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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第63話 二人組の男女 (中)


 翼竜の解体が始まる。

 重量はそこまでではなかったので、二人分の滑車でつり上げることができていた。巨大イノシシよりは軽い……んだけど、力はこっちの方が強い……と思えたので、やっぱりエーテルなんだろうなぁ……強さの基準って。

【そうなりますね。物理法則的にこの固体はエーテルが無いと飛べませんから】

 ……凄い世界だね……ここ。魔法で空を飛んじゃうか……

【魔法ではなくエーテルです……】

 ……エーテルが凄い感じなのね……


 ナオエさんが、彼らは今のところ安全……と女性の勘でアドバイスをくれる。

 支給されたサバイバルナイフは翼竜の固い皮膚も簡単に切り裂いてくれた。本当に助かる。

 あまりに切れるので、興味を持ったウィンディードさんに渡そうとしたが、何か見えない力にはじかれて持てないのは意外だった。支給品は現地人には使わせない……って感じなんだろうか?


 俺たちは翼竜を解体しながら雑談をしていた。

 体格の良い武道家の様な男性は「リキ」、妖艶な女性は「サチ」と名乗った。


 彼らはスキルオーブを求めてこの島を色々と行ったり来たりしてるらしい。

 何となく濁していたが『追跡』とか『探知』とかダウジング……みたいな何かのスキルを持ってるみたいだな。

 それか、地図とログからこれ以上に情報を得られるスキルかもしれない。


 彼らの話だと島の中央は派閥抗争真っ只中で、戦国時代とか、ギルドによっては階級社会みたいになりつつあるらしい。一部の攻略組と一緒に大型魔獣を倒すときに情報を得たりしていたらしい。

 魔獣と妖魔を倒してステータスをあげ、スキルオーブを回収して、妖魔と魔獣を楽に倒せるくらいになったが、食欲には勝てず、美味しいごはんを探しにこちらに来た……と言う事だった。最悪、海で塩を持ってかれれば……くらいに考えてたみたいだ。


 色々と詳しい話を聞こうと思ったので、食べ物で接待をして口を軽く……できればなぁ……酒の開発はやっぱり必要だな。

【ですから、酒は駄目ですよ。スキルの暴発率が非常に上がります】

 ……スキルが無ければいいのか……


「ナオエさん、どうしよう? 彼ら連れて行く?」

「うーん、任せるよ……」


 サチさんが意外そうな表情をして俺の事を見る。

「あなた達の拠点……仲間のところかしら?」

「そのつもりですが……」

「私たちの事、もっと警戒した方が良いんじゃないのかしら……」

「俺もそう思う……」


 リキさんも若干真顔で答えていた。うーん、なんでだろ?

 ナオエさんはそこまで警戒してないし、ウィンディードさんも警戒してないんだけど……

 何故か俺も警戒してない……彼らにはなんか不思議な力が働いているのだろうか?


 翼竜の内臓などをウィンディードさんが綺麗に取り出してくれる。過去に経験があったようだ。とても笑顔なんですけど……

 彼女が珍しく解体でテンションが上がっていますが……それだけ美味しいのだろうか?


「そういえば、血の匂いが凄いのに他の魔獣が来ないな……」


 俺は周りを気にしていた……するとリキさんが疑問に答えてくれる。

「ああ、強い魔獣が死ぬと、しばらく弱い魔獣は来ないぞ? なぜかは知らんけど」

「なるほど……ってことは解体全部できそうだな……あ、肉の振り分け半々でいいですか?」

「いいわよ、それで、私たちは食べれる量が決まってるもの……もっと少なくてもいいかも」

「そうだな、ほかに魔獣沢山もってるからなぁ……あんたらの方が養う人間が多いんだから多めに持って行けよ」

「それはありがたい」


 ナオエさんが四次元収納ポーチに入れられるくらいに切り分けおわった翼竜の肉を回収しようと手に抱える。

「それじゃ肉をもって近くの川に……肉を冷やしに生きましょう」

「え、川の水で冷やす? そんなことをするのか?」

「……そのまま肉を入れたらすぐに腐りますよ?」

「……そうだったのか……」


 リキさんが本気で感心していた。

 あれ……ってことは彼らの持っている魔獣のストックって……腐ってるんじゃないのか? 大丈夫かな……


 解体作業には参加しなかったサチさんが翼竜の肉に近づく。

「ちょっとその肉一旦降ろして」

「え? なにかやるの?」


 サチさんから何やらエーテル的な流れを感じると、翼竜の肉がうっすらと白くなっていく……え? 氷結してる???

「もしや……氷魔法??」

「……違うわ。拾ったスキルの一つよ。内容は言わないけど」

「ありがたい……これでめっちゃもつな……助かります」


 サチさんがリキさんの顔をみたあと、俺の顔を見る。

「参考までに……川の水で冷やすとどれくらい持つの?」

「冷やして四次元収納ポーチにいれると2,3週間くらい……って言ってたかなぁ……」

「……四次元収納ポーチ……」

「たしかにそうね、四次元収納ポーチね、これ」


 ナオエさんが冷え冷えの翼竜の肉を四次元収納ポーチに入れていた。

「凍らせるスキル……私たちも欲しいね……」

「アスティナ、XXXXマホウ、トクイ! オシエテクレル!」

「あ、そうか。メンバーの誰かが氷魔法を使えれば……行けるか。ありがとうウィンディ」

「♪」

 最初は真面目キャラだと思っていたウィンディードさんだったけど、最近は表情豊かで非常に可愛らしいんだよね。やっぱり最初は緊張してたんだろうなぁ……


「……彼女だけじゃなくて、鬼人族全体と仲が良いように聞こえるわね……」

「俺らと全く違う展開だな……」

「魔法が覚えられるのなら交流したいところね……」

「無理に殴りに行かなくて良かったな……」

「ほんとね……」


 この二人はあくまでも強さを追い求めてるみたいだな……トップランカーってのはこんな感じなんだなぁ……


 §  §  §  §


 俺たちは二人組を連れて移動をしていた。

 正確には、ナオエさんが二人組を連れているのだが……


「すごい機動力ね……」

「俺たちの苦労って一体……」

「移動系のスキル欲しいわね……」

「あの跳躍もいいよなぁ……」


 ナオエさんの『伸びる』を使った高速移動であっという間に拠点近くへと戻る。

 彼らくらいステータスが高いとしっかりと掴まってこれるんだね。やっぱり拠点メンバーも妖魔狩りでもしてもらわないと駄目かな……


「カタシくん! 頑張ってよ!! もっと平行に飛んで!」

「へーい!!」


 俺はナオエさん達を追っていた。『弾力』のスキルを駆使して走る練習も兼ねていた。

 隣でウィンディードさんが楽しそうに風の魔法を纏って俺と並走してくれる。

 大分角度の感覚をつかんで高速に、地を這うように移動でき始めていたが、練習……というよりこの体中ゴムになったような感覚に慣れるのにはもう少し時間がかかるようだった。ナオエさんみたいに『伸びる』ことが出来れば楽だったんだけど、本当にゴムだな……頑張って、違う何かの力で伸ばさないとパワーが出ない……今のままだとただの筋力アップだ。


 道中は魔獣も妖魔もほとんど姿を見かけなかった。拠点周辺は大分平和な空間になって来てるのかもな。

 この『弾力』高速移動中に『自動追尾』が打てるかどうか……などもあとでやらないと……

 あれ、視界がゆらっと……げっ、力加減間違えた???


「うおっっ!!」

 ウィンディードさんが俺の事を引っ張ってサポートしてくれる。

「ありがとう……」

「ドウイタシマシテ! シュウチュウね!」


 他の事を考えたらすぐ目の前に大木が迫っていた。高速移動中に考え事をするのは駄目だな……自動車に乗るのと一緒か……慣れるまで大変だった幼児期の記憶がよみがえる……


 拠点に到着すると、拠点メンバーは新たな客人に驚いているようだったが、他にも先客も来ているようだった。

「黄金の鷲」の二人組かな? この前渡した塩で十分足りてると思うんだけど……違う用事か? 浄化をお願いするとか言ってたっけ?


「おかえりなさい!!」

「お、カタシさん、ちょうどよいところに! ん? お客人ですね」


 リンカさんとジンパチさんが出迎えてくれる。

 アヤノさんと話していた「黄金の鷲」のカエデさんとコウタさんも手を振ってこちらに挨拶をしてくれる。


 サチさんとリキさんの二人はキョロキョロと砦の中の様子を観察していた。

「……凄いものね……」

「砦……というより街ができ始めてるのか……」


 ジンパチさんがこちらのほうに歩きながら解説してくれる。

「大体十日くらいでここまでですね、スキルのおかげでなんとかやっている感じですよ。こちらの方たちは?」

「島を探索して回っているみたいです。スキルオーブを回収してまわってるらしくて、こちらが、サチさん、こちらがリキさんです。こちらがジンパチさんです」

「よろしくお願いします」

「よろしく……こちらの方がリーダーですか?」


 ジンパチさんが俺の方をちらりと見たあと、手を振る。

「あ、いえ……この拠点の……現場主任みたいなものですね。日本では建築関係だったもので……」

「なるほど、それでこの出来なのですね……しっかりと区画整理されている……」

「鍛冶場まであるのか……もしかして武器とか防具売ってくれるとか……するのか?」

「貨幣は無いので物々交換になりますね、今はいろいろ試行錯誤中ですので……期待通りの出来にはならないかもしれませんが」

「……良かった、色々とジャンクと思ったものもストレージに入れておいて」

「だから言ったじゃない。後々役に立つって」


「黄金の鷲」のカエデさんとコウタさんがこちらに近づいてくる。

「お、サチさんとリキさん、こんなところまで来たのか。てっきり中央で魔獣とやり合ってるのかと思ったけど」

「意外です。ステータス上げに勤しんでいるのかと」

「ええ、美味しい料理を探してここまで来たの……なんだかあなた達、表情が……柔らかくなったわね……」

「まぁ、ここ来ちゃうとね……」

「ねぇ……」


 カエデさんとコウタがお互いを見てにやっと笑っていた。

 そういえば……彼らは今回急いで帰る気が全く無いな……色々とオイシイ話を聞いたんだろうなぁ……


 §  §  §  §


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