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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
3章 安全な場所を求めたはずなんだけど?

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第62話 二人組の男女 (前)

 二人組の男女は俺たちから30メートルくらい近付いて来て立ち止まる。

 俺たちが武器を持っているが構えていないのを見て安全だと判断してくれたようだ。

 とりあえずここに来た理由と仲間が何人いるかを聞かないとか……何故だろう……二人とも本当に落ち着いてる……着ているものを見てもそこまで汚れていないし……継ぎはぎの鎧だけど、しっかりとフィット……いや、金属を捻じ曲げたのか? あれ? 


 ナオエさんが緊張感が支配する中、彼らに質問をする。

「ここで何をしているんですか? こんな辺境の地に」


「ん? ああ、俺たちは……探し物……なんていえばいいんだ?」


 かなり体格の良い男性が答えようとしていたが、妖艶な雰囲気を纏った女性が手で発言を制する。

「待って。私から言う。私たちは、スキルオーブを集めるために移動をしています。先ほどこの近くでドロップしたみたいなんだけど……」


 あれ? もしかして、さっきの自決の女性のやつか? 

 ここに痕跡を残した人物と違う人間か? どちらにしてもわからないか……さて、なんて答えよう……


「なるほど……もう拾ったという顔をしているね、どおりで反応がないわけだ……」

「残念だな……今回は割と近かったのに……また次か……」


 ……あれ? 顔に出てたか?

 俺は思わずナオエさんの方を見る。

 ナオエさんが明らかに困った表情を浮かべた後にため息をつく。


「ねぇ、そんな反応しちゃだめでしょ……」

「……あ、カマかけられたのか……」

「はぁ……ほんとお人好しね……こういう時はポーカーフェースしてよ」

「……苦手かも……」

「……困ったわね」


 妖艶な女性は俺に興味を持ったのか俺の目をしっかりと見つめてくる。

「どう? あちらの世界に持って帰りたいスキルだった?」

「……いや、面白いとは思うけど……あまり持って帰りたくは無いな……」

「何で本気で返すの……答えなくていいから!」

「……ご、ごめん」

 ナオエさんが割と真顔で俺に突っ込んでくる。ちょっと怒ってるな……


 その様子をみていた体格の良い男性が俺への警戒を解いて女性の方を見る。

「……割と正直なやつなんだな……」

「そうみたいね」


 ……大丈夫かな、とりあえず目的を聞かねば……

「えーっと、あなた達は、スキルオーブを集めて……黒結晶壊すのが目的? それとも全部のスキルオーブをゲットするのが目的?」


「……そうだなぁ……そう言われると……どっち目指せばいいんだ?」

「うーん、今の私たちならどちらも目指せる気がするけど……」

「俺たちも情報が少ない中、手探りでやってるからな……」

「今のところは私たちのパワーアップが目的ね。ほかのプレイヤーにやられない様に……」


 何故だろう……この二人に強い何かを感じるんだけど……よほど良いスキルを持っているのだろうか?

 ナオエさんが俺に代わって質問をする。


「それじゃぁ、あなた達のターゲットは……私たちじゃない……でいいのかな?」

「……そうね。人数もそちらが多いし、スキルもわからないし、あまり戦いたくないわね」

「対人戦は俺もあまり好きじゃない。襲ってくるなら相手になるけど」


 ……ああ、これは強い人間だ……おそらく戦闘経験、対人プレイヤー戦も妖魔にも魔獣にも勝った目をしている……

 こちらも……戦いたくないんだけどね……なるべく穏便に……やりすごさねば……

【たまにカタシの直感が凄いと感じるときがあります】

 ……ありがとう、やっぱりお強い人なのね……

【ええ、かなりのエーテル量ですね。この短期間で……すばらしい】

 ……そんなにか……


 妖艶な女性の方がウィンディードさんに興味があるようだった。視線がチラチラとそちらの方に行く。

「ところで……鬼人族と何で一緒にやってるの? 言葉が通じないでしょ? 話しかけてもお互い分からないから物別れになるのだけれども」

「あ~その辺は頑張って言葉を教え合ったりしてなんとか……かな?」


 ウィンディードさんも何となくやりとりを理解した様で、俺と目を合わせた後発言をする。

「ワタシ、コトバ、ガンバル、オボエル」


「!! しゃべった! 日本語だ!」

「おお! すごい! お上手ですね!」


 外国人旅行者が日本語使ったようなこの雰囲気は何だ?

 何か二人のテンションが一気に上がった……警戒心がなんか解けていくのを感じる。


「なるほど……それでこっちの方向に案内された感じなのね……」

「……案内? どういう事?」

 ナビに案内された? そんな訳は無いよな……

【はい、ナビではないですね……今後の方針などに関しては絶対に関わらないように言われていますので、その線は薄いかと】

 なるほどね……スキルかなんかか……「占い」とか「ダウジング」的ななにかがあるのか?

【そういったものもあるらしいですが……】


「スキルオーブはついでだったんだけど、私たちが探していたのは、美味しい食べ物……よね」

「……ああ、そうだけど……まさか……」

「この人たちが作ってるんじゃないの?」

「……そんないい加減な……それだと鬼人族の集落を指し示すんじゃないのか?」

「恐らく私が美味しいと思うもの……なら日本人が作っている可能性が高いじゃない?」

「……まじかよ……」


 俺もナオエさんも二人が一体何を言っているか理解できなかった。

「あの……一体何を……」

「ああ、それはね……ん?」


 変な気配を感じる……何かに見られているような……妖艶な女性も何か感じ取ったようだ。

 ウィンディードさんが空を指さし大声で警戒の声を上げる。


「ミンナ、カクレル!!! ソラ! トブ、マジュウ!」」

「!!」


 俺は慌てて空を見上げる。


 ドラゴン?? 翼竜!!? 


 この島に来る時に見たあいつか? すごいでかい! 自家用のセスナ機くらいあるんじゃなかろうか??

 なんか視線がこちらに来てる? って、なんかもう突っ込んできてるんだけど!! 


 俺は慌てて『弾力』を足に発動させてサイドステップを……げ……体が浮いた……


 ……あ、もれなく翼竜の視線がこちらに移り……体の向きが俺の方向に追従してくる。

 なぜか周りの空気が重く、遅く感じる……

 ……これ、走馬灯ってやつ??? 

 スローモーションになり……あ……しまった、移動手段が……無い……


 俺はゆっくり感じる世界の中、ナオエさんの事、拠点に残したメンバーの事などを思い出していった……


 ……これは……やばい……死んだか……


 ドコン!!!

「ぐほっ!!」


 俺の体に強烈な棒の一撃が撃ち込まれ、俺は地面に叩き落とされる。痛いっ!!

 ナオエさんの『伸びる如意棒』アタックが俺に来たのか……痛い……痛いがそんなことを言っている場合じゃない!!


 ズサァアアアア!!!!!


 翼竜は俺がいた場所を高速で移動して通過し、そのまま地面に着地して地面を滑っていく。首だけをこちらに向けたままで襲う気満々だ。

 すごい……サメみたいな歯並びだ……あれにかじられたら終わりだな……引きちぎられそうだ……


「っつう、ぐぐ……あ、ありがとう、死ぬとこだった……」

「そのスキル使用禁止!! 慣れてから使う!! 普通に避けて!!」

「わかった!」


 俺は痛む体に鞭打ちながら四次元収納ポーチから投擲用の妖魔の槍をまとめて五本ほど取り出す。

 ここで取り逃がしたら拠点のメンバーヤバいじゃないの?? 二キロくらいしか離れてないハズだよな? ここ? 俺たちが縄張りに入っただけか?? 逃げても良い?? だめか……俺たちが補足されてる感があるな……ステータスが低い仲間が今の突進食らったら……連れ去られて終わりだ……


「やるの?!」

「追っ払うくらいはやらないと!!! みんなが危険だ!」

「わかった!」


 対岸の岩陰に隠れていた二人は少し驚いているようだった。

「あなた達、あれと戦う気? しんどいわよ?」

「……いつも逃げられるんだよな……飛ぶ奴は……」


 なるほど……飛んで逃げられる……どこを狙えば……うーん、面倒だから全弾の目標は頭だ!!

 俺は目の前に五本同時に妖魔の槍を投げる。もうかなりいい加減に。


『自動追尾』!!

「いけっ!!」


 頭に放った妖魔の槍は綺麗に突き刺さると思ったが、何かを感じた翼竜はバックステップをして回転して尻尾で妖魔の槍を薙ぎ払って吹き飛ばす。

 何本かはそのまま尻尾に刺さっているが、意にも介していないな……針が刺さったくらいに思っているのか?

 それじゃ次は頭と腹と首をバラバラに狙ってっと……的が大きいから『目標』にしやすいな、やっぱりターゲットのロック時間があるな……『自動追尾』!!

 今度は何かに迷ったらしく反応が遅れ、尻尾で回転してまたもや打ち払うが色々な場所に槍が突き刺さっていた。

 とりあえず体力奪うためにも目標をバラバラにして投げ続けるか……

『自動追尾』!!

『自動追尾』!!

『自動追尾』!!

『自動追尾』!!


 五回ほど繰り返すと、岸壁まで追い込み、翼竜がうまく尻尾で回転できずに動きが制限される。

 頭を狙っていた妖魔の槍が運よく翼竜の片目に突き刺さる。

「グィエエエエェ!!!!」


 凄い咆哮だ……怒ってるのか、痛みなのか、こっち来るななのかが良くわからないな……

 まぁ、目をえぐられてるから痛いのか?? 痛いよな……

 ってか、すごいチャンスだな。翼竜が岩場に足をつけてる。

 俺は迷わずダッシュして『固定』を翼竜の片足に集中してかける。

 ウィンディードさんが例のごとく風の魔法をため始め、ナオエさんが『伸びる槍』で翼の付け根辺りを貫く。

 すると傷のついていない、もう片方の翼竜の翼が「突然」折れ曲がる。翼竜が痛みで叫び声をあげる。

 その隙に体格の良い男性が凄い速度で翼竜に近づき、鉄のこん棒を振るう構えをする。

 翼竜も必死に近づいていく男性にかみつこうとするが、突進する速度を上手に遅くしてタイミングをずらしきれいに頭を殴りつける。


 バグン!!!


 なんか翼竜が白目をむいているんじゃないかというくらい頭が吹き飛んでる。

 頭にホームランを打つようなスイングをしちゃったよ!! 振りぬいてるし!!

 しかも直撃!! 


「ヨケテ!」


 ウィンディードさんの言葉で体格の良い男性が素晴らしい速度で横にサイドステップを踏む。

 その瞬間にウィンディードさんの風の刃の魔法がさく裂し、翼竜が頭を守ろうと腕を上げるが、腕と翼を切り裂き、貫通した風の刃の魔法は翼竜の首まで到達し、首部分から鮮血が噴き出す。

 翼竜が逃げ出そうともがくが、『固定』された足が動かずに転んでしまい、じたばたあがき始める。

 ついでに『固定』を体の一部にかけて地面の岩に縫い付ける。

 体格の良い男性が近づき、鉄のこん棒を勢い良く頭に振り下ろし、翼竜の動きが完全に止まる。


【魔獣スカイドラゴン・ランフォリンクス を討伐 HP+1.01 MP+0.96  STR +1.03 DEX +1.04 AGI +1.21 INT +0.63 MND +1.14  SP+2.01 ……】

「……すごいな……俺たち抜きでもやれてたな……」

「……大分ここは辺境かと思うのだけれども……複数スキル持ちなのね」

「ここまで一方的とは……いいな、ホーミングランス、カッコイイ……」

「ホーミング……自動追尾ってやつね……現実にあるとすごいものね」


 体格の良い男性が静かに驚き、妖艶な女性は俺たちの方を見て素で驚いているようだった。

 それにしても……ドラゴンか……これ。

 恐竜図鑑で見た翼竜にしか見えなかったんだけど……これ、食べられるのかな?

【鶏肉みたいで美味しい……との事ですが、どうでしょうか?】

 ありがとう、アーゼさん……


「どうします? どうやら食べれるみたいなんで解体しようかと思うんですが……」

「……え?」

「マジか?」

「と、トカゲよね……? ワニみたいなものかしら……」

「ランフォリンクス、スゴイ、オイシイ!! モッテカエル! カワモツカウ!」


 ウィンディードさんの目だけが輝いていた。

 やっぱり日本人に爬虫類系は抵抗あるかぁ……ってか俺もまだ食べたこと無いんだよね。

 二人組はおろか、ナオエさんも「マジ?」って表情をしているし。


「……ほんと美味しい料理にありつけるのかしら……」


 妖艶な女性は翼竜を目の前にして首をかしげていた。


 §  §  §  §


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