げなさい……あれはステータスが上がってても厳しいから……」

「おまえらSP使いすぎただろ? 後は俺たちに任せろ」

「俺らの方がSP残ってるからな!」


 カエデさんとコウタさんもいつもと違う真剣な表情で武器を構えなおす。

「後は私たちがなんとかします。美味しいごはんで出迎えてくださいね」

「魚の塩焼き希望……絶対帰ってやる……」


 彼らはあれと戦う気か……俺たちにはどれくらい相手が強いかわからない……

 あの黒い靄が問題なんだろうか……

 空気を察知したアッシュさんとウィンディードさんが臨戦態勢に入る。


 確か普通の武器は効きにくいって言ってたな……妖魔の将軍の半月刀はどうだろう? 不思議な力を感じるけど……

「リキさん、妖魔の将軍の武器使えます?」

「ん? ああ、持てると思うが……」


 カンジさんが武器を見てアドバイスをくれる。

「それ、魔法の武器だ。振れるなら使ったほうが良い」

「……呪われたりしないだろうな……」

「大丈夫だ、『鍛冶』スキルの武器鑑定だと……エーテルを纏った魔法の武器……としか出てない」

「わかった。ありがたく使わせてもらう」


 黒い靄を纏った巨大蜘蛛人間はゆっくりとこちらに振り向き、こちらの事を見ている。動きが不気味だ。真っ当な生物に見えない。

 地面の両脇を削った一本道だったため歩きにくいのか、かなりゆっくりの速度だ……

 今なら攻撃を当て放題なんだけどなぁ……弾が残ってればなぁ……SPもだけど……


「皆さん、ちょっと待ってください! 目つぶしします!!」


 ライトさんが発光補助具を持って前の方へと進み出る。『光る』を使うのか。

 少しでも俺たちの力が足しになってくれればいいんだけど……


「行きますよ! 目をそらしてくださいね!!」


「#?」

((え?))

「アッシュ! #####!!」

((アッシュ! 目をつぶって!!))


 ピカッ!!!!!


 目をそらしても物凄い明るさなのが分かる。眩しさが消えると同時に巨大蜘蛛人間を見ると……

「なんかいつもより明るかった!! って、え?」


 ……あれ?


 なんか黒い靄が吹き飛んで、不気味なしわくちゃな体表が見えている……いちおうボロ切れみたいな服も着てたのね。

 その場にいる人間が驚き、ライトさんの方を注目する。

 アッシュさんは目を隠すのが遅れた様で眩しそうな眼をしている……言葉が伝わらないのは厳しいね……


 もしかしなくても、『光る』を使うと……黒い靄が消えるのか? LEDライトの代わりにしか使えないと思ってた……

【……ちゃんとスキル説明を読まないからそうなるのです……】

 ……そういえば、彼の……ライトさんのスキルの事をちゃんと聞いてなかったかも……

 光るだけじゃなかったのか? よくあるファンタジーゲームみたいに魔族の力を弱めるとかか?


 前衛達の絶望に包まれた表情が一気に華やいだものとなる。


「……チャンスね……」

「靄が消えた……」

「あれが消えたら……妖魔と変わらないんじゃないの?」

「そうかもな……」


「イマ、コウゲキ、ダイジョウブ!!! イク!!」


 ウィンディードさんの一言で前衛の意思が決まったようだ。表情に絶望感が消えていた。


「行くぞ!!」

「おう!!!」


『####!!!』

(( 行くぞ!!!!))


 リキさんとアッシュさん、盾をもった女性戦士が巨大蜘蛛人間に切りかかる。

 彼らが一振りするたびに、巨大蜘蛛人間の細長い腕が切断されて吹き飛ぶ。


「グギャァアアア!!」


 巨大蜘蛛人間は痛みで苦しみながらも反撃をするが、盾持ちの女性が綺麗にブロックし、カウンターで腕を切り飛ばしていく。

 力任せに腕を振り回しているが、前衛の三人は完全に見切っている様で、受け止めて腕を切り飛ばしていった。

 切り飛ばされた部分からは黒い煙の様なものがまとわりついている。血というものが無いのだろうか?


 巨大蜘蛛人間は大きく後ろに飛びのき、体中に黒い靄を地面から呼び出し体にまとい始める。

「ライトさん!! お願いします! 皆さん目をそらして!!」


「行きますッ!!」


 ピカァ!!!!!


 とんでもない光量で周囲は真っ白になる。若干目が焼けている気がする……


「グゲゥ、グギャァアアア……!!」


 目が慣れる頃には前衛の攻撃で巨大蜘蛛男の体が両断され、首が跳ね飛ばされていた。


((……なんと……こんな簡単に……))

「……###……######……」


((……鬼人化しなくても刃が通ったね……))

「……###############……」


 巨大蜘蛛男は頭や手足が切り離されてもまだ動いているようだった。

 アッシュさんが歩み寄り、心臓付近に剣を突き立て、石の様なものを取り出す。

 それはとても禍々しい雰囲気を纏い、見るからにヤバいモノだった。


「……なんだよあれ……」

「ヤバいモノ……だな」

「あれが心臓? コアか?」


 あまりの禍々しさに皆がドン引きしている感じだった。


「あ、私、『浄化』してみます! できそうです!」

 ヨウカさんが禍々しい石に近づき、スキルを発動させる。

 え? 近づいても大丈夫なのか? あれ?

 アッシュさんも驚いた表情をしているけど??


 すると禍々しい石から黒い何かが煙のように吹き出し、やがて消えていく……

 そこには黒い大き目の魔石の様なものだけが取り残された……


「え?」

「黒い結晶???」

「……もしかしてこれを壊せば終わり?」

「ゲーム終了?」

「まじか……」


 え? ええ?? そうなの? アーゼさん?

【似ていますが……これではありません。なるほど……そういう事ですか……】

 ……そういう事とは?

【私たちにも詳しいことは知らされていないのです。この世界の管理者の思惑はわからないので……】

 ……なるほど……教えてくれない感じか……


「違うみたいだ。それがクリア条件じゃないみたい」


 俺の一言でその場にいた日本人全員が驚いていた。

 え? なんで? みんなナビに聞かないの??


「何で知ってんの?」

「あれ? マニュアル更新されてたとか?」


「あ、いや、アーゼさん……ナビに聞いただけ何だけど……」


「あ……」

「……最近使うのを忘れていたわね……」


 プレイヤー達がこぞってぼそぼそとつぶやいたり、何かを念じているようだった。

 自分のナビに問い合わせをしているんだろうな。

 あれ? 今の蜘蛛人間の討伐ログが出てないけど……どういう事だろう?

 強そうだったからステータスアップ……スゴイするんじゃなかったのか?

【……どうなっているんでしょう? 問い合わせてみます】


 ……アーゼさんでも分かんないことあるのね……


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