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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第64話 二人組の男女 (後)

 §  §  §  §


 リキさんは声を出さずに涙を流しながら夕ご飯を食べていた。

 サチさんから普段の余裕の表情は消えていた。

 一口唐揚げを食べるたびに空を見上げ、涙をこらえている様に見えた。


 今日は暖かいごはんに、魚の塩焼き、翼竜の醤油から揚げと山菜貝出汁味噌汁だった。なんだか漬物みたいのもあるし……栄養が豊富すぎる気がする。

 それにしても醤油唐揚げが滅茶苦茶うまい。いつの間に油なんか抽出したんだろ?

 この感じだと何かごま油みたいなやつか? ……不思議な感じだ……一口噛むだけで幸せな気分になれる。


「アヤノさん、滅茶苦茶うまいです。油はいつの間に生成したんですか?」

「ふふ、これも「家事」スキルのおかげなのよね、すぐ近くに油になる実の群生地を見つけたので生成してみたの。ジンパチさん達が油生成用の石臼とかすごい速さで作ってくれて……みんな物凄く協力的だったわ」

「そりゃ……唐揚げ系好きな人……いるでしょうしねぇ……」

「ええ、まさか出来ると思っていなかったわ」


 周りを見ると、普段美味しい料理を食べているメンバーの目にも涙がうっすらと浮かんでいた。揚げ物をこの世界に来て食べれるとは思ってなかったよね、やっぱ。


 しばらくして場の雰囲気が落ち着いてきたところで、カエデさんが話しかけてくる。

「それで、妖魔の砦を破壊すると、米と味噌と醤油が報酬って話ですが、どれくらい貰えるんでしょうか?」

「!」

「!!!」


 カエデさんの発言にサチさんとリキさんが強烈に反応をしていた。

 やっぱり米と醤油はキーアイテムだよなぁ……たった今試食会したようなもんだもんなぁ……

 男子たちに囲まれていたウィンディードさんを引っ張ってきて説明してもらう。最近、片言鬼人族語と日本語によるコミュニケーションをするのが流行ってるんだよなぁ……まぁ、ウィンディードさん可愛らしいし、そうなるよな。鬼人族って言うより、角の生えた美人コスプレイヤーみたいに見えるしな、最近。


 ウィンディードさんの話をまとめると、現在の想定では大体40人が二か月食べられる量の米の支給になる……とのことだった。醤油も樽くらい貰えるみたいだから……分ければこちらも2か月以上は余裕で持つか。

 リキさんとサチさんが身を乗り出してくる。

「いつやるつもりなんだ? 妖魔の駆除だったら手伝うぞ?」

「そうね……大妖魔が少なければ何とかなるわ」


 ……大妖魔?? そんなのいるのか??

 ナオエさんが俺の服のすそを引っ張る。

「カタシ君、まだ遭遇してないと思うけど、大体普通の妖魔の3倍近いサイズの巨人タイプがいるの」

「……えっと、強いよね……多分……」

「そうね。私は逃げるだけだったから知らない……あとはいつもより一回り大きい妖魔とか色々いるから注意よ」

「いつもの妖魔が沢山いるだけ……じゃないのね」


 いつものサイズだったら……遠距離から槍をチクチク投げて行けば何とかなると思うけど……大きいのだと厳しいか?

 これは偵察して砦の中の様子をみてくるしかないな……千里眼みたいなスキル持ちがいればいいけど……いないもんな。

「本気でやるなら私が明日の早朝に偵察に行くけど……」

「……俺もついていきたいけど邪魔だよな……」

「そうね、私と風の魔法が使えるウィンディと、空を飛べるショウコさんくらいしか偵察には向かないわね……」


 その場ではナオエさんが明日の偵察の内容次第で今後の予定をどうするか決定することになった。

 彼らはしばらく滞在……というより、美味しい料理にありつける方がうれしいようだな。

 ちょっとした旅行気分なのかな?


 丁度、攻略組もいたので、気になっていたことを聞いてみた。

「そういえば、黒結晶についての情報って、なんかあります? 破壊までどれくらいかかるかとか……」


「黄金の鷹」の二人が腕を組んで悩み始める。

「……うーん。話していいものなんだろうか……」

「……まだ姿かたちすら見てないんだから……話すも何も無いんじゃないの?」

「……そうだなぁ……とりあえず、ほら「カミ」が島の中央の山に「黒結晶」のイラストを描いてただろ? なんだけど、中央の山に近づけば近づくほど、瘴気をまとった黒い魔獣が出てくるようになって中々進めなくなっているんだ……」

「けが人が大量に出る前に一旦退散して、食料の確保とスキルアップ、できれば妖魔と魔獣を狩ってステータスも上げようという話になったの……」

「それで俺たちはこの拠点に来て、塩の調達と、食料の調達、浄化された水の依頼に来たんだけど……」


 ……黒い魔獣って……いつだが朝方に遠目で見たあれか……やっぱり強いのか……

 コウタさんが新設された鍛冶場の方を見る。炉もさらに一つ増え、なんだか工場みたいになっている。形状もなんか……見た事のない形になってるんだけど……


「まさか鍛冶場を開いているとは思わなかったよ、まだ1週間経ってないのに……」

「妖魔の拾い物の武器だけで戦ってるようなもんだからなぁ……ちゃんとした武器欲しいよね」

「得意武器と希望武器とか聞いた方が良いんだろうな」


「リキさん、サチさん、中央の攻略、手伝ってくれないか?」

「……考えておくわ。お互いステータスもスキルレベルもだけど……それ以前に武器が足りていないと思うの」

「そうだなぁ……黒い魔獣は……なんか、武器の力が吸収される……ってか変な感じだからな」

「一応、こん棒でぶん殴ったらよろめいてたぞ?」

「……あんたのスキルが無いとああはならないと思うけど……」

「例のホームラン攻撃よね?」


 ……黒い魔獣には物理的な攻撃が効きにくいのか??

 リキさんの一撃が効いてるって事は、物理攻撃でもある程度の高い威力があれば通じるのか?


「……銃は効かないのかな?」

「銃?」

「あの中世っぽい人たちが持ってるやつね」

「火縄銃かぁ……」


 皆目撃をしてはいるのか……話はしていない感じか?

 俺はこの間、海賊達から接収した銃を取り出す。

「おお、アンティークな……」

「すごいのね……そんなものまで……撃てるのか?」

「火薬はもらったから……何発かは撃てるけど、うるさくてあまり試して無い感じ」

「……あ、そうか、音出ると妖魔と魔獣呼んじゃうもんなぁ……」

「うるさいスキルは非常時以外使用禁止だもんね……」


 ……そうか、スキルもうるさいと使用禁止になるのか……爆発とかか? スキルレベル上げはどうするんだろ? 爆発音とかしなくなったのはそのせいか?

 ふと気が付くと、サチさんがじっと銃を見つめていた。


「おそらくだけど、その銃より、あなたが投げる槍の方が活躍すると思うわ……人間には有効だと思うけど……黒い魔獣だと、得体のしれない力が働いて表面ではじかれてしまうかもしれない……」

「私もそう思う。スキルを駆使して威力を上げた物理攻撃とかしか通らなかったから……」

「殴るとぐにゃっとした変な膜がある感じなんだよなぁ……」


 そうなると……あとは魔法かぁ……

「ファンタジーとかだと、魔法の武器が定番なんだけどなぁ……」


 話を黙って聞いていた『鍛冶』スキル持ちのカンジさんが前に進み出てくる。

「もしかしたら……魔法金属ってのがあるみたいだから、それを加工して武器作ってみる?」

「出来るの?」

「あともう少し炉の温度を上げられる工夫をすれば行けるみたいだ」

「……なるほど……」

「あと、俺のスキルで、武器や道具の状態をみれる。この間に見せてもらった「豪華なサーベル」が魔力を纏っていたぞ?」

「……やっぱあるのね……魔法の武器……」

「黒い魔獣とやらに通じるかどうかはわかんないけど……ちょっとジンパチさんと話をしてくる」


 行動が早いなぁ……みんな。攻略組の目も何か輝きだしてるし。


「この拠点……もしかしたら中央の山を攻略するのに必須になるのかもしれないわね……」

「そうですね……魔法の武器……食料……塩……」

「でかい街になりそうだな」


 気が付いたら……塩の生産だけじゃなくて……なんかいろいろと価値を高めてくれているな……みんなが集まって協力してくれてよかった……


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