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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
2章 新たな仲間と拠点づくり

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第44話 異世界の商人と王国人……海賊?

 目の前では海賊映画のワンシーンの様な戦闘が繰り広げられていた。

 映画や時代劇で見た事のある様な銃だが、正直、抜けるような音と煙が多すぎて、あまりに現実感がなく、おもちゃかと勘違いしてしまった。

 だが、音がするたびに妖魔が倒れたり、血が飛び散っているのを見るとちゃんとした銃なのだと認識する。

 近代的な銃と大分音が違うんだな……人間たちは魔法は使わないのか?

 って、アサルトライフルとかマシンガンとかの近代兵器がなくて良かった……


 ナオエさんが厳しそうな迷った感じの表情で俺に近寄ってくる。

「……どうする? 見守っているだけにする?」

「……人間……だけど海賊なのか?」

「わからない……」


 ウィンディードさんがナオエさんの肩をトントンと叩く。

「ナオエ、ワタシ、ニンゲン、タスケル。デキナイ、カクレル。ナオエマモル。スル」

「わかったわ。ありがとう」


 ウィンディードさんが砂浜から森の茂みの方へと移動をする。

 人間族は鬼人族と敵対しているとの話だったな……剣と剣の絵柄で解説してた気がするけど、銃と槍のアイコンの方が正しそうだ。鬼人族大丈夫なのかな……


 たしか、人間族なら俺達と会話できるって話だよな……

【はい、その通りです。彼等とは意思疎通ができますよ】

 つまり、人間は味方……って扱いなんだろうな、カミ、管理者にとっては……

【……】

 やっぱりそういう感じか……鬼人族やこの島の種族の方が優勢……って感じか?


 迷っていると、妖魔の放った矢や槍が、徐々に海賊っぽい格好をした人間達を打ち倒していく。10人ほどの集団だったが勝敗は決したように見えるな……妖魔の勝ちだ。かなりの被害を出しながらも、まだ20人はいるな……数の勝利というやつか? 皮鎧主体の戦士と金属鎧のリーダー格か……不思議な魔法なども使ってないな……やれるな。


「……助けよう。情報が欲しい……」

「うん、私もそうしたい」

「わかりました」


「それじゃ手はず通りに! 遠距離武器もち対策で!」

「わかった!!」

「了解!」

「おっけー!」

「緊張しますね……」


 昨日の夜に対プレイヤー対策として色々と話をしていた作戦を実行に移す。

 全員、この世界での妖魔の戦闘に慣れてきているのか大分動けてるな……あ、人間は銃を持ってるんだ。

「あ! 助けた相手が銃を撃ちそうだったら迷わずやっちゃって!」

「おっけ!」


 ナオエさんは森の木を伝って妖魔の後方へと高速で移動をする。

 アヤノさんが四次元収納ポーチからジンパチさんがあらかじめ作っていた「鉄をつなぎ合わせた巨大な盾」を取り出し、目の前の砂に突き刺してくれる。『重量操作』のおかげで軽々とやっているが、接地する時の音でかなりの重量なのが分かる。

 アヤノさんはさらにもう一つの金属の盾を取り出し、リンカさんと一緒に前進していく。

 重装歩兵……ってやつだな……大砲とか爆発系の魔法じゃないと進軍が止められなさそうだ。


 順調に仲間が動いているのを見届けると俺は妖魔の槍を『自動追尾』で3体の頭を狙って投げつける。

 スキルレベルも上がっていたせいか、気が付かれるとほぼ同時に綺麗に頭を貫通してうち抜く。


 突然の横やりに妖魔の集団は驚いたのか何やらもめているようだ。

 その隙にさらに連投をし、さらに3人の頭を撃ちぬく。

 慌てた妖魔の集団の一部は混乱して逃げ出すものも出てきていたが、逃げ出した妖魔は森に差し掛かると同時にナオエさんの『伸びる』槍に貫かれてバタバタと倒れていく。

 あの様子だと森の中に妖魔の援軍は無いな……ナオエさんが森の中を『察知』してくれてるだろうからね。


 妖魔の弓兵がこちらの方に反撃して矢を放ってくるが、先行しているリンカさんが『プレッシャー』で矢を吹き飛ばして逸らしてくれている。

 大分スキルの操作がうまくなっている。リンカさんには簡単に近づけなさそうだ。


 俺は『自動追尾』でさらに妖魔の槍の連投を重ねる……中にはよけたり掴んだりしてくる優秀な固体もいたが、一匹に対して同時に連投を続けると、防ぎきれないようで徐々に数を減らしていった。

 何匹かは逃げだし、勇ましいものはこちらの方に突撃をしてくるが自動追尾の槍に貫かれていく。

 大声で指示を出していた重装備のものが突撃してくるが、リンカさんの『プレッシャー』で簡単に吹き飛ばされて転んで起き上がれなくなっていた。

 ジンパチさんが『健脚』の高速移動をして重装備の妖魔の鎧の隙間を縫うように槍で一刺しして止めを刺していた。慎重だけど勇気がある人だよなぁ。巨大イノシシが獲物に見えるくらいだから勇気はもとからあるか?


 ……もう動くものはいないな……


 俺は目の前の砂浜に突き刺さった盾を持ち上げて合流を……あ、重すぎで無理だわこれ……『重量操作』すごいな……こんなに重いものも軽々と……重量依存じゃなくて体積依存ってのもズルいけど……

 金属の盾が持てなかったので合成盾を取り出して、人間たちの方へと歩いていく。


 どうみても海賊風の衣装を着ているが……ちょっとこぎれいな感じか? この世界のどういった人なんだろう?

【海賊ではありません。この世界の標準的な海軍と商人の服と考えてください】

 なるほど……すごい髭面なのに海軍……あれでまっとうなのか……生き残った二人は元気なようだな。


「助かった!! こんなところに人間がいるとは!」

「……分隊長殿、おかしいです。先遣隊ではありません!」

「なんだと?」

「我々の仲間ではない服です!」


 分隊長と呼ばれた人間は船の陰に慌てて隠れる。

「な、何が目的だ! 物資か!? 我々も殺すのか!! もしや違う島にたどり着いてたのか?」

「それはあり得ません。座標はあっているはずです!」


 二人とも隠れちゃったな……一応説得するか……

「情報を知りたい! この島に来た目的は?!」


「わ、わかった……話をしようか……いきなり槍を投げないでくれよ!」


 分隊長と商人が船の陰から顔だけを出してこちらを確認する。

「……見た事も無い格好をしてるな……あとそれは……この島の服だな……」

「文献の通りですね……」


 まぁ、確かに、俺たちは鬼人族の服だし、俺とナオエさん以外は探検家のベストの上にカスタムした皮鎧をつけてるもんなぁ……


「そっちは妖魔どもの革鎧?」

「この島に人間がいたのは相当昔のはずですが……」

「言葉が通じてるぞ?」

「そんなの商人に分かるわけないでしょう……隊長殿の方が知っているはず」

「……おまえが交渉しにいけ!」

「本気ですか? 何かあったら恨みますぞ!」


 またひそひそ話が聞こえてくる……ウィンディードさんの魔法かな?


 一人の男性が押しやられるように船の陰から出てくる。

 海賊の格好……というよりも貴族の様な……良くわからない格好をしてるな……こっちが商人か?

 銃は持ってないな……まぁ、この距離だったら変な動きをしたら、相手の手を『固定』すれば大体何とかなる。


「まぁ、武器を引いてくれ……って槍……随分粗末なものだな……」


 商人が俺たちの手にもった武器を見たあと、後ろの妖魔の死体に目をやる。

 同じ槍を使ってるのがばれた感じか。略奪者に見えるかもな……

「我々は君たちに害を加えると言う事が目的ではないです。この地を侵略しようなんてことは考えていません。私どもの仲間の港を探していたが見つからなかったので上陸して調べようとしていた所です」

「仲間の港とは……東の方で見た似たような帆船の事か?」

「……え、やっぱり間違えてたのか……少々お待ちを……」


 商人が戻ろうとすると手だけが見える分隊長が戻れ的なジェスチャーをする。

「話を続けろ!」

「え? は、はい」


 分隊長は船の陰からは出てこないようだな……どこも酷い上司はいるものだ……

「ええっと、あなた方の目的は……」

「……あなた達は、この島では見た事のない人間だ。この島がどうなっているか情報があったら教えてほしい」

「……なるほど、物資が目的……ではないわけですね」


 あ、そうか……物資も奪えると言えば奪えるのか……お礼に小船の中に見え隠れしているスコップやらつるはしももらいたいな……開拓する気満々に見えるが……


 いつの間にか隣に並んで立っていたナオエさんが口をはさんでくる。

「カタシ君、貰えるものはもらいましょう」

「……え? この人たちは……」

「船に戻ったら資源があるでしょ? 大丈夫よ」


 ナオエさんの視線の先には大型の帆船が停泊していた。

 確かにもらえるものはもらった方が良いかもなぁ……

 悩んでいると商人が慌てて俺に対して質問をしてくる。


「え、えっと何を話せばよいでしょうか?」

「この島についての情報です」

「……へ? この島……ですか?」

「あなた達、人間から見た島の情報が欲しい」

「そりゃ……悪魔の住む島……呪われた島……宝島……色々言われておりますが……そう言う事ですか?」

「そっちの話です」


 商人はしばらく考えた後話し出す。

「この島には恐ろしい鬼人族が住んでいるのと……後はここの山から産出される「魔鉱石」が非常に高値で取引されている……というのが基本情報ですね」

「なるほど……あなた達は「マコウセキ」をとりに来た感じですか?」

「そうなります。この島に人間が来たのは百年以上前のはずですが……あなた達は生き残り……とかでしょうか?」

「いえ、僕らは……ゴフッ!」


 ナオエさんが俺の腹に肘をくらわしてきた……マジでいたいんですが……

「私たちもこの島を調査しに来た外部の人間になります」

「え? 本当ですか……と言う事は違う国も動いているのか……え、えええ??!」


 商人が突然、驚きの声を上げる。慌てて槍と盾を構え、視線の先に注意を……

 って、リンカさんか……あ……妖魔の槍や武器を……四次元収納ポーチに入れている……難しい話になるとすぐ逃げるんだよなぁ……本当に中身が中一なんだろうな……


 あ! もしかして、この世界での魔法の鞄的なものは普通ではないとかか?


「……これは……うわさに聞いたことのある、魔法王国の『魔法の鞄』……魔法王国が動いていたのか!」

「な、何だとっ!! この島の情報は魔法王国に知られているわけがない!」


 商人の声に反応し分隊長が叫んでいた。

「しかし、現に目の前に……羨ましい……え? 鎧も入っちゃうの?」

「お、おい……ほんとだ……吸い込まれてる……あれが魔法の鞄」


 分隊長がさすがに気になったのか顔を出して、リンカさんの行動を見て固まっていた。

「あなた達の所属する国と、本当の目的を話しなさい」

「ヴェネトア王国ですが……本当の目的? 何のことだ?」

「私たちもそこまで聞かされておりません……物資を先遣隊に届けるのが目的でして武力は……」

「そこまで言うでない!」

「しかし……言わないと殺されますぞ?」

「戻っても殺されるぞ!」

「私もでしょうか?」


 二人が言い争っている間は妖魔の装備の回収と、倒れた人間の兵士の事を探っていた。

 いつのまにかジンパチさんが倒れている兵隊……が持っていた銃を手に取って調べていた。

「すごいですねこれ、アンティークな……いや、現役なのか……」

「その銃ってなんですか? 火縄銃?」

「火縄銃より後期のものになりますね。フリントロック銃と言われるもので、火縄を使わずに火打石を使って弾を撃つものになりますね」

「ってことは大航海時代ってこと?」

「だと思いますが……魔法王国の事も聞きたいですね……」


 ジンパチさんが会話しながらも、兵隊が持っているものを漁って、弾やら金属の入れ物などを物色しだす。

「お、おい、銃を知ってるみたいだぞ?」

「そのようで……」

「まさか撃ち方までは……」


 ジンパチさんが鉄の何かから黒い砂を筒に入れて弾を棒で押し込む……トリガー付近に何か黒い砂を入れてるけど……あれはもしかして火薬か?


「……完全にバレてるな……」

「ははは……どうしましょう……帝国か東之国の間者でしょうか……」


 ズドーン!  ガァン!


 ジンパチさんが躊躇なく遠くに立てたままの金属の盾に弾を打ち込む。ビクともしないな……めり込んだのか? ってか撃ち方を知っているジンパチさんすごいな。俺はわからなかったんだけど……


「腕もいいな……」

「構え方も狙い方も知っておられるようですね……ははは」


 ……なんだか知らないけど白旗を上げてくれているようだな。今がチャンスだね。

「……さてと、悪いようには扱わないので、知っている情報と、あなた達の所属している部隊の「予測できる目的」を話してもらいたい」


「……わかりました……」


 ガンッ!!

 ナオエさんが『伸びる』で槍の柄を伸ばし、分隊長が隠し持っていた銃を弾き飛ばしていた。

 分隊長は呆然として腰を抜かしていた。


「……持ち物は全部渡すから……船に返してくれ……」


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