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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第66話 妖魔の砦攻略準備

 27日目


 メインの砦の壁と堀の作成は終わってきたので、妖魔の砦の攻略兵器の製作に入っていた。

 と、言うよりみんなが自主的にそちらの作業をしていた……

 やる気が凄いんですが……どうしたんだろう?

【どうやらここが正念場と思っている人間が多いようです】

 え? なんで?

【妖魔の砦を何とかすればしばらくこの地は平和でしょうから】

 ……たしかに……妖魔さえ何とかすれば、巨大生物の糞とかも発見できなかったから、この辺はかなり安全になるからなぁ……


 話を聞くと、みんな妖魔には嫌な思いをさせられてるみたいだし。


 言われるがままに色々な素材の作成を手伝い始める。


 組み立て式の巨大クロスボウ? いや、スリングか? 組み立て式の巨大な発射台兵器だけでなく、辛い粉が入った包みや、吸い込むと涙が止まらないと言う薬草をいれた包みなど……投げつけるのだろうか? 乱戦になってから投げると自分も吸って大変なんじゃないかなぁ?


【話を聞いていると、ショウコに上空から爆撃してもらうらしいですよ?】


 なるほど、それでさっきからショウコさんが上空を飛んで目印に向けて石を落とす練習をしてるのか。推進力と高さ分の誤差があるから百発百中は難しそうだな。



 ドムッ!


 石で試しているけど……土に落ちても結構いい音がするんだな……


 それからも何か色々頼まれて木材や鉄のカットを依頼される。

『削る』でかなり自在にカットできるから、電動のこぎりがわりだよなぁ……それにしても量が多い。心を無にして印と指示通りに削っていく……気が付くと木炭とかで線を引いている……いつの間にか文明が進歩していた様だ。

 そうこうしている間に巨大バリスタの試作型が出来上がる。

 バリスタ……というより、巨大スリングだな。テレビのバラエティ番組で見たような気もしなくもない。射出レーンが長いのは槍でも撃つからか?

 言われるがままに『弾力』をかけた弦を皆で引っ張って装置で固定する。弦が鉄製なんだけど……どれだけ威力出るんだ……これ?


 え? 弾は……弾はこれ?

「……え? 木の柱? 丸太?」

「はい、恐らくですか真っ直ぐ飛ぶかと思いますので……」

「……飛ぶの? それ? まっすぐ? こんな大きいのが?」

「計算上は……おそらく、50メートルは摩擦ゼロですので」

「……え、なんですか? そのチート」

「サツナさんの『滑る』ですよ」

「ああ、滑っちゃうんですね……空気も……」


 アヤノさんが細めの丸太をバリスタと思われる発射台に置く。先っぽをとがらせてあって巨大な槍みたいな感じだ……

 細い丸太といっても……恐らくアヤノさんの『重量操作』じゃないと持ち上げられない重量だろうけどね……サツナさんが丸太槍と弦のロック部分に『滑る』をかけて手を上げる。

「準備オッケーです!」


「では、発射!」


 ジンパチさんが巨大バリスタに設置してあるレバーを引くと、轟音と共に丸太槍が射出される。


 ボーン!!! ブォーーー!!   ガアァン!!!


 百五十メートル先の木に丸太槍が直撃する。かなり水平にまっすぐ進み……当たった木もえぐれて削れてしまっている。自然破壊兵器か?

「距離と角度測定できました」

「想定よりはぶれますね……ですが誤差の範囲です!」

「先端を少し重くしたいですね。安定しそう」

「……この威力で生物に当たれば……」

「……そうですね……恐らくゾウとかは一撃で倒せそうですね、巨大妖魔って言ってもでかいだけだろうから」

「今からだと……あと三つほどは作れるでしょうか……」

「あとは『回転』カタパルトのテストを……」


 何やら色々言っているけど、大丈夫だろうか……乱戦になる前に遠距離で何とかするのか?

 そんなことを考えながらも、言われるがままに目の前の木材を『削る』で削っていく。日曜大工の範疇を超えてるな……まるで工房だ。加工系スキルの人間はひたすら働いている感じだなぁ……


 作業を進めていくと、戦記物で見たような投石機が完成していた。カイトさんの『回転』で投石機の縄が巻き上げられ、かなり大きめの『岩』が射出される。

 二百メートルは飛んでいったが……何かブレブレだな……

「難しいなぁ……」

「検証が必要ですね」

「狙いを定められるバリスタ一本でやった方が良いかもしれませんね」

「……想定では門からの一本道が形成されるので……そうなりますね」


 カイトさんは本気で悔しそうな表情をしていた。

「くそっ、やっと活躍できると思ったのに」

「……プランBの中型『回転』レールガンも作ってみましょうか……」

「あれですか、あっちの方が狙い付けられそうですよね!」


 ……この人たち何言ってんだるんだろう……

【私にもわかりません。色々な知識を端から試しているみたいですね】

 なるほど……たしかに男性たちの目がキラキラと輝いているな。


 それからも色々なアイディアが出たようで兵器が開発されていく……

 細めの丸太の周りに大量の妖魔の槍を括り付けたもの。なんでも射出したら『固定』を解除してもえれば散弾に……って、スキルありきの攻撃か……


 ライトさんの『光る』を利用したフラッシュ。磨いた鉄を半球状にしてサーチライトみたいにして仲間に被害が出ないようにした? 

 ……ってか、それでもすごい眩しい……え? まだ最大出力じゃないの? これって目つぶし兵器になるんじゃ……失明レベルな気がするんだけど……


 気が付くと、カンジさんが作った鉄の槍と飛竜の皮で補強された盾、全員分の皮鎧’(飛竜の皮つき)が完成して準備万端になっていた……

「……あの、全員分あるように見えるんですが?」

「ああ、なんかみんな参加するみたいだぞ?」

「……え、みなさん? ……戦うのが嫌で引きこもっていたんじゃ?」

「ん、まぁ、俺も気持ちはわかるからな……サイズはどうだ?」

「……あ、ぴったりです……」


 俺は作業を見守っていた女性陣の方を思わず見てしまう。

「まぁ、この砦来たら……熱意にあてられるのもありますし……」

「安全な生活がしたいですしね」

「ご飯が美味しいですからねぇ……あ、『位置交換』のテストしてきます」


 重症を負って生死をさまよい、一番妖魔と戦いたがらなかったカンコさんがバリスタの射出するところに寝転び、脇に置いておいた丸太槍と『位置交換』をする……きれいに弾が装填……って、それでいいのか?? 装填するためだけに『位置交換』?


「成功ですね、消費SPは距離が近いのであまり多くないですね……100発以上は行けます」

「なるほど、これならアヤノさんを別の場所で活用できますね……フフフ」


 ジンパチさんに話をふられたアヤノさんは慌て始める。

「あの、私、あまり……荒事には……」

「大丈夫ですよ。基本的に遠距離攻撃ですので……多分」

「多分……」

「大丈夫! 私が守るから!」

「……リンカちゃんがそう言うなら……本当に大丈夫かしら……」


 どうやらアヤノさんも戦略のうちに入っているようだった……まぁ、あれだけ重量のある盾を持ち運びできる人は彼女しかいないからなぁ……投岩攻撃してもらったりしないと駄目だろうし。


 準備であわただしくしていると、「黄金の鷲」のカエデさんのもとに、鷲の様な生き物が降り立っていた。

 ……金色の鷲?? だから黄金の鷲か?

「連絡がきました。明日の早朝で大丈夫とのことです。現地集合で」

「わかりました。それでは明日の朝に」


 ……なんか着々と決まっていく……そろそろ心の準備をしないと……

【まだできていなかったのですか?】

 機動力がないからなぁ……俺とナオエさんだったらいつでも逃げれるから安心なんだよね……

【なるほど、仲間が心配なのですね】

 ……そうだね……逃げれないからな……


 あれ? ナオエさん……いないな……あと数名いない気が……

 あの二人組もいないし……どこいった?


 夕方近くになると、ナオエさん達が戻ってくる。あれからも作業に没頭していたのであっという間だった。

 ジンパチさんが凄い速さでナオエさん達の元に近づいていく。

「おかえりなさい、どうでした?」

「ばっちりよ。ちょっと見張りと巡回を倒し過ぎたかもだけど……」


 ナオエさんが同行していたリキさんとサチさんの方を見る。

「ごめんなさい、調子に乗りすぎたわ……」

「すまん。俺たちがいなければもっとスマートにできたんだろうが……」


 すまなさそうにしているが……妖魔の数を減らせればそれだけ安全になるから良いんじゃなかろうか? あれ? 違うのか?


 ジンパチさんは倒した妖魔よりも気になることがあるようだった。普段は丁寧な受け答えをするのだが随分焦っている感じだ。

「あ、それで例の……外堀の方は……」


 あれ? ケイさんも連れて行ったのか……

「上手くやれたと思うっス。砦の後ろと側面をばっちりっス! しっかりと掘っておきました! 絶対大丈夫っす!」


 ……なにをしてきたんだろ……うまく行ったと本人は思ってるみたいだけど……

 さすがのジンパチさんも頭に「?」が浮かんでいるようだった。


「……うーん、あ、こちらへお願いします……模型を使って話をしましょう……出来れば深さなどの情報も……」


 昨日作成した妖魔の砦の模型の周りに土が盛られ、なんだかさらにリアリティが増していく。土で地形を模しているのかな?

 そこにケイさんが穴を指で掘り……砦の側面と後ろをかなり彫りこんで……

【なるほど……後ろから逃げない様に高さを確保したのですね】

 ……だよねぇ……完全殲滅を狙ってるのか? まぁ、撃ち漏らすと他のプレイヤーも大変だろうし、鬼人族も被害を受けるからかぁ……

 案だけ細い道を作ればリンカさんの『プレッシャー』の良い的になりそうな地形だな。


 模型の状態を見て仲間達が驚いている感じだった。

 確かに……野球場くらいの広さの砦の四分の三を囲むように幅七メートル、深さ五メートルくらい凹ませてるんだから……地形操作のコスパの良さと、妖魔の気づかれなさっぷりにびっくりだ……もしかして見張りは全部倒したのか?

「……大分よい感じに仕上がっていますね……ここまでやっても妖魔が騒がないとは……あとは当日どれだけバレずに正面を削れるか……ですね、あ、砦の様子はどうでした?」

「裏口は無いから正面ばっかり警戒しているかんじだったかな……私たちが見張りを倒し過ぎて警戒態勢になってるかも……」

「うーん、今晩はそのまま引きこもってくれると嬉しいんですが……」

「まだ他のエリアから逃げ込む妖魔がいるから……まだ大丈夫だとは思う……」


 それからはミニチュアのバリスタや作成した駒、なんとなく全員のスキルなどが描かれ、誰がどこにいるか分かる感じのものを使って作戦会議が行われていた。


 作戦を見る限りは……要するに地形操作で正面入り口以外からしか出れないようにした上に、遠距離攻撃を当てやすいように一本道にして……って地形操作が要の戦いになるのか……地形操作する前に見張りを全部倒して……気が付かれたら囮を使って、場合によってはショウコさんのトウガラシもどき爆弾を投下しまくり……相手が門を開錠して出てきたら遠距離攻撃でせん滅……かぁ……


「あの、これ、うまく行くんでしょうか?」

「地形操作するカイさんをどれだけ守れるかにかかってますね。ナオエさんがうまく立ち回ってくれるでしょう。地形操作があまりうまく行かなくても、最悪城門に攻撃を集中させて封じ込める感じですね」


「困ったら私の「プレッシャー」で押し返してアヤノさんが岩投げて入り口を塞げばいいのね?!」

「……リンカちゃん……そんな簡単に……いえ……確かにあなたは簡単にいろいろやってたわね……」


 確かに一本道の狭いエリアになったら……リンカさんの『プレッシャー』はものすごい威力を発揮するな……相手の弓矢も弾き飛ばしていけるし……これなら失敗しても足止めできるから大丈夫か……妖魔もトウガラシもどき爆弾で動けないだろうし……


 作戦会議に参加をしていたリキさんが腕を組みながらぼそりとつぶやく。

「しかし、妖魔というのは……バカなのか?」

「……そうね、砦に裏口も作らないなんて……」


 確かに二人組の言う通りに……アホだよな……もしかしたら地下道があるかもしれないけど……

「もしかしたら地面に逃げ道があるかもしれませんが、カイさんの地形操作で塞がっているかもしれませんね」

「あ、自分の『地形操作』地面を粘土みたいに押す感じですから、あれだけの量を押したら洞穴とか塞いでると思うっス」


 それからはさらに詳細な作戦が話し合われていた。

 攻略組、「黄金の鷲」の二人と援軍予定の精鋭5人は前衛を務めてくれ、崩壊したら妖魔たちをブロック、攻めるのに成功したら切り込んで進んでくれることになった。

 リキさんとサチさんはこの砦のメンバーをなるべく守るように動いてもらう事になった。

 美味しい料理のためなら頑張ってくれるそうだ。

 ……心強いのか?


 会議が終わるころにはウィンディードさんもフクロウで仲間に連絡をしてくれた。

 運が良ければ援軍をもらえるかも……との事だったが、色々と戦いが巻き起こっているので来れないかもしれない……と残念そうにしていた。

 プレイヤーとテストプレイヤー、魔獣と妖魔とこの世界の人間……鬼人族視点で見たらかなりの無理ゲー状態だな……こんなところに好き好んで住みたくないなぁ……


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