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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
2章 新たな仲間と拠点づくり

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第33話 妖魔の重装騎兵に追われるプレイヤー

 大木の枝の上の俺たちの目下を「牛サイ」に乗った女性プレイヤー二人が乗って追われている。

 このままのルートだと……丁度俺たちの下を通過していく道どりをしているな……


 ん? 

 なんか牛サイに乗って手綱を握っている女性と目が合った。こちらに気が付いた?


「カタシくん、どうしよう? 助ける? 女の子みたいだけど!?」

「やるんなら……援護しますよ!」


 何か二人ともやる気満々??? 女子だから助けるのか?

 何で判断が俺なの? 優柔不断なのに!? 

 って、できる限り助ける……だよな……

 鎧を着てるし……俺たちの安全のためにも笛持ちは倒したい……困ったな……

 ……どうしよう? 


【鉄の資源が走ってくると考えれば良いのではないですか? それに仲間を集めようという話ではなかったのですか?】


(なるほど……あれは資源と……新たな仲間か……ありがとうアーゼさん……)

【いえ、カタシは想定外の出来事に弱いのが分かってきました】


 ……そうだったのか……確かにこれは想定外だ。

 今まではなるべく想定して来た内の、想定内の事だったからすぐに対処して行動できたけど……

 ……今回は想定していた騎馬パターンで行けばいいか。追われている人間を助けるパターンは今度考えよう……


「笛持ちはナオエさんが。左右は俺が狙う。ジンパチさんは地面を『柔化』させて先頭の馬を転ばせて!」

「わかった!」

「がんばります!」


 ナオエさんが槍の柄を木の幹につけて準備をする。あれなら「つっかえ棒」になって吹き飛ばされないな……さすが頭の回転が速い人だ。

 ジンパチさんが両手を地面の方に向けて集中をしだす。


 牛サイにしがみついている後ろの女性が俺の方を見ている。

 凄い警戒……じゃないな、すがるような目だ……くそっ!!


 俺は妖魔の槍を、重装騎兵3人の武器を構えている方の手の脇の下を目標として『自動追尾』させる。

 見る限りは可動部分で弱そうに見える。


 重装騎兵の一人が何かに気が付き、こちらを見る。

 やはり『標的』にすると気づかれる!


 その瞬間、ナオエさんの妖魔の槍の『如意棒アタック』が笛持ちの胸をきれいに貫き、馬から弾き飛ばす。


 二人の重装騎兵の脇に『自動追尾』した妖魔の槍が突き刺さりそのまま落馬する。一人は危険を察知できた様で鎧の手で打ち払っていたがバランスを崩す。

 その瞬間、ジンパチさんの『柔化』の罠が発動し、走り抜けようとしていた馬が地面に足を取られて盛大に転び重装騎兵が派手に吹き飛んで転ぶ。


「ジンパチさん、行きますよ!! 手はず通りに!」

「はいっ!!」


 二人で四次元収納ポーチにしまっていた重量のある石を力いっぱい投げつけていく。

 傷がついていない重装騎兵は盾を構えて耐えようとするが、ステータスの上がった体からの投擲パワーと、落下エネルギーと、岩ともいえる石の重量により、数発あてると吹き飛びながら膝をつき、盾を完全にへこませたあと腕をブランとさせる。

 折れたな……

 ジンパチさんの肩が非常に強くて正確だ。野球部っぽいって思ってたけど、完全に野球経験者だな。


 容赦なく攻撃を続けると妖魔の兜をかぶった頭に石が直撃し崩れ落ちていく。

 落馬してうめいている妖魔にも容赦なくナオエさんが鎧の隙間をついて串刺しにし、投石によって頭を破壊していった。


 馬は驚いて立ち上がって全力で逃げて行った……二人とも馬には優しいね。攻撃対象にはしなかったか。 

 ……って、俺も優しいか……どうも馬は攻撃する気分にならなかった。


【馬肉は美味しいそうですよ?】

「……え? 馬って食べるられるのか?」


 アーゼさんはなぜかうれしそうだ。なんでだ?

 ジンパチさんが「え?」って顔でこちらを見てる……思わず口に出してしまった。


 俺の隣でナオエさんが大きな息を吐く。


「なんとななったわね」

「ふぅ……一方的でしたね……カタシさんの投石がえぐいですね……あれ、『自動追尾』使ってるんですか?」

「……使ってないですね。SP消費が勿体ないからただ投げただけ……」

「それであれですか、凄まじい威力ですね……強肩ですね」

「ステータスのおかげです。サッカー部だったんで投げるのはちょっと……」

「なるほど……ステータス……僕の体も随分動かしやすいですから……少しは上がっているようですね。若返った上にパワーアップですねぇ」


 俺たちは地面に降りる。先ほどのプレイヤーは……なんというか……走り抜けて見えなくなったな。

 あの勢いだと海まで走り切りそうだ……


 騎兵の妖魔も今まで見た中で一番体格が良かった。俺たちより少し大きいサイズだな。エリート妖魔……って感じなんだろうか? 

 やっぱり戦士的な立場になる人は選抜してるのかなぁ……軍人って立場の人間だったらそんなもんか。

「若干可哀想になりますね。交通事故の後のようだ……」

「確かに、色々と酷いですね……潰れてますね」


 やった本人たちが言うのも何だが、血が飛び散り、岩ともいえる投石で兜がへこんで頭が潰れていた。首も折れて変な方向に曲がり……この鎧を外してそのまま再利用はしたくないな……溶かして違う物に作り変えられたらいいんだけど。

 そんな事を考える前に妖魔の援軍が来る前に……物色だな。


 ジンパチさんが手を合わせて祈った後、彼らの持ち物を調べ始めた。

 俺もそれに倣う。仏教徒ではないけどやってしまうものだな……


 鉄の槍に鉄の盾、狩猟用の投擲網に鉄の剣……弓矢もあるけど、いつも見る奴よりは上質なものだった。複合弓ってやつか? 矢も上等なものに見える。ずいぶんと矢がまっすぐだ。今まで見たやつは少し歪んでたものな。


 あとは鉄の全身鎧……脇腹は服に見えたけど皮だったんだな。皮くらいは妖魔の槍だと簡単に貫通するんだな……

 鉄の鎧もナオエさんの『如意棒アタック』だと軽々と貫通しちゃうみたいだし、鉄板みたいなものか。矢とかくらいならはじけるけど槍とかの重量がある攻撃だとやっぱりめり込んじゃったり貫通するんだなぁ……


 騎馬兵のベルトポーチの中には、薬やら細かい貨幣が入っていた。地図とかは……無いか……でも紙の手書きのメモみたいなものはある。読めないけど。一応取っておくか。


 今後妖魔の文字を読めると良い事もあるかもしれないし。


 騎兵妖魔の武器や持ち物を回収し終え、妖魔の鎧を外し始めると、木の上で見張っていたナオエさんが地面に音も無く降りてくる。


「さっきの二人のプレイヤーが歩いてこっちに近づいてくる」

「え? 歩いて?」

「うん。さっきのサイ牛みたいなやつには乗ってなかった」


「……どういう事でしょう?」

「……さぁ……」


 この短期間でサイ牛を手懐けて自分のものにしてるとは思えないから……盗んで暴走してきた……って感じかもな。

「警戒するか……」

「そうですね。どんなスキル持っているかわかりませんし」

「私はいつでも攻撃できるように上で待機しようか?」


 ナオエさんの物騒な提案に少々驚くが、それが正解に思えた。

「それじゃナオエさんお願い。相手に不審な行動があったら迷わずやってくれ」

「わかった、それじゃ」


 ナオエさんが木の上へと、二人のプレイヤーから見えない位置から『伸びる』を使って登っていく。

 常に警戒をしている感じだよなぁ、ナオエさんって。

「さすが中央経験者ですね……生き延びただけありますね」

「俺たちがへき地に飛ばされ過ぎたから警戒心が薄すぎなんですよ。多分」

「これでへき地ですか……十分危険ですけどね……」

「たしかに……」


 しばらくすると、ボロボロの探検家の服を着た女性が二人こちらに近づいてくる。

 武器は構えていない。こちらに気が付くと手を上にあげて攻撃の意図がないことをアピールしてくる。


 二人とも女子高生……ってそりゃそうか、全員肉体年齢を18歳っていってたものな……

 ただ、片方の女性の動きは年上に見えるし、もう一人の女性は随分動きが若いような気がする。……なんでだろ?


 二人は十メートルくらいの位置で立ち止まる。

 武器を構えてない……とはいえ、俺たちプレイヤーには『スキル』がある。警戒は解かない方がいいだろう。


「ありがとうございました! 助かりました!」

「敵意は無いです!! 出来るなら武器を下ろしてください!」


 俺たちは構えていた槍を地面に立てる。

「助かって何よりです。……先ほどの牛?サイは?」


 大人しい雰囲気の女性が言いよどむ。

「ああ、あれは……その……」


 活発そうな女性が元気よく答えてくれる。

「あれは妖魔たちの野営から奪ってきたので、止まらないのでどっかいっちゃいました!」

「……ええ、そんな感じです。妖魔のエリアから逃げるために、リンカちゃんが色々やってくれまして……大変な思いを……」

「うまく行ったからいいじゃない!」

「そのポジティブさが羨ましいわ……」

「アヤノさんがネガティブすぎなんだよ。もっと自信もって!」

「若さっていいですよね……」


 なぜか目の前で漫才が始まったな……と思いつつも、この余裕っぷりを見ると、おそらく武器を使えなくても何とかなるくらいのスキルを持ってるんだろうな。


 男二人が槍をもって警戒してるところだし、妖魔から装備をはぎとってるところを見てるわけだし……


「あ~それで、二人はどうしてこちらに?」

「逃げて来たんです! 山の方はなんか大変で、人間の現地人と妖魔と鬼人の争いやら、プレイヤー同士の派閥争いやらで……」

「リンカちゃん……あまりそういう話は……」

「え? だって本当のことじゃない?」


 なるほど……ナオエさんみたいな機動力が無かったから今こっちにたどり着いた……って感じか。

 あまり戦いたくない感じなのかな?

 その割には所々に返り血は浴びてるみたいだし……結構修羅場は乗り越えてる感じだな。


「えっと、あなた達の最終目的は?」

「さいしゅうもくてき?」

「私は生き延びる事です。安全に。生き延びれればお金……もらえるんですものね」

「最後の目的ね。私も生き残る! 出来るだけオーブをたくさんゲットして! です!」


 ジンパチさんがほほえましい表情でリンカさんを見る。

「何とも潔いですね……リンカさんは……」

「まぁ、俺も目的は同じなんだけどね……」


 アヤノさんが俺たち二人の体をくまなく見ている感じだ。衣服を見ているのか?

「あの、あなた達は……この辺で生活を?」

「そうですよ。今は拠点になる場所を探して探索してます」

「……そうですか、私たちは安全な場所を探しているのですが……」

「あと、水! そろそろ水が無くなっちゃうの! 飲める水の場所知りませんか?」


 そういえば……支給された水って2週間分……そろそろ尽きる頃か。

 運動してたら確実に足りないもんなぁ……

 小声でジンパチさんが俺に話しかけてくる。

「どうしましょう、カタシさん。仲間を集める……という話しでしたが」

「とりあえず様子をみましょうか……」


 何となく上にいるナオエさんをちらりと見る。あちらも警戒を解いているようだった。

「どうします? 水の場所……と言うより作る事になりますが教える事もできます。安全な場所は残念ながら今から作る感じですが、一緒に行動します?」

「え?! ほんとですか!」

「……是非……と言いたいですけど、あなた達の他に仲間は……どうなっていますか?」


 年上っぽいアヤノさんがちょっと身を引いた感じになってしまう。

 なんでだろ?

 その様子をみていたリンカさんは業を煮やした感じになっていた。

「あー。言っちゃっていい?」

「初対面でそれは無いと思うわ……リンカちゃん……」

「うーん。やっぱそうだよね……」


 男性恐怖症なんだろうか? あちらの世界の事を引きずっている可能性が高いかなぁ……

 それかこの世界の男性プレイヤーに嫌な事されたとか? 

 そっちの方が可能性が高いか……法とかない世界だもんなぁ……


「仲間は俺、カタシと、ジンパチさん、あとは……」


 スタッと音も無くナオエさんが下りてくる。

「ナオエです。宜しくお願いします」


「す、凄い……手が伸びた! 手が伸びたわ!!!」

「ゴムゴムの能力ね!!」


 ナオエさんを見ると二人の女性の表情が一気に華やいでいた。

 やっぱり仲間に女性がいるってわかると安心するよね。


「あ、よろしくお願いします。加地アヤノです」

「九重リンカです。中学一年、ソフト部です!」


「「「え???」」」


 突然のリンカさんのカミングアウトに、俺の頭は一瞬フリーズした。


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